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14. デービーバックファイト
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―――しばらくして。
「「うおおおおおおっ!」」
「……?」
大きな歓声でティオは目を覚ました。
ちょうど司会が告げる。
『何と大逆転! 延長の第二回戦を勝利したのは、フォクシーチームだぁ!』
どうやら、負けたようだ。
「ふぁ〜……」
けれど、それほど気にならない。
ここで2人目を取られても、麦わら一味ならあと1戦で何とかしてくれる。
……いや、何とかできる方法がある。
『それでは親ビン、戦利品の指名を!』
フォクシーが選ぶのはもちろん……
「うっ……ずびっ」
チョッパーだ。
「いやぁんチャッピー!」
すかさずポルチェが撫で回す。
「やぁだぁ離せぇ!」
「あら、逃がさなくってよん?」
そこに……
「めっ」
「いやんちょっと!」
ティオがやってきた。
仏頂面でチョッパーを奪い取り、ぬいぐるみのように抱きしめる。
「ティオ~っ」
チョッパーは、涙でぐしょぐしょの顔でティオに擦りついた。
「んもう、何すんのよ!」
「ちょっぱーは、てぃおと、おかし、たべるの。……ね?」
「うんっ……ずびっ……食べる……」
この敵陣では、ポルチェの愛玩物にされるより、ティオといた方が絶対にいい。
チョッパーは涙を拭って強く頷いた。
ティオはぬいぐるみのようにチョッパーを抱っこして、麦わら一味の方を向く。
ひとりひとりの顔を見渡して、最後にナミを見て言った。
「てぃおたち、とりかえして、ね?」
「え、あたし?」
「(コクン)…なみちゃんなら、おもいつく」
「あたしなら思いつく……って、何を?」
ティオは身を翻して、チョッパーを抱えたままフォクシー海賊団の方へ歩いていった。
行く先には、山のように積まれたスイーツ。
もちろんフォクシー海賊団の男たちが用意したものだ。
ティオたちを見送って、ウソップが舌打ちした。
「くそっ、どうする! このままじゃチョッパーかティオを選ばなきゃならねぇぞ!」
「何言ってんだ? もう一回やりゃいいじゃねぇか!」
「はぁ……オメェの頭はいつまでも花畑だなぁルフィ……」
「んぉ?」
「フェ~ッフェッフェッフェッ! もう一回だァ? だ~れが受けるかそんなもん。俺たちはお前らとやりあう前に、キバガエル海賊団とも5回ゲームしてるんだ。気力体力共にもう限界。引き際を知るってのは船長として大事なことだ! フェ~ッフェッフェッフェッ!」
高らかに笑い続けるフォクシーに、麦わら一味は半目を向ける。
「くだらねぇ。堂々と負け犬宣言しやがってアホかテメェは」
「最強軍団が聞いて呆れるぜ。ピーナッツ戦法じゃねぇのかそりゃ」
「ぬぁっ……」
がっくしと膝を折るフォクシー。
気を取り直して、ウソップが論点を戻した。
「つっても、どうすんだ? このままじゃホントにどっちか選ばなきゃだぞ」
「ざけんな! どっちも取り返す!」
「だからよぉルフィ、どうやって?」
「そういえば、ティオが航海士さんに何か言ってたわね」
「あぁ、うん、あたしなら思いつくって……」
「ずるくてケチで、何でもすぐ値切るナミなら、か?」
"ゴチンッ"
「殴るわよウソップ」
「殴ってから言うな!」
「……ねぇ、それって、前提条件を捻じ曲げろって意味なんじゃない? 確かに、後出しのルール変更は航海士さんの得意分野よね?」
「後出しって気分悪いわね……あ、でも、そっか! 一か八かの大博打だけど、2人一緒に取り戻せる方法、あるわ!」
どうやらティオの読み通り、ナミは妙案を思いつけたらしい。
「ねぇ親ビ~ン? 提案があるんだけど」
ナミの声に、膝を折っていたフォクシーは顔を上げる。
「次のゲーム、6人賭けにしない?」
「おいこら! 勝手にそんな……」
サンジがウソップを止める。
「ここはナミさんに任せようぜ?」
フォクシーは眉根を顰めた。
遠くから見つめるティオは、ドーナツを頬張りながらくすりと笑う。
「6人賭けってのはどういう意味だ?」
「これは欲しいクルーを奪い合うゲームなんでしょ? あたしたちが欲しいのはあの2人。2人揃ってないと意味がないの」
「はぁ?」
「あたしたちが勝てばあの2人は返してもらうし、逆にアンタたちが勝てば、あたしたち6人全員があんたの部下になるわ。……どう? 悪い話じゃないと思うけど」
「……」
フォクシーはしばし考え、やがて立ち上がった。
「フェ~ッフェッフェッフェッ! 分かった! 二人なんてケチなことは言わねぇ。500人賭けだ!」
「え?」
「…あの、われあたま、やっぱり、のうみそも、われてる。ばか」
「ん? ティオ、何か言ったか? ……んぉっ、うまいなぁこれっ」
「なんでも、ない。……ん、ほんとだ。おいし」
「500人もいらねぇよ! オメェら馬鹿じゃねぇのか?」
「バカはオメェだルフィ! せっかくまとまりそうなのに何で断るんだよ!」
「メリー号には500人も乗れねぇだろうが!」
「チョッパーとティオちゃんだけ手に入ればそれでいいんだよ! 6人も500人も一緒だろうが!」
「んん? ……あぁ、そっか!」
「で? 受けるのか?」
「おう! あたぼうよ!」
そこで司会が補足する。
『ちなみに負けチームが500人以下だった場合は、不足分はメンバーの子孫に受け継がれるよ~?』
「なっ、子供、孫……」
サンジの頭の中で、ナミによく似た幼い娘や孫が捏造されていく。
「はぁいパパでちゅよ~、おじいちゃんでちゅよ~?」
恐るべき妄想力だ。
「なんか話がデカくなっちまったな……」
「でもやるしかないわ。勝てばいいのよ。分かってるわね? ルフィ!」
「おう!」
「フェ~ッフェッフェッフェッ! 残念だが、それは無理だ。次の最終戦コンバット、お前は絶対俺には勝てない」
「何を~!? 戦闘で俺が負けるか!」
「フン、何度も言わすな。喧嘩とゲームは違うんだぜ?」
その後、少しばか姑息な決め方で、コンバットのフィールドはフォクシー海賊団の船の中になった。
甲板の真ん中辺りを中心に、半径50mが範囲だ。
フォクシーとルフィはその中であらゆる方法で戦い、どちらかを殺すか範囲外へ追いやれば勝ち。
最終戦を前にして、客席を準備するとかで、しばし休息を言い渡された。
各々、出店された屋台などで食べ物や飲み物を買う。
ティオとチョッパーも、気晴らしに手をつないで出歩いた。
まるでぬいぐるみと散歩する少女。
すると、いろんなところから声がかかる。
「お~いオメェら、ちょっと来なよ!」
「「?」」
何度目かの声がけ。
それまでに貰っていた大量のお菓子を抱え、ティオとチョッパーが呼ばれた方へ行ってみれば、ポップコーンとコーラを2つずつ渡される。
「おかね、は?」
「いいよそんなの。持ってきな」
「いいのか!?」
「ありが、と」
お菓子の山にポップコーンとコーラを加え、ティオとチョッパーは再び歩き出した。
「あ、そうだ。もしルフィが負けても、全員がこっちのチームに来るから、別れなくて済むんだよな?」
「(コクン)…でも、きっと、たのしくない」
「そうか……そうだな。……ルフィは、勝つよな。俺たち、また8人で旅を続けられるよなっ」
「……」
ティオは、泣きそうなチョッパーの手を掴んだ。
「だいじょぶ」
「……おうっ」
そろそろ客席が出来る頃だ。
2人は小さな歩幅でトコトコ歩いていった。