熱砂の策謀家
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グリム「アドバイス求めといて
即却下するんじゃねーんだゾ!なんでダメなんだ?」
ジャミル「俺の一族、バイパー家は先祖代々
アジーム家に仕えている
家臣が主人に刃を向けるなんて許されるわけないだろ?
それに、俺がそんなことをしたとカリムの父親がしれば
バイパー家の処分は免れない
悪いが、俺の身勝手で家族全員を路頭に
迷わせるわけにはいかないんだ」
「それは子どもに背負わせていい責任じゃないような…」
ジャミル「仕方ないさ、それが
バイパー家に生まれた者の宿命だ」
グリム「ジャミルがカリムに決闘を挑めないのは
わかったけどよぉ…寮長があんな調子じゃ
寮生みんなが振り回されてまいっちまうんだゾ
リドルも大概だったけど、支離滅裂な分
カリムのほうがひでぇ気がするんだゾ」
「そうですよ…俺たち、もう
カリム寮長にはついて行けません」
「今のカリム寮長は、寮長の条件を満たしてない!
スカラビアの精神に反しています!」
『(スカラビアの精神…?)』
「寮長の条件って何ですか?」
バイパーさん曰く、ナイトレイブンの7つの寮における
寮長の条件は「寮の精神に一番相応しい者であること」
7寮それぞれの特色が違うからふさわしい条件も
寮によって違うらしくて
たとえば、ポムフィオーレは
誰よりも強烈な毒薬を作れる人が寮長になる伝統らしい
グリム「じゃあ、カリムはなんでスカラビアの寮長に
選ばれたんだ?」
ジャミル「前寮長の指名さ、カリムのそれまでの働きぶりと
人徳が寮で一番だと評価されたということだな
…アイツが指名されたときは、俺も嬉しかったよ」
「それも、ジャミル先輩の
助力あってのものじゃないですか!
寮生はみんな知ってますよ!」
「なんで前寮長はジャミル先輩を選らばなかったんだ!?」
ジャミル「前寮長を責めるな!アジーム家の親戚筋の人間が
カリムを差し置いて俺を選べるわけが………あっ!」
グリム「はぁ~!?またアジーム家なんだゾ!?」
「そんな事情があったなんて、知らなかった……
つまり、コネじゃないですか!」
「汚ねぇ……汚なすぎるぜ、アジーム家!」
「親の意向で評価されていいわけがない!」
「そうだぜ、副寮長!俺たちは、そんなの納得いかねぇよ!」
「学園の中では身分や財力なんか関係ない!
誰もが平等であるべきでしょ!」
ジャミル「それは、しかし……」
「スカラビアは砂漠の魔術師の
熟慮の精神をモットーとした寮
俺は昔から、アジームよりもバイパーのような
思慮深いヤツが寮長になるべきだと思っていたんだ」
ジャミル「待ってくれ!俺だって特別優秀なわけじゃない
成績だって、いつも10段階でオール5の平凡さだ
寮長にはふさわしくないよ」
「寮の精神にふさわしいかどうかは、魔法力じゃない
」
「お前たちはどう思う?俺たちの中で誰が寮長にふさわしい?」
「そんなの、ジャミル先輩の方が
寮長にふさわしいに決まってる!」
「そうだ、カリム先輩より
ジャミル先輩のほうがスカラビアの寮長にふさわしい!」
「身分ある家の生まれだからって
無能が寮長でいて言い分けがない!」
「そうだそうだ!スカラビアに無能な寮長いらない!」
「「「スカラビアに無能な寮長はいらない!」」」
『…そう言うこと、か』
「…リリィちゃん?」
バイパーさんの今までの言動の真意が
全て繋がったような気がした
こういう回りくどくてズルいやり方を私は知ってる
だから……本当に許せない
ジャミル「頼む、どうか今の話は聞かなかったことに
『帰ります』…は?」
ゆっくり立ち上がると
驚いてるバイパーさんにはっきりと伝えた
『カリムさんの悪口しか言わない集会になんて
いたくないので部屋に帰らせて頂きます』
ジャミル「…悪口?」
『はい、カリムさんを目の前にしたら怯えるだけで
何も言わないあなたたちの事です』
「な、何だと!?」
グリム「や、ヤバいんだゾユウ!
あいつキレてるんだゾ!」
「…………」
『先ほどカリムさんを無能と仰いましたけど
本当にカリムさんは無能なんですか?
入学したばかりで寮に馴染めないあなたたちの話を
親身になって聞いてくれていたことや
授業のレベルについていけなかったら
朝まで特訓に付き合ってくれた…そんな優しい人を
あなたたちは無能と決めつけるんですね?』
「そ、それは……」
『こんなに大勢が集まってるのに
結局カリムさんの悪口を言って終了ですか?
失礼にも及びませんが…あなたたちの方が
無能だと私は思います』
「で、でも!カリム先輩の横暴を君も見てきただろ!?」
『はい、見てきました…でも私、一回もあなたたちに
愚痴や文句を言っていません』
「それは、き、君は魔法を使えないから
僕たちと疲労具合が違うんだ!」
『…これを見てください』
「「「「!?」」」」
ジャミル「!」
グリム「ど、どうしたんだ!?血がにじみ出てるゾ!!」
「それに皮膚も赤く……もしかして火傷!?」
『…私はカリムさんの事を知りたいんです
カリムさんがこの厳しい訓練に
何か得られるものがあると思って行っているのなら
私は黙って従います』
「な、何でそこまで寮長のこと……」
『あなたたちと同じです』
「え?」
『彼は初対面の私の注意に嫌な顔や怒りもしないで
素直に謝ってくれました…この学園に来て
まだ日が浅いですが、そんな寮長さんに
私は今まで出会ったことがありません』
グリム「確かに、明るいときのカリムは
めちゃくちゃいいヤツなんだゾ!」
『みなさんお願いします…もう少しだけ
カリムさんに時間をもらえませんか?』
ジャミル「…………」
みなさんに頭を下げたら、そのまま談話室をあとにした
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