熱砂の策謀家
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沢山の料理と踊りと歌を楽しんでたら
隣にいたグリムのお腹が破裂しそうなくらいに膨らんでいた
グリム「も、もう食べられない……うっぷ
腹がはち切れそうなんだゾ
あのカリムってヤツ、めちゃくちゃカビののった
クラッカーを食べさせてきやがる
出されたモンは全部食うのがオレ様のポリシーだけど
それにしたって食わせ過ぎただゾ……」
カリム「おーい、3人とも、おやつにしないか?
アイスクリームがあるぜ?
それともフルーツの盛り合わせがいいか?
ピスタチオとアーモンドの焼き菓子もあるぞ
ジャミルに持って来させようか」
『カ、カリムさん!』
カリム「ん?」
『グリムが苦しそうにお腹を膨らませて横になっているのは
お腹がいっぱいってことですよ?』
カリム「わ、悪い…どれも美味しいから
食ってもらいたくてさ」
『カリムさんのお気持ちはとっても嬉しいですけど
まず周りを見て「どうだろう」って考えることも
とても大事な事です!』
カリム「リリィって、すっげー優しいよな!」
『…ふふふ』
カリム「?」
少しキツイ事を言ったはずなのに
それを怒りもふて腐れもせずに
「優しい」って返事をしてしまうカリムさんの方が
優しい人だと思って、思わず笑ってしまった
それに……
カリム「ま、オレたちはこの冬休みずっと寮にいる予定だし
いつでもメシ食いに来いよ、な、ジャミル!」
ジャミル「ああ、いつでも」
「何故、家に帰らないんですか?」
カリム「ん?ああ……この間、寮対抗マジフト大会の
期末テストがあっただろ?
ウチの寮、どっちも順位が最下位になっちまってさ」
ジャミル「…………」
カリム「それで、一念発起!寮生みんなで自主的に
特訓しようぜってことになったんだ」
グリム「マジフト大会ではスタートラインにすら立てなかった
オンボロ寮からしてみたら、羨ましい話なんだゾ」
カリム「そっかぁ、そりゃ残念だったな」
ジャミル「この冬休み……俺たちは毎日6時間
勉強したり魔法の実技訓練をして過ごそうと思ってる」
グリム「毎日6時間?それじゃあ、学園で授業がある時と
なにも変わらねぇんだゾ
ホリデーってのは、休むもんだ
宿題なんか休みが明けてからやりゃいいんだよ
……って、レオナは言ってたぞ」
ジャミル「あいかわらずだな、あの人は……」
カリム「うーん、でも言われてみれは確かにそうかもしれない
…なぁ、リリィはどう思う?」
『私ですか?』
カリム「そう!」
『私は学生じゃないですし、魔法の勉強が
どれくらい大変で疲れるとか分からないので…』
カリム「分からなくてもいい!
リリィの素直な意見を聞かせてくれ!」
『…………』
カリムさんの真っ直ぐな瞳に戸惑ったけど
ゆっくり私の素直な気持ちを伝えた
『休み明けから勉強するのは
効率が悪いので止めた方がいいとは思うんですけど
休める時に適度に身体を休めることも
大事だと思うので勉強ばかりはよくないと思います』
カリム「オレのとーちゃんも「学ぶときは真剣に学び
遊ぶときは思い切り遊べ」って言ってたし
…レオナの言う通りメリハリが大切かもな」
『(メリハリ……なのかな?)』
カリム「よし!オレは決めたぜ、ジャミル
やっぱり休暇はちゃんと取るべきだ
寮生たちを明日実家に帰してやろう」
ジャミル「え!?」
カリム「このことは寮生たちには夕食の席で話すことにする
みんなに欠席しないように伝えといてくれ」
ジャミル「あ、ああ……わかった」
カリム「そうだ、リリィたちにスカラビアを案内してやるよ
見せたいものがあるんだ!」
ジャミル「こら、カリム!寮生には勉強させておいて
お前が遊んでいたら示しがつかないだろう」
カリム「せっかく客人が来てるんだ、今日はいいじゃないか」
ジャミル「…カリム」
カリム「うっ、わかったよ…そう怒るなって
じゃあ、防衛魔法の特訓をするか
試合は腹ごなしにもちょうどいい
おーい、誰か、相手をしてくれないか!」
「「「はい、寮長!」」」
カリム「見ててくれよリリィ!」
グリム「…リリィ、お前カリムにだいぶ懐かれたんだゾ」
『え?』
ジャミル「…………」
カリムさんは軽やかに魔法を繰り出していた
バランス感覚がいいというか、体感がしっかりしてるんだ
訓練が終わると私達の所に笑顔で駆け寄ってきてくれた
カリム「どうだった!?」
『魔法の事は分からないですけど、とても軽やかで
見ていてこっちまで楽しくなりました!』
カリム「へへへ♪よーし、特訓は終わり!さ、行こうぜ!」
『カ、カリムさん!?』
グリム「待つんだゾお前ら~~!!」
カリムさんに手を引かれて案内された寮の中は
どこを見ても黄金で輝いていた
何でもカリムさんが入学した時にカリムさんのお父さんが
学園に寄付をして寮をキレイに改装してくれたらしい
グリム「どんだけ大金持ちなんだゾ!
オメーもしかして…レオナと同じ王子様か!?」
カリム「アジーム家は王族じゃないから
オレは王子じゃないぜ!
親戚筋には王族もいるけどな!」
グリム「あじーむ?オマエの名前って
アルアジームじゃなかったか?」
カリムさんの話しでは
熱砂の国の古い言葉で「アル」は「息子」を意味していて
家を興した祖先の名前を家名にして以降
生まれた男児は全員「その息子」って
名乗ることになっているみたい
カリムさんの場合、「アジーム」がご先祖さまの名前で
「アル」が息子って意味なので「カリム・アルアジーム」は
「アジームさん家の息子カリムくん」って意味らしい
グリム「はへぇ……名前の由来なんて
考えたこともなかったんだゾ」
カリム「馴染みがないからちょっと難しかったか?
ま、カリムでいいって!」
「いろいろな国出身の生徒がいるんだなぁ」
『異国情緒あふれて素敵だと思う!』
カリム「いつか熱砂の国のオレんちにも遊びに来いよ!
めいっぱいもてなすぜ」
グリム「お城みたいな大豪邸に住んでそうなんだゾ」
カリム「そうでもないぜ、召使いも100人くらいしかいないし」
「100人!?」
グリム「100人いれば十分すぎるんだゾ!?オレ様だって
子分は2人しかいねぇのに」
カリム「オレんち、オレの下にきょうだいが30人以上いる
大家族だからさ、それくらい召使いがいてくれねぇと
面倒みきれねぇんだよ」
グリム「スケールがなにもかも庶民と違いすぎる」
「そうだね…」
『うん…』
カリム「ジャミルのとーちゃんとかーちゃんも召使いで
だからジャミルにも小さい頃からずっと
オレの世話係りをしてもらってる
ジャミルはスゲーヤツなんだ、頭もいいし気が利くし
なにより料理が上手い!」
グリム「確かに、さっきの料理はスゲー美味かったんだゾ」
カリム「だろ?じゃあ今日は夕食も食べていけよ!なっ!」
『さすがに夕食までご馳走になるのは悪いです』
カリム「そんな事ないさ!もっと美味しい料理を
食べて欲しいって言ってただろ?」
『そうですけど、作るのはバイパーさんですよね?』
カリム「ああ、そうだ!」
『ならバイパーさんにも許可を取らないと…いいですか?』
カリム「ああ、もちろん!」
グリム「…なんかコイツとしゃべってると調子狂うんだゾ」
「…この学園では珍しい、いい人だね」
『…そうだね』
カリム「おーい、お前ら~、なにコソコソしてるんだ?
こっちに来いよ」