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1. アラバスタ戦線
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「はい…はい……。分かりました、スモーカー大佐」
タシギは電伝虫を切った。
戦いが終わった直後、広場にはアラバスタ王国護衛隊長のイガラムが現れた。
腕に反乱軍の子供を抱いて。
すべての真実が、イガラムとその子供の口から語られた。
アラバスタから雨を奪ったのは王国ではなかったこと。
全てはクロコダイルの企みであったこと。
「まさか……」
「そんな……」
国民たちは皆、クロコダイルを囲んでいた。
まだ半信半疑という表情が、一面に広がっている。
"ザッ、ザッ、ザッ"
そこに、多数の足音が響いた。
「おい、見ろ! 海軍だ!」
雨の中、数多の海兵を従えたタシギが、クロコダイルの元へ進み出る。
「バロックワークス社の所有していたダンスパウダーの積荷と、人工降雨船を発見したそうです」
ティオは少し後ろから、黙ってタシギの様子を見ていた。
ダンスパウダーと人工降雨船の発見情報は、他でもなく、急用ができたとバイクを走らせていったスモーカーから届いた。
「秘密犯罪会社バロックワークス社長、王下七武海海賊、サー・クロコダイル。世界政府直下、海軍本部の名の下に、あなたから、敵戦拿捕許可状およびあなたが持つ政府における全ての称号と権利を剥奪します」
後に控えていた海兵たちが一斉に動き出す。
クロコダイルを初め、幹部エージェントもビリオンズもミリオンズも、全て捕らえられた。
……そして、海軍の手はもちろん、海賊である彼らにも……
住宅街のとある一角で、集まって眠っている麦わら一味。
ボロボロの体に、無防備な寝顔。
各々が限界を超える戦いをしたことが、よく分かった。
ティオの脳裏に、ビビとの約束が浮かぶ。
『お願い、ルフィさんに、麦わらの一味に手を出さないで!』
実質、このアラバスタ王国を救ってくれたのは、彼らだ。
ティオは情けなど感じていないが、この国の王女と懇意にある海賊を、約束を破ってでも捕らえることは、後々、国からの非難を浴びかねないリスクになると考えていた。
ならば、今のところ危険性の低いこの海賊団は、一度くらい見逃したところで、おつりは来ても損はない。
……まあ、今回見逃しても、この一味が世界政府から危険視されることになるのは確定だが。
それだけ、世界政府にとっての危険因子を持ったメンバーが、一箇所に集まりすぎている……
「そうちょう」
「……えぇ、ティオ。言いたいことは分かっています」
タシギは、後ろに控えている海兵たちを振り返った。
「麦わらの一味は、このまま見逃します。……これは、命令です」
悔しそうな、でも覚悟を決めた表情。
そんなタシギの心中など知らぬ存せぬと言いたいように、海兵たちは異論を申し立てた。
「曹長! 限られたチャンスです!」
「奴らが意識を取り戻したら我々は!」
「今、あの一味に手を出すことは、私が許しません!」
「な、何故ですか! 全員揃って今! 恰好の餌食なんですよ!?」
「し、しかも……」
「それ以上を口にしたら」
タシギの眼差しが光る。
悔しさと自身への怒りに染まったその瞳は、海兵たちには恐怖でしかなかった。
「ぐっ……」
それ以上は誰も何も言えなくなり、海兵たちは渋々タシギの命令に従う。
……結局、海兵たちはバロックワークス社のメンバーだけを連れて、スモーカーの待つ軍艦へと歩を進めていった。
"ザァーッ……"
昼の砂漠。
雨がまだ降り続いているため、昼のはずなのに薄暗い。
「……」
ティオは降りしきる雨の中を、鳥の姿で飛んでいた。
予想外の形ではあるが任務は終わったのだ。
"裏の目的"も、無事果たせている。
これ以上アラバスタに留まる理由はない。
容赦なく体温を奪い続ける雨の中、ティオはまっすぐに海軍本部へと飛んでいった。
途中の島で休憩しつつ、飛ぶこと数日。
「そうか、分かった。……ご苦労だったな」
「(コクン)」
運悪く嵐に遭い、予定より帰投時間が遅くなった。
海軍本部に到着したティオは、ずぶ濡れの姿で、まっすぐ元帥のもとへ報告に行った。
服は身体に貼りつき、##RUBY#滴#したた##る雨水が床を濡らす。
報告が終わり、ティオはすぐさま踵を返して部屋を出ていこうとした。
「ティオ」
「?」
「……よく戻った」
「……」
ティオは無表情な青い瞳でセンゴクを見る。
しばらくすると、返事もせずにするりと出ていった。
"ギィッ、バタン……"
「……」
扉をしばらく見つめ、センゴクはため息をつく。
「はぁ……いかんいかん。どうにも情が湧いてしまうな」
あの小さな体で、七武海を相手に潜入捜査をし、生きて帰ってきた。
安堵に胸を撫で下ろさずにはいられない。
センゴクは軽く首を振って、気を取り直し、椅子に座った。
「それにしても、麦わらの一味か……血は争えんな、ガープ」
虚空にそう呟いてから、電伝虫を取る。
「……私だ……あぁ、そうだ」
センゴクはティオからの報告を各機関へ伝達し、取るべき措置をとった。
→ 2. 麦わらの一味
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