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夏祭り



arside

<今年こそは夏祭り一緒に行こうね?>
っていのちゃんに言われてから、早2ヶ月。
お互いに休みを合わせて、とりあえずいのちゃんと待ち合わせしてる場所に向かってるんだけど…。

もうすぐ待ち合わせ場所に着くんだけど、何やら、女の子に話しかけられてる?
いのちゃんってあまり変装しないけど、マスクと帽子くらいはするみたい。
でもファンの女の子にバレちゃったかなと思っていると、

「あ、大ちゃん、遅いぞー。」

俺を見つけたいのちゃんが駆け寄って来てくれた。

「女の子は?良いの?」

「あの子ね、道聞かれただけだから!」

なーんだ。
道聞かれただけだったんだ。
ってなんでホッとしてんだ?

「早くお祭り行こ?大ちゃんと一緒に行くの久しぶりじゃん。」

いやいや、さらっと手を握らないで貰えますかね?
何故かいのちゃんにドギマギしつつ、俺らは夏祭り会場へ向かった。










夏祭り会場へ着くと、そこはこじんまりしてたけど、人はそれなりにいて、

「この雰囲気懐かしいなぁ。」

「そうだね。大ちゃん、何食べる?」

「んーと、最初はリンゴ飴!!」

そう話しながら、またも手を握ってくるもんだから、俺は、

「いのちゃん?手を握る必要はなくない?」

やんわりと拒否してみたのだが、

「大ちゃんがはぐれない様にだよ?」

そんな優しい口調で言われたらドキッとしちゃうじゃん。

「子供扱いすんなっ!!」

そう言いつつ、いのちゃんからふふふって声が聞こえた気がしたけど、何故か俺はその手を離せないでいたんだ。
ねぇ、この気持ちは何?
最近の俺、おかしいよ…。

男相手にドキッとしたり、いのちゃんのことで、一喜一憂したり、そんなのまるで…。

「大ちゃん、リンゴ飴買ってきたよー。」

「あ、あぁ、ありがとう。」

いやいや、違う違う。
俺はいのちゃんを邪な目で見たりしてない。
断じて違うんだ。
でもこの感情は?
友情でもないこの感情は?
え?え?
どういうこと?
恋に鈍感な俺は、すでに恋が始まっていたことに気付けなかったんだ。

「(大ちゃん、もしかして俺のこと考えてる?さっきから、何度も話しかけてるけど、上の空だし、手を握るくらいしないと、気づいてくれなさそうだしね(笑))」

俺は今まで同性に感じたことない感情にただただ戸惑っていた。


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