夢主の名前を決めて下さい。
21. ゾロ VS カク
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
少し遡って、数分前。
「……くそっ、ここはどこなんだっ、誰もいねぇじゃねぇか!」
仲間たちと別れたゾロは、カクの元を目指して走っていた。
……が、桁外れの方向音痴である彼が辿り着けるわけがなく、塔の中を走り回っていた。
「また行き止まりかっ」
何度も目の前に現れる壁。
ゾロはもと来た道を戻ろうと後ろを向いた。
そのとき……
「ああああああっ!!」
……小さな、しかし尋常ではない叫び声が聞こえた。
「……」
ゾロは眉間のしわを1つ増やして、駆け出した。
声のした方へ、ただまっすぐに進む。
10秒も走れば、
本能が、ここだと教えている。
ゾロは迷うことなく扉を切り崩した。
"スパッ……ドゴォッ"
「はぁ……ったく、迷路かここは。分かりづれぇ建物だな」
吹き飛んだ扉が、落ちた先。
見覚えのある四角鼻と、よく見知った金髪の少女。
「……ぞろっ」
青ざめ、様々な感情が入り混じった顔が、自分の名前を呼んだ。
……傷だらけで、真っ赤な血にまみれた細足。
左足に至っては、本来は曲がらない部分が、変な方向に曲がっている。
「ほう……お前さんが来たか」
カクがニヤリと口角を上げた。
ゾロは眉間にしわを寄せたまま、表情を変えない。
「そこのチビと、チビの首輪の鍵、ロビンの手錠の鍵……やられる前に渡すか?」
「愚問じゃ。分かっておろう?」
"ジャラ……"
「……っ」
カクは鎖を引っ張り、ティオを立たせた。
ティオはかろうじて無事な右足で立つ。
血が噴き出し、床に染みを作った。
「隅へ行っとれ。巻き添えで死なれてはかなわん」
鎖が手放される。
……本当なら、すぐさまゾロの元へ駆け寄りたかった。
けれど、それは許されないだろう。
きっと走り出そうとした瞬間に足を切り落とされてしまう。
「……」
ちらりとゾロを見ると、まっすぐに目を合わせ、小さく頷いてくれた。
助けてやるから無理するな、と言われた気がする。
ティオは左足を引きずり、部屋の隅まで行くと、角にハマるように座った。
「さて……」
カクは椅子に立てかけていたもう一本の刀を手に取り、ゾロの真正面に立つ。
口元には笑みが浮かんでおり、楽しそうだ。
「ガレーラの屋敷ではお前の真の実力を見られず、残念に思うとった。まさかここまで海賊がやってくるとは、思いもよらんしのう」
「……あの時より数段強ぇんで、気をつけろ」
「じゃろうなぁ。気が満ちとる……魔獣のような気がなぁ」
刻々と刺すような鋭さを帯びる部屋の空気。
「恐ろしい男じゃ。……が、わしの剣術もCP9随一の実力。甘く見るなよ?」
「……二刀流か」
「いいや?」
カッと二本の刀を床につき、体を支え、両足を振り抜く。
"シュォ……ッ"
繰り出された二撃の斬撃を、ゾロは両手の刀でそれぞれ弾いた。
"ガキィンッ……ドゴッ"
弾かれた斬撃は部屋の壁を崩す。
「悪いがわしは、四刀流じゃ」
ゾロは三本目の刀を口にくわえ、嬉々とした表情で身構えた。
「問題ねぇよ。全身武器だもんなぁ、そういや」
"シュダッ"
力強く踏み込み駆け出したゾロ。
2人の距離が20cmほどになったとき、カクの姿が消えた。
常人なら見失うその姿を、ゾロはしっかり目と感覚で追って、背後からの攻撃を受ける。
"ガキィンッ"
ギリギリと鳴る刀。
2人は膠着状態に入った。
「……」
「……」
互いの隙を探るように睨み合う。
そしてどちらからともなく斬りかかった。
"ガッ、キィンッ、ガッ、ガッ"
一撃ごとに余波で空気が震える。
「
「七十二
"ズガァンッ!"
大技のぶつかり合いで砂煙が起こる。
「……
「!」
"ガキンッ"
死角からの攻撃を、ゾロは左の刀を半回転して床に突き刺すことで受けた。
その体勢から右の刀を振り抜く。
"キィン…ッ"
カクは斬撃を刀で受けて後ろに跳んだ。
その一瞬を見逃さず、ゾロは刀二本を横一文字に振り抜く。
「……っ」
"フォンッ"
カクは身を反らし、ギリギリでかわした。
服の端が切れて宙を舞う。
カクにはそれが、一瞬だけスローモーションのように見えた。
……部屋の隅で2人の戦いを見るティオは、無意識に目を見開いていた。
戦いのレベルの高さに、ではない。
ゾロがカクと対等に渡り合っていることに驚いていたのだ。
CP9を相手にこれほどまで……
「……ははっ、ははははっ、楽しいのう!」
久々に実力のある敵に会えたからか、カクは興奮を押さえ切れない様子。
対してゾロは、仏頂面で刀の切っ先をカクに向けた。
「俺には楽しむ暇なんかねぇ」
「……なら、わしを仕留めることじゃ」
"シュッ、カッ、カッ"
「
"シュバババババババババババッ"
「!」
繰り出される無数の斬撃が、ゾロを襲った。
「くっ」
"ガガガガガガガガッ"
的確に、一撃一撃を刀で弾いていく。
外れた斬撃と弾かれた斬撃、全てが部屋の壁や床を崩した。
斬撃を全て防ぎ切ったゾロは、軽く息を切らせながらカクを睨みつける。
「……テメェ、俺をナめてんのか。その程度で殺れるわけねぇだろ」
「いや~ぁさすがじゃぁ。……そんなに急ぐんなら、見せてやろう? わしの新しい力」
「!」
ぐにゃりと、カクの影が揺らぎ、その姿が変わり始めた。
そのとき……
"ピシッ……ピキィッ"
壁や床が小さく鳴り始めた。
そして……
"ガラッ"
カクを中心に床が崩れ始める。
どうやら体が重くなったことで、崩れかけだった壁や床が耐えられなかったようだ。
「ぬぁっ、しまった! 床が!」
カク自身、これは想定外だったらしい。
「……ヤバイっ」
小さく叫んだゾロは、左手の刀以外を鞘に収め、一直線にティオの元へ走った。
ティオは立ち上がって壁に背をぴったりつけて、どうしたものかと足元を見てそわそわしている。
刻一刻と亀裂が増え、今にも崩れそうだ。
首輪さえなければ、
「ティオ!」
「?」
呼ばれた方を見れば、ゾロが走りつつ空いた右手を伸ばしていた。
「早く来い!」
「……ぞろっ」
ティオは右足だけで力の限り踏み込み、跳んだ。
ゾロは飛んできた小さな体を抱き留め、細い腰に右腕を回す。
そして、床が崩れて出来た穴から、下の階を見下ろした。
「しっかり掴まってろ?」
「(コクン)」
ティオはゾロの首に腕を回し、抱きつく。
……何故か、こんな状況にも関わらず、心が落ち着いた。
"ガラッ"
限界が来たのか、ゾロの足元が崩れ始める。
ゾロは表情を変えずに下の階を見つめ、崩れていく瓦礫を1つひとつ飛び移り、下へと降りていった。
「……よっ、と」
タンっ、と無事に下の階に辿り着く。
足元は、屋内なのに何故か芝生。
まるで外のようにガーデニングされたその部屋では、小鳥が飛び、ニワトリが