俺は君が心配なんです!!
「少しは落ち着いたかな?」
俺の涙がひいた頃、光がそう声をかけてくれた。
「うん、話聞いてくれてありがとう。少し気持ち的に楽になったよ。」
「それは良かった。」
気持ち的には光に聞いてもらえたことで、楽になったけどまだ問題は解決してない。
「大ちゃん、また仕事であのスタッフと顔合わせると思うけど、大丈夫?」
「出来れば顔合わせたくないんだけど…、光がいてくれたら心強いかな。」
そう、俺からあのスタッフさんに話しかけなければ、話しかけられることはないはず…。
「そっか。いのちゃんも大ちゃんのこと心配してたんだけど、この事は話したの?」
何も言わずに首を横にふると、
「大ちゃんからは話しにくいだろうし、俺からいのちゃんに話そうか?」
「ダメっ!!いのちゃんには話さないで。」
咄嗟にそう声に出していた。
だって、いのちゃんが知っちゃったら、俺いのちゃんに合わす顔ないよ…。
あんなに心配してくれてたのに、それを無下にして勝手な行動して、こんな俺自業自得でしょ?
だから俺は…。
「何で?いのちゃんは大ちゃんを嫌いになることなんてないと思うよ?大ちゃんが何考えてるのかまでは分からないけど、これだけは言わせて。いのちゃんは大ちゃんが思ってるよりずっと大ちゃんの事を思ってるよ?」
どういうこと?
「???」
「訳が分からないって顔してるね。この言葉の意味はちゃんといのちゃんと話して。とりあえず俺からは何も言わないから。ただ、あのスタッフさんがいる時は心配だから、大ちゃんの傍にいさせて。」
「光、巻き込んでごめん、そしてありがとう。」
そう言うと光は俺の頭をポンポンしてくれた。
そうして、あのスタッフさんがいる時は、出来るだけメンバーの近くにいたし、その中でも光が守ってくれてたし、それに感謝しつつ、俺はだんだんとあの時の事を忘れつつあったのに、まさかまだ諦めてなかったなんて。
それは俺が光の心配を余所に、一人で飲み物を買いに行っている時だった。
「何飲もうかなー?」
と自販機の前で悩んでいた時。
「やっと一人になってくれた!!僕一人になるのをずっと待ってたんですよ?」
あのスタッフさんが性懲りもなく話しかけてくるなんて思ってもみなかった俺は、驚きのあまり、
「え?あ…。」
人って本当に驚くと言葉にならないもんなんだな…、と呑気に考えていた。
言葉にならないけど、あの時の事が蘇ってくる。
嫌だ嫌だ、気持ち悪い、そう思えば思うほど嫌悪感は増し、ここから早く立ち去りたいと思っているのに、こんな時に自分の体が思うように動いてくれない。
その間にもじりじりと近寄ってくる。