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15. 海軍本部大将青キジ
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「……それで? 見つかったかね、ティオは」
海軍要塞ナバロンの司令官室にて。
ジョナサン司令官はドレーク少佐に尋ねた。
「いえ……。今日で捜索3日目となりますが、未だ見つかっておりません」
「ふむ。彼女はこの基地の構造を知り尽くしている。迷子ということはないだろう」
「我々に何の知らせもなく本部へ帰ったということもないでしょうから、もしかすると……」
「誤って海に落ちたかもしれんな。彼女は能力者だ」
「麦わら一味と交戦し、命を落としたということはないでしょうか」
「彼女に限ってそれはない」
「そんなに腕が立つのですか?」
「キミ、彼女を鍛えたのが誰だか知ってるかね?」
「い、いえ……」
「大将青キジだよ」
「!」
「ルーキーごときにやられるわけがない。それに、もし相手の実力が自分より上と分かれば、必ず身を引く」
「海兵が海賊を前に身を引くのですか!?」
「そう教え込まれているんだよ。彼女は一介の海兵とは少し違うからね」
「違う…とは?」
「んー、まぁ、違うと言ったら違うんだ。君にもいつか分かるよ、少佐」
「は、はぁ……。しかし、そうなるとやはり海に落ちてしまったのでしょうか」
あんな幼い少女が……
と、ドレーク少佐が目を伏せる傍ら、ジョナサンは椅子に座ったまま、愛用の釣竿を手に取った。
「それならまだ、いいんだがねぇ」
ドレーク少佐は顔を上げる。
「と、言いますと?」
ジョナサンは珍しく、険しい表情を浮かべた。
「一番厄介なのは、彼女が自ら麦わら一味の仲間になった場合だ」
ティオが司令官室を訪れた時から、ジョナサンにはいくつか腑に落ちない点があった。
まずは表情。
以前に海軍本部で会った時は、文字通り人形のようだったのに、今回は生気が感じられる人間の顔つきだった。
口数も、以前は挨拶すらしなかったというのに、随分と喋るようになったものだ。
次に、休ませて欲しいと言ったこと。
センゴク元帥が、ティオは怪我も悪天候も気にせず仕事を優先させるから心配だと、零していたのを聞いたことがある。
そんな彼女が、怪我を理由に休ませて欲しいなどと……
そして最も気になるのが、麦わら一味の侵入と同時に現れたこと。
偶然と言ってしまえばそれまでだが、何だかそれでは片付かない気がする。
「ま、まさか……さすがに元帥付きの諜報員が自ら海賊になるなど……」
「ない、とは言い切れないよ。海軍から海賊に堕ちる輩は少なからずいる。ましてやティオは子供だ。大人よりも堕ちやすい」
ジョナサンは弄んでいた釣竿を元の場所に戻し、電伝虫に手を掛けた。
「本部へお掛けになるのですか?」
「あぁ。ティオがここ最近で請け負った仕事が分かれば、何かヒントになるかもしれん」
そう言って、本部の番号を押そうとした時……
"コンコン"
「あー、ちょっと失礼するよ?」
海兵なら誰もが肩を揺らす声が聞こえた。
ドレーク少佐はその人物を見るなり、目を見開いてピシッと敬礼する。
ジョナサンも椅子から立ち上がって、歓迎の意を示した。
「これはこれは、大将青キジ殿」
司令官室のドアをくぐる、長身の男。
「こんな辺境の要塞まで来られるとは。何かございましたかな?」
「んー、まぁちょっと散歩してたんだが、近く通ったんで、寄ってこうかとね」
クザンは面倒くさそうに首に手を当てた。
……いくら変わり者の大将とはいえ、散歩でこんなところまで来るはずがないだろうに。
そうは思うものの、本心が顔に出ないよう、ジョナサンは愛想笑いを浮かべた。
「それはそれは。どうぞごゆっくりなさって下さい。食事でもご用意しましょうか?」
「ん~? いや、すぐ出るからいーわ」
「そうですか」
「ところで」
「はい?」
「金髪のチビ、ここに来なかったか?」
……やはり、それが目的か。
「えぇ、3日ほど前に」
「そいつ、まだここにいるか?」
「いえ。どういうわけか、行方不明になってしまいまして」
「行方不明?」
ジョナサンは3日前の出来事を伝えた。
麦わら一味の侵入。
それと同時に現れたティオ。
……そして、麦わら一味に逃げられたその日、ティオの姿も見当たらなくなってしまったこと。
「海に落ちてしまったのか、他の原因なのか。3日間捜索は続けてますが、見つかっていません」
クザンは話を聞きながら、ため息混じりに頭を掻いた。
そして身を翻し、ヒラヒラと手を振りながら司令官室を出ていく。
「邪魔したな」
ジョナサンは愛想笑いのまま、明るく声を張り上げた。
「またいつでもどうぞ」
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