熱砂の策謀家
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痛い足を無視して急いで部屋に戻っていたら
いきなり後ろから手首を掴まれて振り返ると
まさかのカリムさんだった
カリム「…お前、こんな時間に何をしている」
『カリムさん…っ………』
カリム「答えろ!!」
『きゃ!?』
いきなり両手を壁に押さえつけられると
足の間にカリムさんの足が入ってきて動けなくなった
カリム「どうやらお前には昼間の訓練では
物足りなかったようだな、体力が有り余ってるらしい
お前ごときで体力が有り余っているなら
他の寮生たちもさぞ体力が余っているはずだ
今から庭で限界まで魔法の特訓をさせよう」
『こ、これ以上は止めて下さい!!』
カリム「…………」
『カリム…さん?』
カリム「いいだろう、そのかわり」
『_____』
拒否する時間もなく簡単にキスされてしまって
すぐに離れたカリムさんの瞳は変わらず鋭かった
『カ、カリムさん…どうして、こんなこと』
カリム「お前に拒否権はない」
『いや______』
今ここで大声をだして人を呼んだりしたら
カリムさんは本当に取り返しのつかない事になる
手に爪が深く食い込むくらい両手を握りしめて俯いたら
いきなり首にキスをされて身体が飛び跳ねた
カリム「…その反応、初めてか」
『!!』
カリムさんの言葉に恥ずかしくて顔が赤くなるのに
首に感じるカリムさんの舌の冷たさに
唇を噛みながら天井を見つめた
どうしたら…どうしたらカリムさんは元に戻るの?
((カリム「大丈夫だって…オレを信じろ!」))
『…いいですよ』
カリム「…何だと」
『カリムさんが望むなら…どうぞ好きにして下さい』
カリム「お前、俺をバカしてるのか!」
『いいえ…私、カリムさんを信じています』
カリム「…………」
カリムにさんに微笑んだら覚悟を決めて目を閉じた
カリム「……リリィ?」
『!?』
顔を上げたらカリムさんの瞳から鋭さは消えていて
優しく私に微笑んでくれていた
カリム「こんな所でどうしたんだ?腹でも減ったのか?」
『い、いいえ……』
カリム「!ど、どうしたんだその手!?
爪が食い込んで赤く…よく見たら足も火傷してるぞ!
どうしてそのままにしといたんだ!?」
『……カリムさん』
カリム「痛いかっただろ?もう大丈夫だ!
今ジャミルにみてもらうように頼んで……リリィ?」
『……っ、ごめんなさい、カリムさん』
誰も気付かなかった痛みをカリムさんは気付いてくれた
やっぱりカリムさんは無能なんかじゃない
優しくて温かい人
なのに私は、証拠を見つけることも
カリムさんの悪口を止めることも出来なかった
カリム「…リリィ、頼むから泣かないでくれ
お前の泣く姿は見たくないんだ」
『っつ!!』
カリムさんに抱きしめられて力強いのに優しい温もりに
涙が更に溢れて止まらなくなった
ねぇ…陽翔
私、あなたみたいに上手く出来ないよ
*~**~*
心配だからと部屋の前までついてきてくれて
扉の前に着いてカリムさんを見上げたら
心配そうに私を見つめていた
カリム「本当にジャミルにみてもらわなくていいのか?」
『カリムさんのユニーク魔法で冷やして頂けたお陰で
痛みも引いたので大丈夫です、ありがとうございました!』
カリム「いいんだよそれくらい!…じゃあ、また明日な!」
『はい、おやすみなさいカリムさん!』
パタン
カリム「……リリィ」
ジャミル「…ふん、面白い事になってきたな」
*~**~*
ジョリジョリ……カラーン!
グリム「オイ、見ろ二人とも!
ついに床に穴をあけることができたんだゾ!
そんなにデカくはあけられなかったけど
頭が通ればだいたいの穴は通れるって
相場が決まってるんだゾ」
「動物らしい理論だ」
『と、とにかく通ってみようよ!
先ずはここから脱出しなくちゃ!』
グリムが先に出てくれて
そのあとにユウくん私の順番で
穴から無事に外へ出られたのは良かったけど
『く、苦しかった……』
「挽肉になるかと思った……」
『っつ!!』
「リリィちゃん?」
『ん?』
「大丈夫?」
『体力ならまだまだ余ってるから全然平気!』
「…そう?」
『うん♪』
穴から無理やり出たときに思いっきり踏ん張ったから
また足が痛くなっちゃったけど
今はスカラビア寮から脱出して学園長先生に
今回の事を相談しなくちゃ
ぐ~~~~~ぎゅるるるる~~~~~
「い、今の音って……」
『グリム?』
グリム「ふな"っ!?し、しまったんだゾ!
穴堀りを頑張りすぎたせいで腹が減って……」
「なんだ、今の地響きのような音は!?」
グリム「あわわわ!?ヤベェんだ!!」
『と、とにかく逃げなくちゃ!』
無我夢中で寮の中を走りまわっていたら
グリムが指を指した部屋に入って
静かに足音が消えるのを待った
『…だめ、足音が遠くなるどころかどんどん増えてく』
「見つかるのは時間の問題かも…」
グリム「くそぉ…、なんとか逃げ切る方法はねぇのか?
にしても、ここはなんの部屋だ?
真っ暗でなにも見えねぇんだゾ………ン?
なんかフサフサしたもんが顔に……
ふひゃひゃ!くすぐってぇ!」
『グリム静かに……ふふふ、くすぐったい!』
「リリィちゃ……わわわ!」
ユウくんがスマホでライトを照らしてくれた瞬間
目の前にいたのは、魔法の絨毯だった
グリム「オマエ……ここって、カリムの宝物庫か!
鍵ひとつかけてねぇなんて金持ちにもほどがあるんだゾ!
…そうだ!オマエがいれば、見張りを振り切って
外に出られるかも!
やい、絨毯…オマエをここから出してやる!
だからオレ様たちを寮の外まで連れていくんだゾ!」
「そんな頼み方ある?」
『そうだよグリム!』
絨毯「♪」
『きゃ!?』
次の瞬間、気付いたら魔法の絨毯に乗っていた私
ユウくんとグリムに手を伸ばして引っ張りあげると
扉を突き破った勢いのまま、寮の外へと飛び出していた