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2. 麦わらの一味
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「しっかし、ティオの言うとおりだな。港に並んでる船が全部海賊船っぽい……」
ウソップが言うと、ナミとチョッパーが青ざめた。
「あ~やっぱり~?」
「何なんだよこの街は~っ」
2人と1匹が嘆く中、船は港につけられ、ルフィとゾロが颯爽と降りていく。
「何だかいろんな奴がいるなぁここは」
「楽しそうな街だ」
港のあちこちで、小さな喧嘩がいくつも起きている。
楽しそうな笑い声が上がったり、変わった催し物が行われていたり。
ルフィやゾロのような人種は、好奇心をくすぐられるのだろう。
「無理よ……あの2人がトラブルを起こさないで戻ってこられると思う?」
ナミが訊くとウソップが首を横に振った。
「まぁ、ただでさえヤバそうな街だ。限りなく不可能に近いな……」
「そうよね……ってそれじゃダメなのよ!」
ナミは船から飛び降りてルフィとゾロの後を追った。
「待って! ルフィ! ゾロ!」
どうやら問題を起こさせたくないらしい。
「……行っちゃった」
チョッパーがポツンとこぼすと、ウソップは腕を組む。
「まぁ大丈夫だろ、あの2人がいりゃあ」
「何だよ、ナミさんが行くなら俺も「「うわああああああっ!!」」
ナミの後を追おうとしていたサンジは、ウソップとチョッパーに押し返された。
「お前は行くなー! お前まで行ったら、もしこの船が襲われたらぁぁ!」
「行かないでくれよぉぉぉ!」
2人はサンジにしがみつき、涙ながらに懇願する。
「チッ……分かったから離せ!」
3人の様子を、ティオは無表情のまま見つめていた。
今まで何百という海賊を見てきたが、こんな雰囲気の海賊船は珍しい。
泣き虫2匹をひっぺがしたサンジは、緩みきった笑顔でロビンの姿を探した。
「へへっ、それじゃ、お茶でも入れて留守番するか……って、ロビンちゃんは?」
「あれ? ……いない」
いくら甲板を見渡しても、そこにはティオがポツンと立っているだけ。
ウソップがダメモトで訊いてみる。
「サンジ君お茶は「勝手に飲め」
どうやら、ロビンも船外へ出かけてしまったようだ。
気落ちしたサンジはキッチンへ戻り、ウソップとチョッパーは木材と大工道具を持って、船の修理に降りていく。
「……」
手持ち無沙汰になったティオは、辺りを見渡した。
(えたーなるぽーす?)
階段の脇に、"JAYA"と表記された
「ティオちゃ~ん、お腹すいてないかい?」
船室のドアからサンジが顔を出した。
ティオは
「何でも作るぜ?」
「なん、でも?」
「あぁ、好きなもの言ってみな」
「……どーなつ……ちょこ、の」
「チョコレート・ドーナツか……お安い御用だ。ちょっと待ってな?」
"バタン"
サンジは船室の奥に戻っていった。
「……ちょこ、どーなつ」
表情がわずかに輝く。
「!」
ハッとしたティオは、頭をふるふると横に振り、持ったままの
(あらばすた、つぎ、じゃや。ろぐぽーすで、たりる。どうして、えたーなるぽーす、も?)
思考が渦を巻き始めた。
不必要な
この海域で起こりうる全ての可能性を考慮して、推測していく。
「……」
"ガチャ"
考えている間にかなり時間が経っていたらしく、サンジが船室から皿を持ってやってくる。
「お待たせ~! サンジ特製、トロピカルチョコドーナツだよ~!」
「!」
目の前で湯気を立たせる、揚げたてのドーナツ。
とろりとかけられたチョコレートの香りが、鼻をくすぐる。
無意識に目を見開いて、ティオは
船の階段に座り、皿を膝の上に置いて、ドーナツにかぶりつく。
「!」
目が見開かれ、膨らんだ頬は赤くなった。
それを見て、サンジは薄く笑みを浮かべながらティオの隣へ座る。
「うまいかい?」
「(コクン)」
生地の外側はサックリ、中はもっちり。
チョコはカカオ多めで、ほんのりと香る苦味が飽きを来させない。
今まで幾つものチョコドーナツを食べてきたが、こんなに美味しいのは初めてだ。
ほっぺたがチョコだらけになるのも構わず、ティオは次々にドーナツにかぶりついていく。
その様子を、サンジは微笑を浮かべて見つめた。
自分の料理を喜んで食べてくれるなら、コック冥利に尽きる。
しばらくすると……
「何かいい匂いすんぞ?」
「あっ、ドーナツだ!」
船の修理をしていたウソップとチョッパーが上ってきた。
「いいなぁ~ティオ。サンジ~、俺にもくれぇ!」
「俺も腹減ったぞ~……」
「今持ってくっから、ちょっと待ってろ」
サンジは一度船室に消えていった。
「……」
ティオは何かを思い出したように、食べかけのドーナツを一度皿に戻し、ウソップとチョッパーを見る。
「ねぇ」
「ん?」
「なんだ?」
「ろぐぽーす、うえ、むいてる?」
ティオはチョコのついた人さし指を空に向け、首を傾げた。
「ぅぇえっ!? なんで知ってんだ!?」
チョッパーがウソップの後ろに隠れる。
隠れ方が逆なのはお約束。
「あらばすた、つぎ、ろぐぽーす、じゃや、さす。えたーなるぽーす、いらない。えたーなるぽーす、ひつようなる、ということは、ろぐぽーす、ここ、さしてない。かんがえられる、りゆう、ふたつ」
空を指すティオの指が、2本に増えた。
「ひとつ、ろぐぽーす、なくした。ふたつ、そらじま、つまり、うえ、さしてる」
―――しばし、沈黙が流れた。
「ほらよ、ドーナツ持ってきたぞ……って、なに固まってんだ?」
サンジがドーナツを乗せた皿を持って、帰ってきた。
「ビビッた……海軍ってそんなことまで分かるのか?」
「オレっ、何となく怖えぇっ……」
「なんの話だ?」
「いや、それがよぉ……」
ウソップはティオの推理を話して聞かせた。
アラバスタを出たなら、次に
「すげぇな、ドンピシャだ」
「つーかティオ、空島知ってんのか?」
「(コクン)」
「んなあっさり!?」
ティオは食べかけのドーナツを再び食べ始めた。
またほっぺにチョコがべっとりついていく。
「えっ、じゃ、じゃあ! 空島はやっぱりあるのか!?」
「(コクン)」
「「マジか!?」」
ウソップとチョッパーは嬉しそうに目を見合わせる。
「そらじま、しってる、ひと、すくない。でも、ある。いちばん、おおきな、くに、すかいぴあ」
「スカイピア!? それって、ルフィが見つけてきた地図の名前じゃねぇか!」
「これのことか?」
いつの間にか、サンジが船室からスカイピアの地図を持ってきていた。
「……これ、すごく、ふるい、ちず。いまの、ちず、このちず、から、12かい、かいてい、されてる。これ、やく、200ねんまえの、ちず」
「す、すげえ! ロビンが言ってたのと同じ年だぞ!」
「どっからそんな情報ひろってくるんだ?」
「きぎょうひみつ。じょうほう、てぃおの、さいだいの、ぶき」
キラーン。
ティオは親指を立てた。
チョコだらけのほっぺたでドヤ顔……
「あ、はは……そうかい」
サンジは苦笑いしながら、キッチンから持ってきた布巾を取り出す。
それでティオのほっぺたを拭っていった。
まるで親子のやり取りだ。
「ま、ティオちゃんが知ってるなら話は早ぇや。ナミさんたちが戻ってきたら、詳しく話してくれるかい?」
「(コクン)」
サンジは、カラになった3枚の皿と布巾を持って、船室に戻っていった。
「よし! んじゃあ俺たちは船の修理の続きやるぞ! チョッパー!」
「おう!」
「てつだう」
「お! ティオも手伝ってくれんのか?」
「(コクン)」
ティオはウソップとチョッパーに続いて、船の下に降りていった。