熱砂の策謀家
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学園長先生との約束のため
学園の大食堂に向かおうと玄関の扉を開けた瞬間
真っ白な雪景色に思わず足が止まってしまった
グリム「わー、見てみろユウにリリィ!
雪が積もってるんだゾ!」
「どうりで冷えると思った」
『暖炉の様子が心配だね…』
グリム「火の妖精ってヤツらも震えてるかもしんねぇな
薪を持っていってやるか」
『昨日いっぱい割っといて良かった!』
「…リリィちゃんスゴい勢いで割ってたからね」
グリム「…こいつの割ってる時の真顔が怖かったんだゾ」
*~**~*
大食堂に着いたらいつもは暖かいのに
今は少し肌寒くて暖炉に薪を入れた瞬間
一瞬で大食堂が暖かくなった
後ろから熱を感じて振り返ると
全身が赤くて小さな妖精さんが浮いていて
思わず声をかけていた
『こ、こんにちは!』
「(ありがとう♪)」
『え______』
一瞬で妖精さんが消えてしまったのにも驚いたけど
あの声は…妖精さんの声だったのかな?
トントントン、ジュー、ジュー
グリム「スパイシーでいて食欲を刺激する
異国の香りが漂ってきたんだゾ!
キッチンのほうからだ!行ってみようぜ!」
皆で厨房に向かうと赤と橙色の寮服を来た
生徒さん数人が忙しなく動いてる中
的確に指示を出してる生徒さんに目が止まった
「野菜に火を通し終わったら
解凍してあった肉を茹でてくれ
油が温まったらナッツを入れるのを忘れるな」
「はい!」
「副寮長、スパイスの量なんですが
大さじ一杯でしょうか?」
「寮長の好みはもう少し辛めだな
あと小さじ一杯足してくれ」
グリム「にゃんだぁ?冬休みのはずなのに
生徒がいっぱいいるんだゾ!」
「ん?君たちは…」
「あなたは確かマジフト大会の時に…」
「ああ、マジフト大会前に怪我した時
少し話をしたな、君たちは確か……ユウとグリム
それに……リリィだったか?」
グリム「物覚えがいいヤツなんだゾ!
オマエの名前は、ええっと……」
ジャミル「ジャミルだ、ジャミル・バイパー
スカラビアの副寮長をしてる
俺は昔から人の顔と名前を覚えるのは得意でね
それに、君らは入学以来とにかく目立つからな
この学園で君らの名前を知らないヤツは
いないんじゃないか?」
グリム「えっ、そ、そうか?にゃっはっは!
オレ様たちも名前が売れたもんなんだゾ!」
『(いい意味での売れ方ではないかな…)』
ジャミル「ところで…君たちは冬休みなのに何故学園に?」
グリム「オレ様たちには帰れる実家なんかねぇからな
それに学園長から暖炉の火の番という
大役を任されてるんだゾ
オレ様、真面目で有能だからな~!
学園長に頼られるのも仕方ねぇことなんだゾ!」
ジャミル「へぇ……そうなのか、学園長にね
……それは使えるかもしれないな」
『(使える?)』
グリム「ン?なんか言ったか?」
ジャミル「あの学園長に認められるなんて
君たちはすごいな、と」
『(え…何でウソついたの?)』
寮生さんが野菜の下準備が終わったことを
バイパーさんに伝えたら彼は私達に振り返った
ジャミル「ああ、そうだ!ここで出会ったのもなにかの縁
良ければ君たちも食べていかないか?」
グリム「にゃに!?いいのか!!」
ジャミル「ああ、もちろん!料理の完成まであと少しだ君たちも手伝ってくれ」
テーブルには沢山の種類のスパイスが準備されていた
バイパーさん曰く、熱砂の国のスパイスで
何種類かブレンドすることで独特の風味が出るらしい
グリムとユウくんがスープの準備をしている間に
私は副菜に使う野菜の皮剥きをしていた
ジャミル「…手慣れているんだな」
『はい、毎日料理をしていたので!
バイパーさんもですよね?』
ジャミル「…どうしてそう思う?」
『あんな的確に料理の指示を出せるんですから
もう身体に染み付いているのかなって!』
ジャミル「身体に染み付いている……か」
『…ごめんなさい』
ジャミル「何故謝る?」
『だって今、嫌そうな声色だったから……』
ジャミル「!」
グリム「おーいジャミル~!
この茶色パウダーもう鍋に入れていいか?」
ジャミル「…まだだ、ガラムマサラは
火を止める直前に入れないと香りがとんでしまう」
グリムの所に向かったバイパーさん
悪いこと言っちゃったなって反省したら
野菜の皮向きに集中した
そんな私をバイパーさんが見つめていたとは知らずに