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18. 一味崩壊の危機
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その頃。
ルフィとナミはアイスバーグを尋ねるため、ガレーラ・カンパニーに来ていた。
……しかし。
「何でもいいから教えて!」
「昨日いったい何があったんだ!」
「アイスバーグさんの意識はまだ戻らないのか? 大丈夫なのか!?」
造船所の前は人がごった返していて、どうにも中に入れる雰囲気ではない。
アイスバーグがいるとしたら自宅だろうが、自宅は造船所の中にあるため、どちらにせよ造船所に入る必要がある。
「どうしよう……」
ナミはヤガラの手綱を引いて、いろんな角度から造船所を見てみた。
その後ろで、ルフィも無い頭をひねっている様子。
するとそこに、リズムのいい音楽が聞こえてきた。
「なっ、この音楽は……」
人々が嫌そうな顔で耳を塞ぐ。
「ア~ゥ! 今、俺の名前を呼んだか~?」
「呼んでねぇよ! どっか行きやがれフランキー!」
人々が上を向くので、ルフィとナミもそちらを見上げる。
建物のてっぺんに人影が3つ見えた。
「アゥ! 俺様はこの島一のスーパーな男! ウォーターセブンの裏の顔、ン~~~っ、フランキー!」
人々は次々に逃げ出した。
ルフィとナミはきょとんとした顔でそれを見送る。
「なぁ、いるんだろ? 出てこいや、麦わらああぁぁぁっ!」
フランキーなる男はサングラスを外し、見開いた目でルフィを探し始めた。
ルフィは眉を顰めてフランキーを見上げる。
「何だアイツ、俺の名前を呼んだぞ?」
ナミがハッとした。
「ねぇルフィ、アイツ、フランキーって呼ばれてなかった?」
途端、ルフィの表情が険しくなる。
「フランキー……アイツがっ」
金を奪い、ウソップを痛めつけた、許しがたい男。
「オメェか、麦わらのルフィってのは。人の留守中にエラく好き勝手してくれたようじゃねぇの? オニィちゃん。帰ってみたらビックリよ、家は跡形もねぇし、子分共は手ひどくやられてるしよ~ォ?」
「ちょっとアンタ! アタシたちの2億ベリー返しなさいよ!」
「アァン? 2億ベリーだぁ? そんなもん、使っちまってもうカラッケツよォ」
「……何ですってぇ?」
「どこぞで奪ってきたような金を、一丁前に守ろうとすんじゃねぇよ海賊が!」
「そんなのはどうでもいい」
「「?」」
ルフィの一言に、ナミが噛みついた。
「よくないわよ! 何言ってんのアンタ!」
「ンなことより、俺はお前をぶっ飛ばさねぇと気が済まねぇ!」
「フン……気が済まねぇのは俺の方だ!」
「おいお前! こっちへ降りて来い!」
「ヤバイ! フランキーが暴れ出すぞ!」
「みんな逃げろ!」
「え、何よ……アイツそんなに強いの?」
ナミが戸惑い気味に周囲を見渡している間に、フランキーは大きく息を吸い込んでいた。
そして、思いっきり吹き出す。
「フレッシュファイヤー!」
ゴォっと、辺り一面が炎で包まれる。
「んなっ、口から火を吹いた!?」
「何者なのよ、アイツ! ……もしかして能力者?」
「何の実だ?」
ルフィとナミが困惑しているうちに、フランキーはルフィ目掛けて水路へと飛び込んだ。
"ザパァンッ!"
「え、飛び込んじゃったわよ?」
「馬鹿なのか!?」
しかし……
"バキャッ"
フランキーはルフィたちの乗ったブルを壊して水面へ出てきた。
どうやら泳げるらしい。
「きゃあっ」
「フン、悪魔の実なんか食っちゃいねぇよ」
「っ……ゴムゴムのォ」
「聞いてるぜ、お前の能力……ストロングライトォ!」
「ぐぁぁっ」
鎖で伸ばされた拳で、ルフィは吹っ飛ばされる。
「ルフィ! …………何よ、今の……」
「あれぇオネェちゃん、知らなかったのか? 俺は鋼鉄の男、
「
話しているうちにルフィが復活する。
「ゴムゴムのっ、
「ストロングライトォ!」
"ガッ、バシッ、ドドドッ"
2人は戦いながら、造船所の中へと場所を移していった。
双方、人知を超えたパワーを有するため、造船所内の器物がどんどん破損していく。
「ゴムゴムのっ、
「ウェポンズレフトォ!」
"バキッ、ドカッ、バキィッ!"
「おいおいヤベェぞ!」
「ガレーラカンパニーが……」
壊れゆく造船所を唖然として見つめる人々。
……と、そのとき。
"バキャッ!"
「「ぐぉ……っ」」
ルフィとフランキーが同時に吹き飛んだ。
人々の表情が一気に輝く。
「来た!」
「やっと来てくれた!」
「「1番ドックの職長たちだぁ!」」
ルフィとフランキーの目前に現れた、5人の男たち。
「あ、お前ら!」
「チッ……ガレーラか。邪魔しやがって」
昨日話をした顔触れのため、ナミはホッと息をつく。
「よかった、昨日の船大工の人たちだわ。味方よね」
フランキーは機嫌悪そうに突っかかった。
「おいおいガレーラ、なに邪魔してくれてんだオメェら」
「それはこっちのセリフじゃフランキー。工場をこんなにしおって」
「うぉぉぉっそうだぞフランキー! この壊れたクレーンどうしてくれんだぁぁ!」
「……ンなこたァ今はどうでもいいだろ、タイルストン」
「あ!? よくねぇよパウリ―!」
「ンなことより……」
1番ドック艤装・マスト職職長のパウリ―がルフィを指さす。
「くだらねぇマネしてくれたな。テメェの狙いは何だ、麦わらァ!」
「え……何だって、ニュースでおっさんが撃たれたって聞いたから……」
工場壊されて怒ってんのか?
そんなことを考えながら、ルフィは珍しく焦った表情を浮かべた。
フランキーがため息混じりに言う。
「俺ンとこだけじゃ飽き足らず、ガレーラにまで喧嘩売ってたのか。オメェらは触れる者みな傷つける思春期かよ」
「や、そりゃあ工場壊したのは悪かったと思ってるけどさ!」
「ンな話してんじゃねんだよ。とぼけるってんなら、締め上げるまでだ!」
そう言ってパウリ―は、仕込んでいたロープを伸ばす。
「ロープアクション! エアドライブ!」
「うわああっ」
ルフィはロープで釣り上げられ、瓦礫の山へ投げられる。
「……げほっげほっ、待てよ! 工場のことじゃねぇなら何なんだ! 俺はお前らと喧嘩する理由がない!」
「あくまでシラを切るか……」
1番ドックの、ピッチ・鍜治・滑車職職長のルルがピストルを構える。
"パァンパァンッ!"
「うおっ!?」
しかしルフィには効かない。
「チッ、コイツ能力者か」
『どいてろフルッフ~』
ルルに代わり、木びき・木釘職職長のルッチが格闘術でルフィに挑む。
鳩のハットリが傍で飛んでいた。
『フルッフ~』
「くっ……やめろっつってんだろーが!」
『ゥルッフウ!』
"ドカッ"
「のわぁっ」
昨日世話になった手前、ルフィは大工たちに手出し出来ない。
「げほげほっ、ほんとに強ェなコイツら……くそっ、何なんだ! 理由くらい言え!」
そこへパウリーがやってくる。
「理由が知りたいのは俺たちの方だ」
「?」
「
「「!?」」
ルフィはもちろん、少し離れたところにいたナミも目を見開いた。
「なっ、馬鹿言え! 何で俺たちがそんなことすんだ!」
「……あくまでシラを切り通すってか」
「だ、だって、俺たちは何も……」
「アイスバーグさんは犯人を見たと言っていた。1人は仮面をかぶった大男。そしてもう1人は、長身で黒髪の女。政府に訊きゃァ、その女はお前らの仲間だそうじゃねぇか、ニコ・ロビンって女はよォ」
「「ロビン!?」」
どういうことだ。
ロビンがアイスバーグを襲撃した?
「初めっからアイスバーグさんの命を狙ってこの島に来たのか、それとも昨日、急に馬鹿な気を起こしたのか、海賊の考えることは分からねぇがなぁ……犯人と分かった以上、お前らを野放しにはしねぇ!」
人を殺せる勢いでルフィを睨むパウリ―。
カンパニーの前に集まった人々が、1人、また1人と拳を握っていく。
「アイツが犯人なのかっ」
「許せねぇ……絶対許せねぇ!」
そこにフランキーが割り込む。
「なぁガレーラの兄ちゃん達、そんで、アイスバーグは死んだのか~? あぁん?」
「こんな馬鹿共に殺されてたまるか! 生きてるからこそ、また狙われねぇようにコイツをここで始末すんだ!」
"ヒュッ……カッ"
「いてっ」
何かがルフィの頬をかすめ、すぐ後ろの木材に刺さった。
よく見れば
それを放ったと思しきカクが、帽子を目深にかぶって告げる。
「DEAD OR ARIVE。生死を問わず。つまり、お前たち海賊は誰に何をされても文句は言えん。世界の法は、お前らを守らんということじゃ」
「……あぁ、ンなこと分かってる」
ルフィは頬の傷を拭って立ち上がる。
「けどな、お前ら……ロビンのこと何も知らねぇくせに! 勝手なことばっか言うな!」
パウリ―がタバコの煙を吹いた。
「テメェらの言い分なんざ聞いてねぇ。俺たち、もといこのウォーターセブンの住民が、最も信頼を置くアイスバーグさんが犯人だと証言したなら、俺たちはテメェらを捕えるまで。俺たちガレーラカンパニーだけじゃねぇぞ、このウォーターセブンの全住民が、テメェら麦わら一味の敵だ」
「……っ」
ルフィは自分に刺さる数百の視線を感じた。
カンパニーの前に集まった人々が、全て敵に見える。
……と思った瞬間には、反射で足が駆け出していた。
「ナミ! 走れ!」
「え、ルフィ?」
「とにかく、意味が分かんねぇ。何とかしてアイスのおっさんとこに行こう!」
「そんなっ無理よ! こんな騒ぎのなk――」
ルフィは有無を言わせずナミの腕を掴み、ゴムゴムのロケットで空へと飛び出す。
「きゃあああぁぁぁぁっ」
とりあえず手近な屋根に降り立つと、そのまま屋根伝いにアイスバーグの家を目指した。
「アイスのおっさん家はどっちだ、ナミ!」
「そりゃあっちだけど………はぁ」
こうなったら何を言っても聞かない。
ルフィに抱えられたまま、ナミはため息をつくしかなかった。