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13. 海軍要塞ナバロン
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しばらくして、ティオは見張り用のバルコニーに出た。
「……」
涼風が髪を揺らす。
眼下には、軍艦に追われながらも出口へと向かうゴーイングメリー号。
どうやら、無事、88番ドッグからメリー号を奪取できたらしい。
しかも一味は奇跡的に全員揃っている。
あんなに散り散りで、敵だって数え切れないほどいただろうに、さすがだ。
……だが、ひとつ問題がある。
この要塞にあるただひとつの出口まで行くのはいいが、門が開いていないのだ。
しかも、開けるためには一度船を降りて、数十人で重たい歯車を回さなければならない。
そんなことをしていては、あっという間に海兵たちに取り囲まれるだろう。
さて、どうするのか……
「あ」
ついに、門の上に所狭しと並べられた砲台から、一斉砲撃が成された。
しかし、そこは船長の出番。
ゴムゴムの風船で砲弾を受け止めたかと思うと、それを門に向けて弾き返した。
"ズドォンッ!"
「おぉ……」
その方法があったか。
ティオは目を見開いて門を見つめる。
砲弾を受けて、門は開いた。というか壊された。
海兵としては悔しがるべきだが、不思議と応援したい気持ちになる。
メリー号は速度を落とすことなく、真っ直ぐ出口へ向かった。
「……」
ティオは、また性懲りもなく痛み始めた胸を押さえた。
どうしてこんなに痛む。
病気か?
……なんて考えていると、覇気が意外な情報を拾った。
「……どう、して?」
煙の中を、メリー号がUターンして戻ってくるではないか。
どこへ行くのか探っていると、近場にある、今は使われていないドッグに入っていった。
せっかく逃げられるチャンスだったのに……
一体どうしたというのか……
「……」
戻ってきた理由が、どうしても気になる。
ティオは無意識のうちに、鳥の姿に変身して、麦わら一味の元へ向かっていた。
「……」
ドックに辿り着くと、鼠に変わって、バレないような場所に潜み、話を盗み聞く。
……どうやら、一味は黄金がなくなっているのに気付き、取り返しに戻ってきたらしい。
黄金を押収したのは間違いなく、司令官のジョナサン中将だろう。
一味(主にナミ)としては、今すぐ取り戻しに行きたいところだが、黄金を取り返しに行っている間に、メリー号が奪われても困る。
ということで、一味はドックの廃材をかき集め、メリー号を軍艦に偽装し始めた。
発案はもちろんウソップだ。
……結局、一味は夜まで船を偽装していた。
「ふう~……どうだ! これでまたメリー号を奪われちまう心配はしなくていいぜ?」
自信満々なウソップに対し、ゾロとサンジは冷ややかな視線を向ける。
「ハリボテでゴーイングメリー号を覆うなんざ、よく考えたもんだな」
「しっかしこの出来の悪さだと、どこまで騙し通せるか……」
ルフィとチョッパーはイケると思っているらしい。
「いや~どっから見ても海軍の軍艦だ!」
「そうだな!」
本気かお前ら。とゾロは心中でツッコんだ。
「よしっ、それじゃみんな、黄金奪還作戦は今夜0時から始動するわよ! いい?」
ナミが言うと、一味は全員拳を突き上げ、揃って「おう!」と返事をする。
しかしすぐに、チョッパーが首をかしげてルフィに訊いた。
「でも何で今行かないんだ?」
「そりゃお前、夜の方がムードいいだろ?」
「そうか、ムードか!」
ウソップがすかさずツッコむ。
「いや、ちょっとだけ違うだろ?」
……それから一味は、各々に休息を挟んで、0時がやって来るのを待った。
「……さてと。0時になったわ。みんな、行くわよ!」
「「「おう!」」」
「っておい、待て待て!」
「んぉ? どした~ウソップ」
「ったくお前らはよぉ、考えなしにこのまま行くつもりか?」
「「「何が?」」」
「はぁ……これじゃ先が思いやられるぜ。7人が雁首揃えて行動してたら、目立ちすぎるだろうが」
「言われてみりゃそうだな」
「そして、偽装しているとはいえ、メリーも気になる」
「ま、この出来じゃな」
「こんなに完璧なのにバレるのか?」
「心配性にも程があるぞ」
「こんなボロ、誰も持ってかな「ボロ言うなボロ!」
ウソップは気を取り直して説明する。
「あのなぁ、俺は常に万が一を考えてんだ。今度見つかった日にゃ、さすがのメリーも沈められちまう。さらに、ナミ!」
「ん、あたし?」
「ときに、ウェイバーはどうした」
「あ、いっけない、草むらに隠したままだった」
「これだよ~」
「あはは、ドンマイドンマイ!」
「忘れてるナミさんも素敵だァ!」
「まぁアホは置いといて……いいか野郎ども、これから作戦をさずけてやる。よ~く聞きやがれ!」
ウソップは、ロビンが持ってきた地図を、テーブル代わりの木箱の上で広げた。
「まず黄金奪還班、ルフィ、ゾロ、ロビン、ティオ……って、そうだ。ティオはもういねぇんだった……」
ウソップが苦笑すると、チョッパーはべそをかく。
「うぅ……ティオ~」
「何だか慣れねぇなぁ」
「そうね。いつの間にかゾロにくっついてるのが、当たり前になってた」
「……フン」
「あぁ…ティオちゃん。君との別れは辛いよ……でも、君は海兵、俺は海賊。あぁ、何という運命の悪戯……」
「あの子、最後まで私たちに協力してくれたわ。資料室で私に必要な情報を掴ませてくれたのはあの子よ。感謝しないとね」
「……」
こんな時でも元気なはずのルフィまで黙ってしまい、雰囲気が盛り下がる。
「……」
ティオはメリー号の陰で、みんなの暗い雰囲気を感じながら、丸まっていた。
しばらくすると、気を取り直して、と言いたげに、ウソップが声を張り上げる。
「まぁ、ウジウジしても仕方ねぇ。俺たちがいくら仲間だと思っても、アイツは海兵だ」
「!」
なかま。
そういったの?
熱くなる目頭。
ざわつく胸。