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17. ウォーターセブン
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街中を駆け抜け、まっすぐ岬へ続く水路を下り、メリー号へ辿り着く。
「?」
メリーに抱きついていたティオが、2人分の足音を聞きつけて顔を上げた。
見聞色の覇気で誰なのか確認する。
「どうした」
「ちょっぱー、と、さんじくん」
「帰ってきたのか」
欄干に歩み寄って2人を見れば、食材を持ってメリー号へ歩いてきている。
「おか、えり」
「早かったな、お前ら」
2人は甲板へ上がってきた。
「色々あってな。一旦戻ることにした」
「あれ……スンスン……知らない匂いがするぞ?」
「さっきまで船大工が査定に来てたからな」
「ほ~。んで、どうだったんだ?」
「……」
ゾロは目を閉じて言った。
「……もう直せねぇ、とさ」
「「!?」」
サンジは口からタバコを落とし、チョッパーは固まる。
「なっ……何だよ、それ……」
「どういうことだ……?」
「本当なのかっ、この船が……」
「もう直せない!? 金があってもか!?」
2人はティオにも目を向けるが、目を伏せている様子で察しがついた。
「ここに来た大工はそう言ってた。竜骨がなんたらって話らしいが、詳しくはそいつに訊け」
ゾロは視線でティオを指す。
ティオは竜骨の話を含め、船の構造についてをもう一度語った。
それを聞くうちに、サンジもチョッパーも俯いていく。
「じゃ、じゃあ、メリー号はどうなっちまうんだ!?」
今にも泣きそうなチョッパーに、ゾロが淡々と答える。
「最終的には造船所で話聞いてる3人を待つしかねぇだろ。何らかの答えを出して帰ってくるはずだ」
サンジはイラつきながら、新しいタバコに火をつけた。
「つってもよ、話が急すぎるだろ。今だって船はいつも通り浮かんでるし、イーストブルーからここまで渡ってきたじゃねぇか」
「渡ってきたからこそだろ。人間なら波を超えるたび強くもなるが、船は違う。ダメージを蓄積するだけだ」
その言葉にティオも付け加えた。
「そらじま、いくまえ、ふね、まっぷたつ、なったの、おぼえて、る?」
「あ、あぁ、そりゃ忘れてねぇが……」
「あれ、で、りゅうこつ、かんぜんに、やられ、た。あのじてんで、だめな、はず、だった。そこから、ここまで、きた。……ほんと、きせき、なの」
「で、でもよティオちゃん! なんか腑に落ちねぇんだよ、第一これをウソップが聞いたら……」
「お、俺っ、メリー号大好きだぞ!」
「全員そうさ。……だが、傷が深すぎて打つ手がねぇらしい。……そうだろ?」
「(コクン)…たとえ、むりに、しゅうり、しても、あした、か、あさって、ここらへんから、まっぷたつ、われる」
「「!!」」
ティオが指さしているのは、一度真っ二つになった場所。
「そんな……そんなぁっ」
「チッ……落ち着かねぇ午後だぜ。メリー号のこともロビンちゃんのことm…っとそうだ。ティオちゃん、ロビンちゃんの居場所は分かるかい?」
「はぐれた、の?」
「あぁ。チョッパーの話じゃ、ちょっと本屋に入った隙にはぐれたらしい。匂いで追ってみたが、途中で途切れちまってるみたいで」
匂いが途切れる……
ティオは嫌な予感がしながらも、目を閉じ、見聞色の覇気を最大限まで広げた。
そしてゆっくり目を開く。
「……いた。うらまち、の、ほうがく」
「無事なのか!?」
「ん、だいじょぶ」
「そうか、よかった……」
サンジもチョッパーもとりあえず一安心。
と、そこに。
「みんなぁ~!」
ナミの声が聞こえてきた。
ヤガラが最速で駆けてくる水音も聞こえる。
サンジとチョッパーが欄干に寄った。
「あれ、ナミさんだけか?」
「ルフィとウソップはどうしたんだ?」
ナミが1億ベリーのキャッシュケースを持って、船へ上がってくる。
「はぁっ、はぁっ、みんな聞いてっ、大変なの!」
息を切らせて、ナミはキャッシュケースをその場に置く。
「私たち、黄金を換金して、このケースをあと2つ持って造船所へ行ったんだけど」
「え、ってことは3つだから、3億ベリーもあったのか!? あの黄金!」
「そうよ。……まぁそこはいいとして。船の査定に行った人から、信じられない報告を聞いたわ」
「ウソップみてぇに鼻の長げぇ大工だろ? ここに来たからな。……査定の結果も直接聞いてる。もちろんコイツらにも伝えてある」
「そう……。造船所で何度も訊いたけど、やっぱり直せないみたい。新しい船を買うか作るかって方向を勧められたわ」
「それでナミさん、ウソップは何て?」
「ウソップはまだこの話を聞いてないの。その前に誘拐されちゃって」
「誘拐!? ウソップが!?」
「えぇ。持ってた2億ベリーごと、フランキー一家ってのに攫われちゃったのよ」
「ふらんきー、いっか……」
「一度ここへ来た奴らだな」
「ルフィは話の途中で飛び出して行っちゃって、どこにいるか分からないわ。アイツに人探しなんて出来るわけないから、アテには出来ない。ウソップはここへ来る途中の道で見つけたの。酷い怪我だったわ。チョッパーにはすぐに行って欲しいの!」
「おう、分かった!」
「2億ベリーの方は持ってかれてた。おそらく奴らのアジトにあるわ。船をどうするかはまだ分からないけど、あの2億がなくちゃ何も始まらないの。何としても取り返さなくちゃ!」
チャキっと音をさせて、ゾロが刀を手に取った。
サンジも新しいタバコに火をつける。
「そんじゃ、まずはウソップとルフィの回収だな。それから金を取り返す」
「待ってろよウソップ! 俺、すぐに行くからな!」
そうして船を降りようとする3人を……
「まって」
鈴を転がす声が遮った。
「うそっぷ、まちには、いない」
ナミが驚いてティオを見る。
「えっ、どういうこと!?」
「うそっぷ、あっち、いる。なみちゃん、ちず、は?」
「あ、うん。ここにあるけど……」
ティオは広げられた地図を眺め、指さした。
「うそっぷ、ここ」
「なっ、その場所はっ」
現在メリー号が停泊している岩場の岬から、まっすぐ北東方面。
もう1つ突き出した岩場がある。
「ここ、フランキー一家のアジトよ!」
「べつめい、ふらんきーはうす」
「えっ、じゃあウソップは1人で乗り込んでるのか!?」
ティオの表情が少し歪む。
「……まずい。うそっぷ、こえ、ちいさい。たぶん、やられて……」
「何やってるのよウソップ! チョッパー連れてくまで動かないでって言ったのにっ……」
「仕方ないよナミさん。アイツも男だ」
「責任感じて、居ても立ってもいられなかったんだろ」
「るふぃ、は、ずっと、うごいてる。いま、このへん」
「おいおい、フランキーハウスとは逆じゃねぇか」
「ったく、方向音痴な船長だな」
「テメェが言えたことか迷子マリモ」
「んだとこのエロコック、闘んのか!?」
「喧嘩してる場合じゃないでしょーが! ……そうね、この場合、ルフィはほっといて、先にウソップを助けに行くべきだわ」
「るふぃ、と、ろびん、てぃおが、むかえ、いく」
「分かったわ。それじゃ、ゾロ、サンジ君、チョッパー、3人はフランキーハウスへ向かってちょうだい! 私はここで船と1億ベリーを守るから! ティオはルフィとロビンの方をお願いね!」
「「「分かった」」」
「(コクン)」
話がまとまると、3人はさっそく船を降りていった。
ティオも鳥に変身して飛び立つ。
ひとり船に残ったナミはというと、道中海賊との小競り合いで巻き上げた銃や剣をありったけ引っ張り出し、1億ベリーを囲むように配置した。
「アタシが乗り込んだって邪魔になるだけ。……怖いし……。だったら、この船と1億ベリーを守るわ!」