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誘惑小悪魔




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それは突然かかってきた山田からの電話により状況は変わったんだ。

「いのちゃん、お疲れ様。今大丈夫?」

「大丈夫だけど、山田からの電話なんて珍しいじゃん?どうしたの?」

何か相談でもあるんだろうか?
それとも他に何か話したいことが?

「単刀直入に言う、大ちゃんのこと構ってあげてないって本当?」

はい?
いきなりどうした?山田よ。
と言うか、大ちゃんのこと構ってあげてないって言った?

「いきなりどうしたの?」

「真面目に答えて。」

え?え?
何?
話が全く見えないんですけど。

「あのー、山田?何の話?」

「だから、最近大ちゃんを構ってあげれてるかってこと!!」

大ちゃん?
大ちゃんならそりゃ付き合ってるし、構ってあげれてるとは思うけど、何で山田が?
もしかして俺と大ちゃんが付き合ってるの知ってる?

「うん、一緒に遊んだりしてるし、構ってあげれてるとは思うけど。もしかして山田、俺と大ちゃんが付き合ってるの知ってたりする?」

「そうじゃない。大ちゃんとの夜の方だよ。あぁ、大ちゃんから話の流れでいのちゃんと付き合ってるの聞いた。」

夜の方ってもしかしなくてもあれ?
山田が俺ら付き合ってるの知ってたとして、何を聞きたいんだ?

「山田?夜の方ってもしかしなくてもあれのこと言ってるの?」

俺だって、大ちゃんとそういうこと考えなかった訳じゃない。
だけど、そんなに焦る必要無いと言うか、大ちゃんを大事にしたいと言うか。
大ちゃんの可愛さは俺だけ知っておきたいと言うか。
とりあえず、大ちゃんの心の準備もあるし、今まで理性と戦って必死に我慢してたのに。

「いのちゃん?今考えてたこと全て大ちゃんに話せ。」

「山田、あぁ、ごめん。でもなんで?」

「大ちゃんを悩ませたのはいのちゃんだろ。そりゃいのちゃんにも心の葛藤はあったのかも知れないけど、大ちゃんを不安にさせるなよ。」

山田の言う通りだ。
俺は自分に良いように解釈して、大ちゃんを悩ませて不安にさせてたなんて、予想外だった。

「山田、ありがとう。山田のおかげで、一歩踏み出せそうな気がするよ。」

「おう!!頑張れよ。あー、俺も知念に会いたくなってきたな。」

何で知念?と思った時には山田との電話は切れており、とりあえず俺は、大ちゃんと話し合いの場を設けようと思った。

「いのちゃんにかかってるんだからな。大ちゃんの不安を消せるのは。」

電話を切った山田がそう呟いていたのは優しさからなのか、そうじゃないのか。

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