夏祭り
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大ちゃんと二人で行った夏祭りは、超楽しくて俺の行動に逐一反応してくれる大ちゃんが可愛くて仕方なくて、色々仕掛けてみたんだけど、大ちゃんはどう思ってるんだろうか?
俺は大ちゃんが恋愛的な意味で好きだし、付き合いたいと思ってる。
だけど、大ちゃんは?
俺がしたことに対して何とも思ってなかったとしたら?
大ちゃんの反応を見る限りではそれは無さそうだけど、分かんねぇな…。
どうせなら、大ちゃんから告白させたいじゃん?
だから、大ちゃんにも俺を好きになってもらう必要があるんだけど…。
あっ!!!
そうだ!
お酒を飲ませて、本音を引き出すとか?
そうと決まれば、即行動しよ。
俺は大ちゃんとの約束を取り付け、俺ん家でお酒を飲むことに。
「お邪魔します。いのちゃん家、久しぶりだなー。」
「適当に座ってて。今コップ用意するから。」
はーいと言う大ちゃんの声を聞きながら、俺はコップを用意した。
そして、他愛ない話をしながら、飲んでいたのだけど、
「いのちゃんってさ、俺のこと好き?」
唐突にそんなことを言われ、
「大ちゃん、酔ってる?いきなりだなー。」
と、おどけて言うと、
「俺は真剣に聞いてんだよぉ。」
と砕けた口調で返された。
いやいや、大ちゃん酔うの早くね?
俺の計画は?
ここで俺が好きだって言ったら、酔った勢いにされる。
それだけは避けたい。
苦肉の策で出てきた答えは、
「大ちゃん、酔ってるよ。俺がもし好きだって言ったら、どうしてたよ?」
こうやって大ちゃんの本音を探ろうとしている邪な俺を許してください。
「正直、あの夏祭りから、いのちゃんのこと意識はしてる。でもこの感情に戸惑ってもいるんだ。」
今度はやけにはっきりした口調で話す大ちゃん。
あの夏祭りから俺のこと意識はしてくれてたのか。
酔った勢いって思われたくはないんだけど、俺から告白しちゃいたいなぁ。
でも大ちゃんの心が決まるまで待つって手もある。
「あれ?何で俺ばかり話してんの?ねーぇ、いのちゃんはどうなの?」
「好きな人ならいるかな。」
あの夏祭り以降、意識してるって聞けただけでも良しとしないと。
俺が告白して、大ちゃんをこれ以上困らせるのもね。
ゆっくりじっくり時間かけて俺のこと好きになってもらえたら。