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14. デービーバックファイト
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「フェ~ッフェッフェッフェッ! やるなぁチャッピー。ますます欲しくなってきたぜ!」
「お前なんかに渡してたまるか!」
さて、これで1対1となり、両チーム共に後がなく、最終決戦だ。
すると……
『お~っとフォクシーチーム! 外野全員がボールを持ち出した!』
どうやら、何百ものボールで一斉にルフィを狙い撃ちし、本物のボールを分からなくさせようとしているらしい。
サンジが声を荒らげる。
「おい審判! ありゃどういうこった!」
「別に偽のボールを使っちゃいけねぇなんてルールはねぇ」
「くそっ、フォクシー海賊団の奴が審判である限り、こっちはずっと不利だな」
「そうでも、ない、よ」
「?」
「ようするに、ほんもの、2つ、だけ。るふぃの、と、われあた……じゃなくて、ふぉくしー、の」
「今さらっと割れ頭って……」
「ほか、ぜんぶ、にせもの。あたっても、へいき」
「しまった、そんな抜け道があったとはっ……チッ、やはりその頭脳、厄介だぜ」
そう言うフォクシーに、ティオは心底冷めた目を向ける。
「このていど、も、かんがえられない、おまえが、ばか。あたまも、のうみそ、も、われてる」
「ぬぁっ……ばか、って、脳みそまで、割れてる、って……」
「いやぁん親ビン! しっかり!」
「ふふっ、ティオ、あんまり言ったら割れ頭さんがかわいそうよ?」
「ん、きをつける」
「割れ頭、さん……」
フォクシーは連続の言葉攻めで膝をつく。
ルフィはそこを狙った。
「んじゃ、そのオモシロくんごと吹っ飛ばせばいいんだな?」
「ギクッ」
「うおおおおおおっ!」
雄叫びながら、ルフィは思いっきり腕を伸ばして振りかぶる。
すると……
「あら」
腕を伸ばしすぎたのか、ちょうどポルチェの目の前にボールが来た。
ポルチェがボールを取ったので、ルフィの腕は空振る。
「ん? あり?」
「んふっ、みんな~? シャッフルよ~ん!」
ポルチェの声に、フォクシー海賊団はボールを背後に回してシャッフルし始める。
「「シャッフル、シャッフル、シャッフル、シャッフル……」」
しばらくして、フォクシー海賊団は満面の笑みでボールを構えた。
ナミが青ざめる。
「しまった! これじゃ本物がどれか分からない!」
万事休すか。
……と思いきや、ナミは目の端で、白い指がゆっくり持ち上がるのを捉えた。
その指は冷静に、1人の男を指さす。
「しゃっふる、かいすう、12かい。みぎ7かい、ひだり5かい。ほんもの、もってるの、おまえ」
「え、俺!? そうなの!?」
どうやら本人も分かっていなかった様子。
おそらく、審判も含めてこの場の全員が本物を見失っていたはずだ。
「ふふっ、さすがね」
ロビンに頭を撫でられて、ティオはドヤ顔で親指を立てた。
「くぬっ、またしても!」
「よっしゃ、本物のボールは、アイツと割れ頭のやつなんだな?」
「また割れ頭って……チクショーお前ら! 投げまくれ! 投げちまえば分かりゃしねぇ!」
「「「おらあぁっ!」」」
数百にも及ぶボールが投げられる。
「へへっ」
しかし、ルフィは目がいい。
その数百のボールの中から、先ほどティオが示したボールをきちんと見分けていた。
ほかのボールが当たるのも気にせず、手を伸ばしてそれだけをキャッチする。
「よっしゃぁ!」
しかし……
「危ねぇルフィ! 後ろだ!」
「へ?」
"ドシュッ"
てきちゅうくんが速球を吐き出した。
キャッチしようにもまだ伸びた手が戻ってきていない。
切羽詰まってナミが叫んだ。
「ルフィ! 顔よ! 顔で受けて!」
「お前は鬼か……」
引き気味になるウソップだが、それしか方法がないのも事実。
どうせ打撃は効かないし痛くもないゴムの体なのだ。
ルフィはナミの提案通りにボールを顔で受けた。
「むぐぅ」
ちょうど、口にボールを加える形で、キャッチに成功する。
「やった!」
「ふう」
「危なかった~」
口をモゴモゴと動かすルフィ。
ホッと息をつく仲間を尻目に、ティオはこれから起こりうるルール違反を察して、ルフィに注意を促した。
「るふぃ、のんじゃ、め、だよ?」
「んぇ?」
"ごくん"
「あ」
「どうしたの? ティオ」
「のんじゃ、た……」
そこで、審判がホイッスルを吹く。
"ピーーッ!"
「麦わらのルフィ、アウト!」
「何でだよ!」
「るーる、だい、999じょう。ぼーる、のみこんじゃ、め……」
ティオは、膝の上に置いたルールブックの、最後のページを開いた。
それをロビンが後ろから覗き込む。
「本当だわ。書いてある」
「そんなルールありかよ……」
「まえに、ぼーる、ぜんぶ、たべたひと、いたらしい。おかげで、げーむ、ちゅうし、なった」
「もはや人じゃねぇだろそれ!」
ウソップのツッコミはもっともだが、ルールはルール。
第一回戦はフォクシー海賊団の勝利で終わった。
司会が声を張り上げる。
『さぁて、延長戦の一回戦を制したのは、我らがフォクシー海賊団! お待ちかね、戦利品を選ぶ時間だよ~? 親ビンはいったい誰を指名する?』
「フェ~ッフェッフェッフェ、俺が欲しいのは……」
「もちろん決まってるわよねん? 親ビン?」
「うぬっ」
チョッパーが青ざめてウソップの後ろに隠れた。
「俺が欲しいのはぁ……」
ゆっくり引き上げられたフォクシーの指。
その矛先は……
「お前だ! 諜報員、ティオ!」
「?」
意外や意外。
チョッパーに行くと思われた指先は、まさかのティオに向かった。
「いやぁん! 親ビン! どうしてチャッピーじゃないのぉ!?」
「あのガキがいると厄介だからな。先に奪っておく。……それに、あのガキ自体もいいスペックじゃねぇか。いたらいたで便利だぞ」
「でもぉ……」
「そして、次は確実にドクター・チョッパーをいただくって寸法よ!」
「なるほど! さすが親ビン!」
「フェ~ッフェッフェッフェ!」
「いやだぁティオ~っ!」
「ティオちゅわぁぁぁんっ!」
「むう……おも、いっ」
ティオは、まとわりついてくるチョッパーとサンジを、懸命に引き離した。
そしてルフィを見る。
「まってる」
「おう! 任しとけ!」
去り際に、ティオは横目にゾロを見た。
しかし、ゾロは目を瞑って腕を組んだまま。
それもそうかと思い、ティオはフォクシー海賊団の方へ歩いていった。
途端に、男たちの色目が向く。
「いやっほ~い!」
「かぁわいい~!」
「これから俺たちの仲間なのか~!」
さらに、女性人の目も向いた。
「お人形さんみた~い!」
「あとで髪の毛いじらせてくれるかしら!」
「絶対サラサラよね!」
しかし、フォクシー海賊団のアイドルであるポルチェは気に入らない様子。
「いやぁん、凄い人気……」
ティオはフォクシー海賊団の証である、メガネのような形の黒いマスクを渡された。
それをつけて、ため息を一つ。
「……ださい。せんす、うたがう」
「ぬぁっ……」
膝をつくフォクシー。
「いやん親ビン! ちょっとアンタ、新入りのくせになんてこと言うのよ!」
「おなか、すいた」
「無視してんじゃないわよ!」
「は~いティオちゃん、お待たせ~!」
「ティオちゃんの好きなチョコレート・ドーナツだよ~!」
ぷんすか怒るポルチェとは対照的に、男たちはみんなベタ惚れ。
……その様子を、ウソップは引き気味に見ていた。
「……なんか、うまくやってんな、アイツ」
ゾロがフンと鼻で笑う。
「元は諜報員だからな。潜入して馴染むなんざお手のもんだろ」
「ロビンと似た空気を感じるわね……」
「あらそう? ふふっ」
ただ1人、チョッパーは憧憬の眼差しを向けていた。
「すげぇ……俺あんなふうになれないよ……」
「いいやっ、俺には分かるぞ! その笑顔の裏では泣いてるんだよなぁ! ティオちゃん!」
「よぉしお前ら、次だ次! ティオを取り返すぞ~!」