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21. ゾロ VS カク
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『……ちくしょう、やっちまった。こっちか子電伝虫は……よりによって、ゴールデン電伝虫を押しちまった!』
聞こえてきたのは、スパンダムの声。
どうやらCP9へ連絡を取るはずが、間違えて放送用の子電伝虫を使っているらしい。
「ん、何じゃ?」
「誰だコレ」
「なんか聞いたことある声だな……」
「長官か。何やってんだ?」
4人は一旦戦いをやめ、声のする場所を探してキョロキョロした。
……しかし、ティオだけは事の重大さに青ざめる。
「……ぅ、そ……」
スパンダムは確かに言った、ゴールデン電伝虫を押した、と。
ティオの頭の中を駆け巡る、今までのバスターコールに出動した、海兵たちの記憶。
中には、クザンとロビンの記憶で見た、オハラでの一件もある。
『馬鹿なことを! 今すぐ取り消しなさい! 大変なことになるわ!』
スパンダムの声に続き、ロビンの声も聞こえてくる。
『なに~? 取り消しなさい~? おいおい、誰に向かって口聞いてんだテメェは! ……フン、貴様を確実に連行するためにバスターコールを掛けた、それでいいじゃねぇか。最悪ここで何が起ころうとも、最終的には海賊を皆殺しに出来るんだからよ』
『言ったはずよ! それだけでは済まないと! あの攻撃に、人の感情なんて無いわ! このエニエス・ロビーにあるものを全て焼き尽くす悪魔のような集中砲火! それがバスターコールよ! ……あなたは20年前にオハラで起きたことを知らないからっ』
『それで結構。カティ・フラムの馬鹿が設計図を燃やしちまった今、死んだことになってるティオを除き、古代兵器復活の鍵となるのはお前だけだからな、ニコ・ロビン。そのお前を追ってくる海賊共を確実に排除するためなら、たとえ海兵が何千人死のうと、栄えある未来のための尊い犠牲と言える。何より、俺の出世も掛かってるしなァ』
一番大事なのは"出世"だ。
そのために何千・何万の海兵たちを見殺しにしようというのだ。
『……人の命をっ、何だと思っているの!』
『フン、忘れんなよ? CP9とは政府の暗躍機関。1000人のために100人の犠牲が必要とあらば、迷わずその場で100人殺してみせる。そういう集団だ』
『何ですって……っ』
『そもそも、侵入した海賊を止められねぇ能無しの海兵なんて、死んだ方がマシなんだよ馬鹿野郎! ぬぁっはっはっはっはっ!』
……ついに、ぶっちゃけた。
おそらく今、エニエス・ロビー中の海兵たちは怒りに肩を震わせていることだろう。
『……ねぇ、その子電伝虫、放送用じゃ……』
『ぁん? ……のおおぉぉっ!』
……一体どこまでマヌケなのか。
『まさかっ、今の会話筒抜けかぁぁぁっ!? ……あっ、えっと……そ、そんなわけで、俺の名は、麦わらのルフィだ!』
……そんな出任せ、誰も信じるわけがないだろうに。
『全員島を離れて! エニエス・ロビーにバスターコールは掛かった! 島にいたら誰も助からないわ!』
『余計なこと言ってんじゃねぇよ!』
"ドカッ"
『ぁ……っ』
"ブッ……"
ロビンが殴られたような音がして、放送は終わった。
カクとジャブラがため息をつく。
「バスターコールが掛かったらしいわぃ」
「何をしてんだ長官は」
ティオは青ざめたまま俯いた。
……まさかここまでスパンダムが馬鹿だとは、正直、思っていなかったのだ。
バスターコールはただの脅しに使っているだけで、絶対にゴールデン電伝虫のボタンなど押すはずがないと思っていた。
……スパンダムは本当に分かっていないのだ、バスターコールがどれほど凄まじい攻撃なのかを。
「……っ」
ティオは唇を噛んだ。
……どうすればいいのだろう。
バスターコールは取り消しが出来ない。
海軍本部からエニエス・ロビーへは、軍艦を飛ばして30分。
このままでは、麦わら一味はエニエス・ロビーと共に海の藻屑になるほか―――
「ティオ」
落ち着いた低い声に突然呼ばれて、ティオは肩を揺らして顔を上げた。
ゾロが敵を警戒しながらも、こちらを振り返っている。
「ンな顔すんな。大丈夫だ」
「……でも、ばすたー、こーる、は……」
「その何たらコールを軽く見てるわけじゃねぇ。……だが、それを乗り越えられなきゃ、俺たちは先へ進めねぇんだ」
確かにそうだが、それは海軍大将や王下七武海、四皇のように、この世でたった一握りの人間のみが手にできる力だ。
その針穴のような狭く険しい道に、挑戦しようというのか……
「ウチの船長は、海賊王になる男だぞ?」
「!」
「信じろ、アイツとの約束と、俺たちを」
ティオは、見開いていた目をゆっくり閉じ、フっと肩の力を抜いた。
次に目を開いたとき、青い瞳に写っていたのは不安と恐怖ではなく、信頼と希望。
ゾロは敵に視線を戻した。
カクとジャブラは身構えている。
「さて、グズグズしてはおれんようになってしもうたわぃ」
「さっさと片付けて、正義の門へ急ぐとしよう」
と、そこで。
「あ」
ゾロが閃いたような顔をした。
刀に合わせて背筋を伸ばしていたために疲れてしまったそげキングが、ヨレヨレの声で尋ねる。
「何だぁ、何かひらめいたのかぁ? 手錠を外す方法か? それとも、ここから逃げ出す方法か?」
「お前の名前は―――名刀・鼻嵐」
「いい名前つけとる場合か!」
「バスターコールが掛かっとるんじゃ」
「急がねぇとな!」
カクとジャブラが突っ込んでくる。
「
「
「いやああぁぁぁぁああああぁぁぁっ!!」
そげキングは恐怖から刀をブンブン振った。
すると……
"ガキンッガキンッ"
偶然にも、攻撃が上手いこと弾かれる。
「よぉしよくやった、鼻嵐」
「へ?」
「見ろ、敵は完全に怖気づいてる。名刀・鼻嵐の威力にな」
「マジで?」
そう言われれば調子に乗ってしまうのがそげキング、否、ウソップ。
「はーっはっはっはっ! ゾロ君、わたしも覚悟を決めたぞ! やってやろうじゃないか! ここが勝負の分かれ目! 作戦続行だ!」
……ティオは思った。
ゾロに上手いこと乗せられてるな、と。
「さぁ遠慮なく行きたまえ!」
そう言ってそげキングは、ピシっと姿勢を伸ばして刀と一体化する。
「よく言った。名刀・鼻嵐、必殺、まきえ」
「ほほ~ぉ、"蒔絵"かぁ! この名刀・鼻嵐にふさわしい華麗な名だぁ!」
(……ちがうと、おもう)
ティオは別の文字を頭の中で思い浮かべていた。
ゾロはそげキングを高く持ち上げ、左右にゆらゆらと振る。
「ん……あれ? ぞ、ゾロ君?」
「何の真似だ?」
「まるで仕留めてくれと言わんばかりじゃなぁ」
「フン、俺が先にいただくぜ!」
「わしが先じゃ!」
見事に引っ掛かり、2人はそげキングに向かって猛突進。
2人を十分に引きつけて、ゾロはもう一方の刀を振り抜いた。
「うぉおらあぁっ!」
"シュウィンッ!"
「「
"ドゴォッ!"
ゾロの放った斬撃は、当たることなく遠くの岩を崩す。
「おいこらゾロォ! 蒔絵じゃなくて撒餌だったのか俺はぁ!」
「もう一回だ。必殺、撒餌」
「問答無用かテメェ! 第一その必殺の意味間違ってんだろーがぁぁ!」
再びゆらゆらと振られたそげキングに、動物として反応してしまうのか、カクとジャブラが突進した。