夢主の名前を決めて下さい。
19. CP9
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
話はまとまり、ウォーターセブンの水路に無数のヤガラが解き放たれた。
その背には大工たち。
チョッパーの指示の下、方々に散ってルフィとゾロを探しに行く。
ナミはパウリ―と共に駅へ向かった。
「ハレンチ女! そこ右に曲がれ! 駅への近道だ!」
「だからその呼び方やめてってば!」
パウリ―の道案内に従い、ナミはヤガラを走らせた。
しかし途中で……
"ポォーッ……"
距離が遠いために小さくだが、汽笛が聞こえた。
「ねぇちょっと、今汽笛聞こえなかった?」
「あぁ、そうだな……まだ出港の時間には早ぇが……。そうか! 乗ってるのが政府の人間だけともなりゃ、奴らの裁量でいくらでも時間を早められる!」
「そんなっ、もう出港するってこと!?」
それから数十秒で、ヤガラが駅に到着した。
「ありがとう! ヤガラちゃん!」
ナミは一目散に駆け出していく。
「正面の入り口から入れ!」
「うん!」
駅の正面入り口に飛び込み、階段を駆け下りるナミ。
"ポォーー……"
汽笛が鳴り響き、目の前を列車が通過した。
既に出発していたのだ。
「待ってロビン!」
ナミは必死に海列車を追いかけながら叫ぶ。
ロビンの姿は見えないが、列車のどこかにいるなら聞こえるかもしれない。
「お願い! 早く降りて! アタシたち、誰とだって戦うから!」
海列車は変わらず走り続ける。
「ロビン答えて! お願い!」
"ポォーーッ……"
「ロビーンっ!!」
……汽笛は遠ざかり、辺りは波の音だけになった。
ナミは駅のホームに座り込む。
そこへ、遅れてパウリ―が走ってきた。
「はっ、はぁっ……間に合わなかったか」
「……」
座り込んだナミを見てから、時計を見る。
現在10:53。
見回すと、駅員が2人見えた。
「随分早く出したんだな、最終便」
「え、あ、はいっ、乗客は全員揃っておられましたし……」
「波も高くなっていたので……」
「そうか。……さすがに、出ちまったモンは止められねぇな。……おい、一旦戻るぞ?」
「……」
「おい?」
返事をせず、俯き続けるナミ。
その肩は、小刻みに震えていた。
「な、泣いてんのかっ?」
パウリ―はどうしたもんかとオロオロする。
「ま、まぁアレだ、気持ちは分か「追うわよー!」
「怒ってたのかよ!」
「んもう許さないわ! 政府の馬鹿共ォ! ねぇ、船貸して!」
「な、何だテメェ急に……」
「大きくて強いヤツがいいわ!」
「んなっ、この大荒れの海に船を出すってのか!? テメェ! アクアラグナの強さも知らねぇで馬鹿言ってんじゃねぇぞ!」
「越えてみせるわよ!」
「テメェの考えてる高潮とはワケが違うんだぞ! これから海はさらに荒れる。そんなところへ船を出すなんざ、死にに行くのと同じことだ!」
「だけど! ロビンだってアタシたちのために命を投げ出しt"ガシッ"
突然、パウリ―はナミと駅員2人を抱え、階段の方へ走り出した。
"ザパァッ!"
パウリ―の後を追いかけるように波が打ち寄せる。
"ドゴォッ!"
およそ波の打ち寄せる音ではない音が響き渡った。
「はぁっ……はぁっ……」
間一髪、4人は階段まで登り、助かる。
ナミは、さっきまで自分がいた場所を海水がさらっていくのを呆然と見ながら、パウリ―に礼を言った。
「あ、ありがとう……」
「……見ろよ。あのデカい建て付けの時刻案内板が波にもぎ取られた。……こんなこと、今まで一度もなかった」
「それって、いつもより規模が大きいってこと?」
「あぁ。……何だこの引きの強さは。この分じゃ返って来る波も相当デカいぞ」
「ちょっと待って、それじゃロビンが乗った海列車は……」
「それは大丈夫だ。最終便は波が高くなる前に嵐の海域を抜けられる。もともと、大抵の大波は越えていける設計だしな」
と、そこへ……
「おい、ナミってのはアンタか?」
ガレーラの船大工が1人やってきた。
「え、うん、そうだけど……」
「駅前広場にポツンと置き手紙が。お前の仲間だろ?」
「手紙って、そんな小さいのよく見つかったわね」
「あぁ。子電伝虫と一緒にあったんだ」
その船大工に連れられて、駅前広場に出る。
すると、駅の壁にピンクのペンキで、大きくメッセージが書かれていた。
『んナミさぁ~ん! これ読んで!』
ハートで飾り付けられたその文面の下には、小さくこう続いていた。
『ナミさん以外は読まんでよろしい。アホだから』
……誰が書いたかなんて一目瞭然。
ナミは呆れと怒りを同時に感じながら、手紙を開けた。
パウリ―がその背後に立つ。
「何が書いてあるんだ?」
「あー、ちょっと待って。前半ムダなラブレターだから」
ナミは前半を読み飛ばし、話の本筋へたどり着いた。
『追伸:11時発の海列車にロビンちゃんを見かけたので、乗り込むことにする。もしかしたらティオちゃんも乗ってるかもしれねぇ。列車には何故か、ウソップとリーゼントのでっかいチンピラも乗ってるみたいだ。それから、その子電伝虫を俺だと思って肌身離さず持っててくれ。列車には電伝虫の一つくらいあるだろうから、出来るだけ早く連絡する。……それじゃ、しばしのお別れだ、愛しのナミさん』
読み終えると、ナミは容赦なく手紙を丸め、熱い眼差しでガレーラ・カンパニーを振り返った。
「ロビンにはとりあえず、サンジ君がついてるわ。ティオを取り返すためにも、とにかくエニエス・ロビーへ行かなくちゃ!」
言うなり、走り出すナミ。
パウリ―や他の大工たちと共に、チョッパー率いる捜索隊に合流した。
……そのとき。
"ポツ―――"
雨粒が落ちてきた。
チョッパーが鼻を動かす。
「ヤバイっ、匂いが消えちまう!」