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14. デービーバックファイト
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決着からしばらくして。
勝ったと分かった瞬間、ルフィは気絶してしまった。
それを治療するのは、もちろんチョッパー。
「まぁったく、コイツ~ぅ」
「なっ、つつきすぎだぞウソップ! 重傷なんだからな!」
「ホント心配ばっかりかけて。何がアフロパワーよ」
「ナミさん、アフロは凄いんだって」
「ん……」
「あ、気がついた!」
「!」
ようやく目を覚ましたルフィは、慌てて飛び起きた。
「あ、あれ? ゲームは? 俺、勝ったと思ったのに……夢か!?」
「大丈夫だ。勝ったよ」
「(コクン)」
「そうか……よかったぁ!」
ルフィは大の字で草むらに寝転がった。
「ふふっ」
「安心して見てたぞ? 俺は」
「嘘つけ。お前が一番騒いでたじゃねぇか」
「考えてみりゃ、この船出たら海賊やる理由はねぇんだ、俺は」
「てぃお、も」
「俺もだぞ!」
と、そこに……
「まだ休んでたほうが……」
「親ビン!」
仲間に肩を貸してもらいながら、フォクシーが歩いてきた。
「おい麦わら、よくも俺の無敗伝説に泥を塗ってくれたな!」
挑戦的に怒鳴り散らす。
だが……
「アッパレだ」
穏やかに言って、手を差し出してきた。
仲直りの印だろうか。
意外とイイ奴じゃないかと、周囲がふっと微笑む。
「……」
けれど、ティオだけはダダ漏れの邪な感情を読み取って、半目で呆れていた。
しかし、お人好しのルフィがそれに気づくわけもなく、素直に手を伸ばして握手する。
「お前もな!」
"パシッ"
その瞬間、フォクシーはルフィの腕を両手でつかんだ。
「ん?」
「でりゃぁっ! 悔し紛れの一本背負い!」
そう言って投げようとするフォクシーだったが……
"グニョン、ズコッ"
今さらながら、ルフィはゴム人間。
腕が伸びただけで、ルフィの体は微動だにせず、フォクシーはひとり、地面に脳天を打ちつけた。
ゾロが眉間にしわを寄せて見下ろす。
「バカかお前」
「きっと、のうみそまで、われてる、から」
「そうだな」
フォクシーは顔を真っ赤にしながら立ち上がり、八つ当たりするようなテンションで言った。
「ルールはルールだ! さっさと500人選びやがれぃ!」
すると、ルフィは満面の笑みで言う。
「チョッパーとティオ!」
「うわぁ~ん、ルフィ! ありがどっ、おで、よがっだ!」
「はっはっはっ、泣くなよチョッパー!」
「るふぃ、ありが、と」
「おう! 当たり前だ!」
ティオはフォクシー海賊団のマスクを取って、いつもの場所、すなわちゾロの隣へやってくる。
服の端を掴んで見上げれば、ゾロは少し口角を上げ、ティオの頭に手を乗せた。
……やっぱりこれだ。
しっくりくる感覚に、頬が緩む。
『さぁ順当に2人を選んだ。早いとこ残りも決めてくれィ!』
「んじゃ、海賊旗をくれ!」
「ぬぁにっ!? 迷わず俺たちの誇りを奪おうってのか!」
「帆はいいよ。それがねぇと航海出来ねぇだろ?」
「オメェってやつァっ……」
「だが、帆にもシンボルが入ってる」
「情けは無用だ! 帆も持って行け!」
「んー、マークだけ取りゃいいんだもんなぁ……あ、そうだ。俺が上から新しいの描いてやるよ!」
そう言って、大量のペンキを用いて完成されたのは……
「これで良し!」
「「「最悪だぁぁっ!」」」
まるで幼児が描いた、白い狐の顔。
しかもご丁寧に"きつね"と書かれている。
「にっしっしっ、俺、めちゃくちゃ感謝されてる!」
「「「してねぇよ!」」」
ルフィは奪い取った海賊旗を手に、どこかへ向かおうとする。
『ちょちょちょちょーっと待った! まだ残りの497人を選んでないよ!?』
「あとはいらねぇ」
「ルールはルール! どうあっても選んでもらうぜ!」
「ん~……」
悩むルフィに、ゾロが知恵を貸した。
「ルフィ、キャプテンの命令は絶対、なんだろ?」
「ん? ……あぁ、そっか! んじゃ、選ぶぞ? お前からぁ……んー……お前まで。これで何人だ?」
『あぁ、はい、えーと……親ビン、ハンバーグ、ポルチェちゃんだけ残るから、お、ちょうど497人っす!』
「よし、決まり!」
そうと決まると、元フォクシー海賊団のメンバーは一気に手のひらを返す。
「「「ひゃっはぁっ!」」」
もちろんフォクシーはその態度が気に入らない。
「おい! 麦わらのルフィ! 覚えてろよ!」
「ん?」
小舟に3人で乗って去っていく、フォクシー、ポルチェ、ハンバーグ。
あまりにも鉄板ネタすぎるというか……
「な、なんだ……?」
「どこまで面白いんだ、アイツら」
「のうみそ、われてる、から」
「そうか」
「われ……てる……」
「いやぁん親ビン!」
「プププッ、割れてるっ」
「こら、ハンバーグ!」
さて、長かったデービーバックファイトもようやく終わり、麦わら一味も出航の準備を始めた。
「よぉしオメェら! ニュー麦わら海賊団の初仕事を命令するぞ! 心して聞きやがれ!」
「「「うおおおおっ!」」」
「何でも言ってくれ!」
「ゴム親ビン!」
「お前ら、解散!」
「「「……え?」」」
「キャプテンの命令は絶対、だろ?」
「元の海賊団戻っても良し、割れ頭んとこ戻っても良し、好きにしろぉ! 以上!」
そう言われると、彼らには一つしか戻る場所がないわけで……
「待ってください元オ親ビン!」
「俺らやっぱりフォクシー海賊団ですぅ!」
慌てて3人を追っていく船を見送り、ルフィは奪った海賊旗を手に歩き出した。
その先には、トンジットと馬のシェリー。
「ん? お前ら……」
ルフィは満面の笑みを浮かべて、トンジットにフォクシー海賊団の旗を渡した。
「にっしっしっ、ぶっ飛ばしてきた!」
そう、思い返してみれば、もともとデービーバックファイトを受けたのはトンジットの無念を晴らし、シェリーを取り返すため。
「ずいぶん怪我して……」
「こんなのいつもだ!」
「……ありがとうよ」
「ヒヒ~ン……」
「にっしっしっ!」
聞けば、トンジットはこれからシェリーと共に村を目指すらしい。
麦わら一味とはここでお別れだ。
「本当に、何と礼を言ったらいいか……」
「気にすんなって!」
「ありがとうな」
「ヒヒ~ン!」
「体に気ぃつけてなぁ!」
「じゃぁな~!」
「お前らも達者でなぁ!」
そうして両者ともに手を振り、メリー号は海へと漕ぎ出していった。
「ナミ、ログは溜まったのか?」
「えぇ、バッチリよ」
「んじゃ、ぼちぼち……」
「(コクン)」
「早いとこ」
「船大工を仲間に!」
「おう!」
「ふふっ」
「野郎ども、船大工を探しに行くぞォ!!」
「「「おー!!」」」
夕日の中、8人の声が嬉しそうに響く。
このあと訪れる、麦わら一味崩壊の危機を、まだ誰も知らぬままに―――。
→ 15. 海軍本部大将青キジ
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