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18. 一味崩壊の危機
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「……は……っ……い、いま……な、なん…なんて……い、った?」
ウソップは目を見開き、過呼吸気味のまま固まる。
「何度も言わせんじゃねぇよ! メリー号は……もうっ、直せねぇんだっ……」
ルフィは拳を握りしめ、俯く。
「どうしても……直らねぇんだよ……っ」
"ドサッ"
ウソップがその場に膝をつく。
「……なに、を……」
「そうじゃなきゃ、こんな話しねぇ!」
「何言ってんだよ……この船だぞ!? 俺たちが今乗ってる! この!!」
「あぁ、そうだ……もう沈むんだ、この船は……」
「フン……何言ってんだよ」
「本当なんだ!そう言われたんだ造船所で! ……もう、次の島にも行きつけねぇってよ」
「はんっ、そうか。お前は今日会ったばかりの"他人"に説得されて帰ってきたのかよ」
「何だとっ」
「一流の船大工たちにもうダメだと言われただけで、お前はノコノコ帰って来たのかって訊いてんだよ! 今までどんな波も一緒に乗り越えてきた大事な仲間を、お前はこんなとこで見殺しにすんのか!」
ウソップの目に涙が滲む。
「お前にとってこの船はその程度なのかよ! ……げほっげほっ」
「ダメだよウソップ! そんなに叫んじゃ……」
「……
「え……」
ウソップは立ち上がり、ルフィの真正面に立った。
ルフィも正面切ってウソップと相対する。
「ならウソップ、お前に判断できんのかよ。この船には船大工がいねぇから、だからアイツらに見てもらったんじゃねぇか!」
「だったらいいよ、もうそんな奴らに頼まなきゃいい。今まで通り俺が修理してやるよ! ……よし、早速始めよう。つっても木材が足りねぇか。造船所で買って来なきゃな。よォし忙しくなってきた」
フラフラな体を引きずって、ウソップは修理に向かおうとする。
それを見かねてルフィは叫んだ。
「お前は船大工じゃねぇだろうが!」
「ちょっとルフィ! そんな乱暴に言わなくても……」
「あぁそうだよ! 俺は船大工じゃねぇ、それがどうした! たとえ一流と言われたって、所詮他人の船だからとあっさりこの船を見限るような船大工を俺は認めねぇ!」
「ウソップ……」
「お前ら馬鹿じゃねぇのか。どうせ船大工たちのもっともらしい論述に乗せられて帰ってきたんだろっ」
「でも、ティオだって認めたのよ!? ねぇウソップ、アンタ竜骨って分かるでしょ? それが「ティオが言ったから何だ! 竜骨が何だってんだ!」
気圧されて、ナミは口を噤む。
「ティオは仲間になったばかりでまだこの船の強さを知らねぇ! ここの船大工にしたって同じだ! 理屈を超えたメリー号の強さをお前らはその目で見てきたんじゃねぇのか! それをあっさり見捨てて船長風吹かせて何が決断だ! 見損なったぞルフィ!」
「待ちなさいよウソップ! ルフィだって「黙ってろナミ! これは俺が決めたことだ。今さら何と言われようと意見は変えねぇ。メリー号とはここで別れるんだ!」
「ルフィ……」
「ふざけんじゃねぇぞ! 誰でもお前みたいに前ばっか見て進めるわけじゃねんだ! 俺は傷ついた仲間を置き去りに、この先の海へは進めねぇ!」
「馬鹿言え! 仲間でも人間と船じゃ話が違うだろうが!」
「同じだ! メリーだって一緒に行きたいって底力はある! ティオがメリーの気持ちを教えてくれたんだ!」
「だからって無理なもんは無理なんだ!」
「無理じゃねぇよ! ……テメェのことだから、もう新しい船に気持ちが移っちまってメリーのことがどうでもよくな「んなわけねぇだろうが!」
ウソップとルフィは互いの胸倉を掴み、今にも殴り合いを始めそうな雰囲気になった。
見かねてサンジが止めに入る。
「お前らいい加減にしろよ! ちょっと落ち着けってさっきk…「じゃあいいさ! そんなに俺のやり方が気に入らねぇんなら、今すぐこの船をおr――</font>"ドカッ"
ルフィの言葉は最後まで放たれることなく、サンジの蹴りで掻き消された。
"バキィッ"
ルフィはテーブルに突っ込む。
チョッパーが唖然としながらサンジとルフィを交互に見た。
「サンジっ……何を……」
「……馬鹿野郎が」
タバコを噛み締めたサンジの額に、血管が浮き出る。
「テメェ今なに言おうとしたんだ! 滅多なこと口にすんじゃねぇぞ! 分かってんのかルフィ!」
テーブルの残骸の中から、ルフィが俯いたまま起き上がる。
「……悪かった……今のは、つい……」
一気に室内の空気が冷えた。
ウソップも少し落ち着いたのか、冷静な声で言う。
「……いや、いいんだルフィ。それがお前の本心なんだろ?」
「な……っ」
ウソップは自嘲気味に笑って、もう一度ルフィに向き合い、真剣な眼差しで言った。
「使えねぇ仲間は次々に切り捨てて先に進みゃぁいい。メリー号に見切りをつけるなら―――俺にもそうしろよ」</font>
ルフィは目を見開いて固まった。
間を取り持つように、サンジがなだめる。
「おいウソップ、くだらねぇこと言ってんじゃねぇぞ」
「いや、本気だ」
ウソップの拳がグッと握られた。
「前々から考えてた。……正直、俺はお前らの化け物じみた強さにはもうついて行けねぇと思ってた。今日みてぇに、金の番すらロクに出来ねぇ。……この先もまた、俺はお前らに迷惑かけるだけだ」
器用に色々できても、どれも並大抵の域を出ない。
そんな自分はどう足掻いたって、この先お荷物になるだけだ。
「弱ぇ仲間はいらねんだろ? お前は海賊王になる男だもんな、ルフィ。……俺は、そこまで高みへ行けなくていい。……それに、俺が海へ出た理由は、お前らに誘われたからっていう縁だけだからな。意見が食い違ってまで、一緒に旅をするこたねぇんだ」
そこまで言うと、ウソップは船室を出ていった。
慌ててサンジが追う。
「おい、どこ行くんだウソップ!」
「どこへ行こうと俺の勝手だ。もうお前らには関係ない」
ウソップは風になびく海賊旗を見上げ、強い口調で言った。
「俺はこの一味を、やめる」
"キィッ……バタン"
船室のドアが閉まった。