深海の商人
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ユウくんに抱かれながら寝ているグリムと
久しぶりに三人一緒にオンボロ寮に帰ってきた
「ボロいけど、やっぱり落ち着く」
『ここが私達の今のお家だもんね!』
「うん……あ!」
『緑の…光』
蛍の光のように消えたり現れたりする緑の光が
キレイで見つめていると
マレウス「…まさかアーシェングロットとの勝負に勝利するとは
ボンヤリしていそうに見えてお前らはなかなか曲者らしい」
『ツノ太郎さん…どうしてここに?』
マレウス「!…ふっ、お前も僕をその名で呼ぶのだな」
『嫌でしたら名前を教えて頂けませんか?』
マレウス「…いや、また今度にしよう」
『(もしかして…ツノ太郎って名前気に入ってるのかな?)』
「ツノ太郎のアドバイスのおかげだよ!本当にありがとう!」
マレウス「僕の?…別に助言したつもりはなかったんだがな
ふふ、なんにせよ、この庭が
騒がしくならずに済んで良かった
すまし顔のアーシェングロットが悔しがる顔は
さて見ものだったろう、僕も見てみたかったな
…ん、僕はそろそろ自分の寮へ戻った方が良さそうだ
ではな、おやすみ」
一瞬で消えてしまったツノ太郎さん
少し…ううん、だいぶ変わってる人なのは確かだと思う
*~**~*
__アトランティカ博物館__
アズールさんの手配で貸し切りになっている博物館
外装はまさにアリエルの住んでいたお城のように美しくて
中は広いだけじゃなかった
『(すごく…響く)』
エース「うわー、すげぇ…中はこんな風になってんだ」
デュース「伝説の海の王の像か……海の魔女以外にも
海底にはいろんな偉人がいたんだな」
ジャック「この王様、なかなか鍛えてるじゃねぇか」
『(トリトン王!!)』
アズール「みなさん、ようこそアトランティカ記念博物館へ
本日はモストロ・ラウンジの研修旅行…という各目で
貸切営業となっておりますので
ゆっくり楽しんでいってください」
グリム「ふな、出たなタコ足アズール……と、思ったら
オマエは人間の姿のままなのか?」
アズール「ええ、僕のようにタコ足の人魚はこの辺りでは
とても珍しいので…こっそり写真を戻しに来たのに
変に印象に残っても嫌ですから」
ジェイド「そんなに気にしなくても、写真に写っている
まんまるおデブな人魚が貴方だとは、誰も気づきませんよ」
フロイド「せっかく帰ってきたんだから
そんな不便な姿じゃなくて、元の姿に戻って
泳ぎ回ればいいのに~」
アズール「じゃあ僕は写真をそっと元に戻してきますから
みなさんはどうぞ館内をご覧下さい」
フロイド「あっちに人魚姫の銀の髪すきとか展示してあるよ」
エース「さっきパンフで写真見たけど
あれはどう見ても櫛じゃなくてフォークじゃね?」
ジェイド「ふふふ…陸の人間にはそう見えるかもしれませんね」
グリム達は大きなシードラゴン骨の彫刻に興奮していて
ユウくんと支配人さんは一緒に写真を戻しに行った
皆と少し離れた場所に置いてある像に目が止まって
足を進めたらその像の前に立った
『人魚姫が恋をした人間の像……か』
アリエルがこの銅像に想いを募らせた理由が
今なら少し分かる気がする
『(……陽翔)』
アズール「この銅像が気になりますか?」
『!…支配人さん、写真は無事に戻せたんですね』
アズール「ええ……」
『それは良かったです!』
アズール「貴女に質問をしてもよろしいですか?」
『はい、何でしょう?』
アズール「前に貴女は私にこう言いました
"私の願いを貴方に叶えて貰いたくない
自分で叶えないと意味がないものだから"…と
そのの願いは一体なんなんですか?」
『…………』
((「……リリィ、俺と結婚して欲しい」))
『…プロポーズされたんです』
アズール「……は?」
『プロポーズの返事をしようとした瞬間
気がついたらこの世界にいました
だから……自分の素直な気持ちを彼に伝えたい
それが私の一番の願いです』
アズール「…………」
『あ、私も1つ質問していいですか?』
アズール「…何でしょう」
『私の声を盗んで、どうするおつもりだったんですか?』
アズール「…………」
俯いてしまった支配人さんを見つめていたら
顔を上げた支配人さんの眉間にシワが寄っていた
アズール「…母が経営しているお店の音楽に
貴女の歌声を使わせて頂けないかと思いまして」
『そういう事ならご協力しますよ!』
アズール「…いいんですか?」
『はい!』
アズール「でしたら、今ここで歌ってみてください」
『今ですか?』
アズール「ここは響きますし最高のロケーションです」
『博物館は静かにしないといけないんじゃ…』
アズール「今は貸し切りですので何の問題ありませんよ」
『そうかもしれませんが……』
アズール「そう勿体ぶらずに…さぁ?」
『…わかりました』
支配人さんの勢いに諦めて高い天井の真下に立ったら
ゆっくり深呼吸すると声が響き渡る
アリエルが人間の世界に恋い焦がれた歌
特にピアノの音色も素敵で
彼が弾いてくれる伴奏を思い出すと
自然と笑顔になっていくのが分かった
終わった瞬間、アズールさんが私を見て微笑んでいた
アズール「ありがとうございます、素晴らしい歌声でした」
『…ふふふ』
アズール「何がおかしいんです?」
『アズールさんって、家族思いの優しい方なんですね!』
アズール「…はぁ?」
さっきとは違う気持ちでエリック王子の銅像を見つめたら
笑顔で支配人さんに振り返った
『私、アトランティカ博物館に来るの
とっても楽しみにしていたんです!
歌の変わりに博物館の案内をお願いしてもいいですか?』
アズール「…いいでしょう僕のツアーガイドは
高く付きますよ」