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18. 一味崩壊の危機
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不穏なまま、約束の10時はやってきた。
ルフィはメリー号から50mほど離れたところで、ウソップを待つ。
「いいかお前ら、誰一人、絶対降りてくんじゃねぇぞ」
メリー号にいる仲間たちに最後の釘を刺したところで、足音が聞こえてきた。
「あ、来たわ」
「ウソップー!」
ルフィの真剣な眼差しに、同じく真剣なウソップが映り込む。
「後悔すんなよ? お前が望んだ決闘なんだからな」
「当たり前だ。手加減もなしだぞ。俺は本気でお前に勝つ。そのために算段もつけてきたんだ」
夜風が強さを増す。
チョッパーは落ち着かない様子でゾロに訊いた。
「な、なぁっ、止められねぇのか!? ウソップ酷い怪我なんだぞ!?」
「見てられねぇなら部屋に入ってろ」
「……っ」
どうすることもできない。
チョッパーはそれきり黙った。
戦いの皮切りに、ウソップが話し始める。
「ルフィ、俺を今までの敵と同じだと思うなよ? お前の能力はよく知ってんだからな」
そして大きく息を吸い込んだ。
「聞いて驚くな! 俺様には8000人の部下がいる! 命が惜しければ今すぐ降参しろ!」
それを聞いて驚いたのは、ルフィではなくチョッパーだった。
「ぅぇぇええっ!? 8000人!?」
ゾロが呆れ顔で言う。
「……お前、やっぱり部屋入ってろ」
ルフィは奥歯を噛み締めた。
「オメェにそんなもんいねぇことぐらい知ってる!」
「ウソップ・スペ~ル! 全ての歯の間にカミソリが挟まった!」
そんな言葉攻撃にダメージを受けたのは、またしてもチョッパー。
「にぎゃあっ、想像しただけで痛ぇ!」
「……お前、マジで部屋入ってろ」
「全ての爪の間に、サボテンの針が…「ゴムゴムの~っ」
ウソップ・スペルはルフィには効果が無いらしい。
ルフィがゴムゴムの
「ゴフッ!」
「!」
ウソップの足元にビチャビチャと水溜りを作る赤いもの。
ルフィは慌てて立ち止まった。
「……必殺、ケチャップ星」
「な……っ」
「同情か? えらく余裕じゃねぇかルフィ」
「っ、ゴムゴムの「フラッシュダイヤル!」
ウソップの手に、いつの間にかダイヤルが握られていた。
強烈な光が放たれ、ルフィは無意識に腕で目を覆う。
そこへ……
「必殺、卵星!」
"ヒュッ、ベチャッ、ベチャベチャッ!"
卵の連弾が飛んできた。
「うわっ、くっせぇっ! 腐ってる! ンの野郎っ、真面目にやれ!」
「馬鹿々々しいが、大マジだぞルフィ」
「なに……?」
「これが俺の戦闘だ! ンな大口開けてっとヤケドすんぞ! 必殺タバスコ星!」
"ヒュッ、スポッ、ゴクン"
「のぁっ、
ルフィは火を吹き、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
それを見逃さないウソップ。
「のたうち回るのも気をつけろよ? そこは既に蒔きビシ地獄だ!」
"プスッ"
「痛ってぇぇぇぇぇっ!」
意外や意外、ウソップのペースだ。
「いいかルフィ、俺は必ずお前を倒してメリー号を貰う! どんな手を使ってもな!」
「……くそっ」
タバスコの辛さも引き、卵まみれの体を何とか起こしたルフィの顔面に、再び何かが飛んできた。
「必殺、コショウ星!」
「ぶぇっくしゅん!」
ルフィはくしゃみをしながら、ヨロけて手をついたり尻もちをついたり。
その度に蒔きビシの餌食になっていた。
「ルフィ、俺はお前に効かねぇ攻撃はしねぇぞ。一瞬の隙だって与えねぇ! 必殺、手裏剣流星群!」
放たれた100枚にも及ぶ手裏剣。
「くっ」
ルフィは何とかそれをよけた。
ウソップは立て続けに手裏剣流星群を放つが、1つも当たらない。
やはり、ルフィの身体能力は尋常ではない。
「はっ、はぁ、はぁ……」
ルフィは焦っていた。
確かに今まで戦ってきた敵とは全く違う。
嫌な攻撃ばかりが立て続けに来る。
……と、思っていると、
"シュウゥゥ……"
微かに音が聞こえてきた。
……いや、おそらくもっと前から鳴っていたのだが、隙を与えないウソップの攻撃で、気づけていなかった。
だんだんと視界が曇っていく。
「……煙?」
眉を顰めていると、ウソップが次の弾を構えながら言った。
「卵の臭いで気づかなかったろ。そこにガスが充満してることに」
「!」
「
"ヒュッ―――
ズドォォンッ!"
―――大爆発が起こった。
爆風でメリー号も揺れる。
大波が幾つも生まれて、沖へ抜けていった。
「きゃああっ」
「っ……なんて爆発だ」
「ルフィ! ウソップ!」
……しばらくすると爆風は収まり、月に照らされた綺麗な夜空が戻ってきた。
「……」
ルフィは普通に無事だった。
地面に大の字になって、ウソップと出会った頃を思い出しながら夜空を見上げる。
『俺はこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ! 人々は俺を讃え、さらに讃え、我が船長キャプテン・ウソップと呼ぶ!』
『ひゃっはっはっはっはっ、おんもしれぇなお前!』
『てンめぇ俺をコケにする気か!』
出会い頭から楽しかった。
いつの間にか仲間になっていた。
『なに言ってんだ。俺たちもう仲間だろ?』
『!』
『早く来いよ!』
『……き……キャプテンはもちろん俺なんだろうな!』
『んなっ、馬鹿言え!キャプテンは俺だ!』
ウソップが仲間になると共に、一緒に仲間になったのがゴーイングメリー号。
それを巡ってこんなことになるなんて……
"ザザァー……"
波に揉まれてずぶ濡れになったメリー号は、何だか泣いているように見えた。
「……嫌だわ、こんなの」
「もうやめてくれよ、2人ともっ」
ナミとチョッパーが張り裂けそうな顔をしている。
その視線の先で、ウソップは息を切らせつつ言った。
「……知ってるぞ、ルフィ。お前はこの程度でくたばる奴じゃねぇ」
"ザッ……"
煙の中からルフィが出てくる。
「知ってるぞルフィ! お前がどんな戦いでも全力を尽くすことを! お前の手の内は知り尽くしてる!」
「ゴムゴムの、
「必殺サボテン星!」
「!」
サボテン星は炸裂と共に無数の針を乱射する弾だ。
「痛ぇぇぇぇっ!」
「三連火薬星!」
"ヒュッ、ドンッドンッ、ズドンッ!"
「くっ、ゴムゴムの
"バキャッ"
「うぐ……っ」
「っ……ゴムゴムの、バズーカ!」
"ギュウゥゥン……"
「なんだ!?」
「へっ、インパクトダイヤルだよ」
「!」
"カチッ"
「インパクト!」
"ズドォンッ!"
「ぐぁぁっ」
顔面に直撃して、ルフィは吹き飛ぶ。
同じ頃、ウソップの腕もミシミシ鳴っていた。
「くっ……どうだチキショォォ!!」
"……シュタッ"
「!?」
ウソップは目を見開いた。
今の一発は腕を犠牲にした渾身の一発。
それを受けたルフィが、まだ立っている…
「はぁ……はぁ……」
息こそ切らせているものの、まだまだ大丈夫だと言いたげだった。
「……っ」
ウソップは奥歯を噛み締める。
……やっぱり、無理なのか。
「ゴムゴムのォ……」
ルフィの腕が遥か遠くへ伸びていく。
そして一気に収縮した。
「
"バキ……ッ"
頬にめり込む重たい拳。
「ぐふ……っ」
"ドサッ……"
―――勝負は、ついた。