熱砂の策謀家
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グリムがどうして学園に残っているのか質問していた
ジャミル「…それについては、話すと少し長くなる」
『(あれ……他の生徒さんが落ち込んでるような……)』
「(なんだか厄介ごとの匂いが……)」
「スカラビアは全員、寮長の命令で……」
「帰りたくても帰れないというか……」
ジャミル「シッ、やめないかお前たち
もとはといえば、俺たちの責任だろう
…さ、料理が冷めてしまう、早くスカラビアへ向かおう
スカラビアはいつでも夏のように暖かい
ちょっとした南国気分が味わえると思うぞ」
グリム「やっほー!ユウにリリィ、早く行こう!」
『ちょっと待って、グリム!
いきなりお邪魔なんてしたら失礼だよ!』
ジャミル「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう
……来てくれるな?」
「……もちろんです」
『え、ユウくん?』
グリム「ほら!ユウもそう言ってるんだゾ!」
ジャミル「…君たちを招待できてとても嬉しいよ
さあ、行こう…スカラビアへ」
『(ユウくん…?)』
*~**~*
鏡舎について、スカラビアへ行く鏡を通ったら
目の前に現れたのはまさにアラジンに出てくるような
アラビアンナイトの風景だった
外は真冬だったのに、本当に南国にいるみたいに暖かくて
スカラビア寮の中もとてもきらびやかだった
いつもなら嬉しいくらい感動しているハズなのに
隣にいる元気がないユウくんが気になるし、それに……
パンパン!
ジャミル「客人のおでましだ!みな、歓迎の音楽を!」
グリム「にゃっはっは!オレ様ほどの有名人ともなると
こんなに歓迎されちまうのか」
ジャミル「さぁ、冷める前にどんどん食べてくれ!」
グリム「いただきま~す!」
色々な食事を食べるよう促すバイパーさん
勢いよく食事を食べ始めてしまったグリムに注意した
『寮長さんに挨拶もなしに先にお食事なんて失礼だよ?
バイパーさん、先に寮長さんに
ご挨拶をさせて頂けませんか?』
ジャミル「…それは」
「…お前たち、何を騒いでいる?」
「「!!り、寮長………」」
『(あの人がスカラビアの寮長?)』
キレイな白髪に焼けた肌、でも瞳が赤くて……
『(あれ?あの目、どこかで…)』
ジャミル「カリム……」
カリム「どういうことだ、ジャミル
客を呼ぶなんて、オレは聞いてないぞ!」
ジャミル「カリム、これにはワケが……」
グリム「な、なんか怖そうなヤツが来た……」
カリム「客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと
言ったはずだ!そうすれば…もっとスゲーご馳走と
音楽隊を用意出来たのに~~!」
グリム「えっ?」
カリム「よう、おさんにんさん、よく来たな!
出迎えのパレードもなくて悪い!
オレはスカラビアの寮長、カリム・アルアジームだ
はじめまして、だよな?」
ジャミル「いいや、彼らとは初対面じゃない
お前は入学式でグリムに尻を焦がされたし
マジフト大会前にも食堂で話をしたぞ」
カリム「あれっ?そうだったか?あっはっは、悪い悪い
オレ、あんまり人の顔覚えるの得意じゃねぇんだよなー
気を悪くしないでくれ
そんじゃ、改めまして…お前ら、これからよろしくな!」
「今までの寮長とかなりタイプが違うね…」
『ユウくん……大丈夫?』
「え、何が?」
『…ううん、なんでもない!』
カリム「今日の料理も美味しそうだ
出来栄えはどうだ?ジャミル」
ジャミル「いつも通りさ、どの大皿にも危ない物は入ってない
安心して食べていい、毒味も済んでる」
グリム「むが!?ど、毒味!?」
ジャミル「カリムは熱砂の国有数の大富豪なんだ
命を狙われることも少なくないから、毒味は必須でね」
カリム「いつも大袈裟なんだよ、ジャミルは
食事に毒物混入なんて
4年前に2週間昏睡状態になったのを最後に
最近はパッタリなくなってるし」
ジャミル「この4年はちゃんと毒味役がついたから
無事だっただけだ、お前に食わせる前に
毒が盛られた料理は処理してる」
グリム「オイ、つまりさっきオレ様に
色々食べさせてたのは、毒味だったってことか!?」
カリム「あっはっは、そんなに心配しなくても
ジャミルが作ったメシなら安心だ
ジャミルは絶対に俺に毒を盛ったりしない」
ジャミル「ふ、なにを当たり前のことを言ってるんだ」
グリム「コイツら、いいヤツに見せかけて今までで一番
えげつねぇヤツらな気がしてきたんだゾ!」
『…帰りましょう、二人とも』
「「えっ!?」」
カリム・ジャミル「「!!」」
深く頭を下げて出口に向かおうとした私の手首を掴んだのは
アジームさんだった
カリム「ど、どうしたんだ?
何か気に入らないことでもあったのか?」
『分からないんですか?』
カリム「え?」
『アジームさんのお家の事情で
毒味が必要なのは分かりました、でもそれは
そちらのお家の都合であって私達には関係ありません
なのにバイパーさんは、グリムに毒味をさせて
それをあなたは笑って許してしまった
…私にとってグリムやユウくんはここでの家族です
家族を危険な目に合わせた人達とお食事なんて出来ません』
カリム「…お前」
グリム「…っ……リリィ~」
「リリィちゃん……」
ジャミル「…………」
私の手首を離したアジームさんは
勢いよく頭を下げていた
カリム「そうだよな…家族が傷つけられたら
オレだって嫌なのに、笑ったりして本当にごめん!!
」
『…私も少し大人気なかったです、ごめんなさい』
カリム「ゆ、許してくれるのか?」
『はい!』
カリム「!?…よぉ~し!!宴の続きをするぞ!!」
「「はい!寮長!」」
カリム「あのさ、名前教えてくれよ!」
『リリィ、灰咲リリィです!』
カリム「リリィか、花みたいで可愛い名前だな!」
『______』
((「おはなみたいにかわいいなまえだね」))
『…ありがとうございます、アジームさん』
カリム「カリムだ、そう呼んでくれ!」
ジャミル「…………」