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20. エニエス・ロビー
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ルフィが助けると宣言した、ちょうどそのとき。
"ガコン…ッ"
裁判所と司法の塔を繋ぐ唯一の通路、跳ね橋が降り始めた。
「お、フランキー一家の奴らやったんだな」
「いいタイミングだ」
「大丈夫か? そげキング。足、ガクガクしてるぞ?」
「む、武者っ震いだよっ、チョッパー君っ」
「くくっ、早く降ろせ」
「ゾロ、あんた極悪人の顔になってるわよ?」
スパンダムがこれでもかと目を飛び出させて叫ぶ。
「のわぁぁぁっ、来んなーっ!」
すると、それに応えるように……
"ズドォンッ"
跳ね橋に向けて一斉砲撃が始まった。
それを十発ほど受けると、跳ね橋は半分開いただけで止まってしまう。
「おいおい、止まっちまったぞ?」
裁判所の中から、裁判長のバスカビルが、スパンダムに向かって叫ぶ。
「スパンダム長官~! 今のうちに避難を!」
「はっ、はぁっ、バスカビルか……何とかなったな……アイツらが渡ってくる前にさっさと逃げねぇと……オラ、来い! ニコ・ロビン!」
スパンダムはロビンを連れて建物の中へ入って行こうとする。
「誰かカティ・フラムを連行しろ! ……ん?」
スパンダムがふと目をやると、フランキーは至って真剣な顔でそこに立っていた。
突然、どこからか紙の束を取り出す。
「何してんだ?」
行動が理解できず首をかしげるスパンダムだったが、紙束の表紙を見て青ざめた。
「ぷ、プルトンの設計図!?」
その声に、CP9も全員そちらを向く。
「本物だ。信じるか?」
フランキーは紙束の端をつまみ上げた。
「ルッチ、カク、オメェら分かるよな?」
そう言って1枚ずつパラパラと最後までめくっていく。
ルッチとカクは動揺を隠せず目を見開いた。
「まさかとは思うたが、貴様、まさかそれを自分の体に隠し持っておったのか……」
「ほ、本物なのかっ……寄越せ! 俺の念願の設計図!」
手を伸ばすスパンダム。
フランキーはそれを軽々とよけると、ロビンに言った。
「ニコ・ロビン。世間の噂なんてのは大したもんじゃねぇな。ここに辿り着くまでに、お前が兵器を利用しようとするような悪魔じゃねぇと分かった。そっちの小せぇ嬢ちゃんにしても同じだ」
「……」
「そもそも、ウォーターセブンが代々受け継いで来たモンは、何も兵器の作り方なんかじゃねぇんだ。……なぁ、スパンダ。トムさんやアイスバーグが先代の遺志を継いで守ってきたものはなァ……」
「スパンダ"ム"だ! いいからさっさとその設計図を寄越せ!」
「もし古代兵器がオメェみてぇな馬鹿に渡っちまった時、対抗する兵器を生み出し、その馬鹿の暴走を阻止してくれという設計者の願いだ。……確かに、ニコ・ロビンやあのチビ、ティオだっけか? 利用すりゃァ古代兵器復活は叶う。例え本人たちにその気がなくとも、危険は拭えねぇ。……だが、そいつらには、死をも恐れず守ってくれる仲間がいる。だから俺は賭けをする。俺が今、この場で設計者の思いを組んでやれるとすりゃ、1つだ」
「グダグダ言ってねぇで早く渡せ! それは俺のモンだ!」
喚き散らすスパンダムを尻目に、フランキーは設計図に向けて頬を膨らませた。
「フレッシュ・ファイア!」
元々、古くてボロボロの紙。
それは普通の紙より遥かに燃えやすかった。
"ボォ…ッ"
設計図は灰になり、スパンダムの目の前に降り注ぐ。
「んなっ……てめっ、何、を……っ」
さすがのCP9も、唖然として灰になった設計図を見つめた。
……5年間が、全て無駄になってしまった。
「本来こんなモンは人知れずあるモンで、明るみに出た時点で消さなきゃならねぇんだ。これで古代兵器に対抗する術はなくなった。ニコ・ロビンとティオがこのままオメェらの手に落ちれば、絶望だ。……だが、麦わらたちが勝てば、オメェらに残されるモンは何一つねぇってことだ。俺は、アイツらの勝利に賭けた!」
「っんの、ふざけたマネをっ!」
そこへ……
「ア~ニキ~!」
「迎えに来やしたぜ~!」
フランキー一家の声が響いてきた。
裁判所や、跳ね橋のレバーがある塔から手を振っている。
フランキーは目を見開き、次いで涙ぐんだ。
「おっ、オメェら……ぐすっ、誰が助けに来いなんてっ頼んだんだよぉ! 馬鹿! 泣いてねぇんだからな!」
「ア~ニキ~!」
「一緒に帰りましょうーっ!」
「ソドムとゴモラも頑張ったんですぜ!」
裁判所中から響くアニキ・コール。
ルフィはその声に向かって叫んだ。
「うるっせぇ!」
ゾロとナミはドン引きする。
「「いや、鬼かっ!」」
「ロビンとティオが待ってんだ! 早く橋をかけろ! さっきからちっとも動いてねぇぞ!」
「あ、そっか、そうだったわ」
「それもそうだな。オラ、さっさとしろテメェら!」
「急ぎなさいよ! ぶっ飛ばすわよ!?」
「「「え……ですよね~」」」
「そんな取り止めのないナミさんも好きだぁぁぁっ!」
……と、ハートを飛ばしまくるサンジは置いておいて。
フランキーはルフィに向かって叫んだ。
「おい! 麦わら!」
「んぉ?」
「子分たちが世話になったようだな。今度は棟梁のこのフランキー様が、スーパーな大戦力となってやる!」
「勝手にしろぉ! 俺はまだ、ウソップのこと根に持ってんだからなぁ!」
「……いや、隣にいるだろうが……」
仮面を被り、そげキングと名を変えたウソップが。
「……カティ・フラムっ、テメェよくもっ」
フランキーは気づかなかった。
背後に、憎悪に満ちたスパンダムがいたことに。
「おらぁぁっ、死ねぇぇぇっ!」
"ドンッ"
「なっ」
背中に受けた衝撃と、一瞬の浮遊感。
フランキーは、バルコニーから突き落とされた。
「なにぃぃぃぃっ!?」
このまま落ちれば海の底。
確実に命は無い。
「「「うわぁぁっ、アニキ~!」」」
もはや絶体絶命。
……そのとき、ナミの懐で子電伝虫が喋った。
『おいガキども!』
「え、ココロさん?」
『話は全部聞こえてるよ。何をグズグズやってんらい?』
「でも、橋が半分しか……」
『半分かかってりゃ十分ら。あと4秒でそこへ着くよ。思いっきり滝に向かって飛び込みなぁ!』
「ナミ、怪獣の婆さんか? 何だって?」
「ん~分かんないけど、滝に向かって飛べって……」
"シュポーッ!"
「おっ、海列車の音……ニシシッ」
そげキングが青ざめる。
「お、おいおいルフィ君、その笑みは……」
ビヨ~ンと、ルフィの腕が伸びた。
「よしっ、行くぞ!」
「うぇえっ、ちょっ、まっ」
問答無用。
ルフィは一味全員を巻き添えに滝へと飛び出す。
「うぎゃあああぁぁぁっ!」
「いやああああぁぁぁっ!」
"シュポーッ!"
飛び出した麦わら一味の目に映ったのは、裁判所を抜け、橋を登ってくるロケットマン。
「んよっと」
"ドカッ、ドカドカッ"
ちょっと、いや、かなり痛い音がして、一味はロケットマンの車体に着地した。
フランキーも先っちょに引っ掛けられる。
ロケットマンはそのまま、司法の塔へと突っ込んでいった。
"ドゴォッ"
一部始終を見下ろしていたスパンダムは、青ざめて頭を抱えた。
「き、来たっ、来ちまった! ちきしょーっ! 来いテメェ!」
「……っ」
スパンダムはロビンを引っ張って正義の門へと向かい始める。
「さぁお前たちを解放するぞ、CP9! この司法の塔でアイツらを叩き潰せ! 斬殺を許可する! ルッチ、お前は俺と来い! 何をおいてもまず俺の命を守れ! そんで、カク! お前はその元・伝承者の……っておい、待てよ? 確かそいつ、カティ・フラムがプルトンの設計図パラパラめくるの見てたよな? だとしたら、描けるはずだ、設計図を!」
ティオは思わず肩を揺らした。
1枚、1枚、見えたのはほんの一瞬だが、ティオの記憶力をもってすれば十分すぎる。
スパンダムは、俺ってば天才? などとぼやいてから、改めてカクに命令を出した。
「カク、お前はそいつを監視しつつ設計図を描かせろ! 言うこと聞かねぇようなら、手と頭以外は多少どうなっても構わん!」
「了解」
「さぁ、散れ! CP9!」
"シュタッ"
ルッチを残し、他のCP9はそれぞれの持ち場に向かった。
「くくくっ、まだまだ希望はあった! やっぱ使えるなァあのガキは! ぬぁっはっはっはっはっはっはっ!」
スパンダムは高笑いしながら、ロビンとルッチを連れ、お気に入りの象剣ファンクフリードを携えて、正義の門へと歩き出した。
→ 21. ゾロ VS カク
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