誘惑小悪魔
arside
世間の俺へのイメージはいつでも明るくて元気印で悩み無さそうに見えるってイメージがあるみたいだけど、こんな俺だって、悩むときは悩むぞ。
だいたいいのちゃんが構ってくれないから、寂しいのもある。
だけど、もう付き合って3ヶ月経つんだぞ?
そろそろキスから先へ進んだって良いだろ…?
そりゃ男同士だし、結婚だって出来ないし、子供だって出来ないけど、それでも3ヶ月も付き合ってて、何もないってのは正直溜まるし、男なんだから欲求不満にもなるだろ?
それにいのちゃんが手を出して来ないのって俺に魅力がないのかなとか思っちゃうし…。
でもこんなのいのちゃん本人には言えないし、どうしたら…。
俺が悩んでいると、タイミング良く、山田から電話がかかってきた。
「もしー、大ちゃん?」
「おー、山田、何か用か?」
山田だ!
珍しいな。
「大ちゃん、何か悩んでることあるでしょ?他のみんなは気づいてないだろうけど、俺にはお見通しだよ?」
俺が悩んでたことバレてる?
「な、何言ってんだよ!悩みなんてないって。」
「すぐそうやって強がる。何年大ちゃんと友達やってると思ってんの?」
……山田。
俺の些細な変化に気づいて電話くれたって訳?
めっちゃ良いやつじゃん…。
俺がひそかに感動していると、山田は続けざまに、
「良く聞いて、悩みは吐き出すことで楽になったりもするし、話すことでスッキリすることもあるんだから、今大ちゃんが悩んでることあるなら、話してよ。」
今俺が悩んでること…。
「俺さ、話してなかったけど、いのちゃんと付き合ってるんだ。だけど最近はいのちゃん構ってくれないし、寂しいのもあって、まだキスから先へは進んでないし、それにいのちゃんが手を出してくれないのは俺に魅力がないからなのかな?って思ってて。」
山田に俺といのちゃんが付き合ってること話してなかったし、こんな相談されても困るだけなのかも知れないけど…。
「そうだったんだ?いのちゃんと付き合ってるけど、まだ清い関係のままなのを悩んでるのか。俺も知念と付き合ってるけど、それは1ヶ月くらいでHなら済ませたかなぁ?」
「えーっ!ちょっと待って。山田って知念と付き合ってたの?」
何それ!
何それ!
俺山田と知念が付き合ってるなんて初耳なんだけど!!
いつから、ねぇいつから?
と山田に質問攻めしていると、
「俺らのことより、大ちゃん達のことでしょ?
それで?大ちゃんはどうしたいの?」
苦笑いしながらも話の軌道修正してくれた。
「俺はもっといのちゃんと深い関係になりたいよ。ちょっと怖い気持ちもあるけど…。」
「それなら大ちゃんからいのちゃん誘えば良いじゃん?」
俺から誘う?
いやいや、そんなこと。
「何言ってんだよ、そんなこと出来る訳ないだろ!」
「それがダメなら、今思ってることを、そのままいのちゃんにぶつけてみるとか。」
そんなこと俺から出来るかよ…。
だいいち、もし俺に魅力がないっていのちゃんにはっきり言われたら立ち直れないぞ。
「大ちゃん、今の状況を打破したいなら、思ってることをいのちゃんに伝えないとダメだよ?俺が上手いことアシストしてあげるからー。」
「アシストってどういう意味」
だよっ!って言おうとしたのに、途中で電話を切られてしまった。
山田に電話をかけ直しても出ない。
本当にどういう意味だよ。
とりあえず、いのちゃんとしっかり話す機会を作ろう。
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