深海の商人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(「僕の居場所は、いつでも蛸壺だけだった」)
(「他の人魚と違って、吸盤に沢山ついた足
引っ込み思案でハッキリものも言えない
運動も勉強もてんでダメ」)
(「僕は、いつも一人ぼっち…グズでノロマなタコ野郎」)
(「僕には早く泳げる背びれもない…でも
自在に動く10本の手足がある
腕が2本しかない奴らより5倍多く
魔導書の書き取りをしよう」)
(「今に見てろ、いつか絶対
能天気な人魚どもを見返してやる」)
(「僕は一秒たりとも忘れたことはなかった
僕をバカにしてたヤツら、いじめたヤツらの姿を」)
(「この契約書を完成させた瞬間、僕は無敵になったんだ」)
(「僕はもう、グズでノロマなひとりぼっちのタコじゃない」)
(「僕は、この力で全てを支配してやる」)
(「僕を馬鹿にしたヤツらを今度は僕が跪かせてやるんだ」)
『(支配人さん……)』
*~**~*
「リリィちゃん!?」
『…っ……ユウ…くん?』
グリム「目が覚めたんだな!?よかったんだゾ!」
どうやら気絶していたみたいで
少し寝たからなのか頭痛はすっかり無くなっていた
目の前には気絶しているけど元の姿に戻っていた支配人さん
景色も元のキレイなオクタヴィネル寮に戻っていて
安心したときだった
アズール「…はっ!」
フロイド「あ、目ぇ覚ました」
ジェイド「アズール、この指は何本に見えますか?」
アズール「8……本」
ジェイド「うん、まだ気が動転しているようですね
でも、よかった…なんとかブロットの暴走は治まったようです」
レオナ「……ったく、手こずらせやがって」
ラギー「いやいや、レオナさんがそれを言っちゃだめっしょ」
アズール「僕は……一体、なにを?」
ジェイド「魔法の使い過ぎで
オーバーブロットしてしまったんです、覚えていませんか?」
フロイド「僕に力をくださいよぉ~~って泣きながら
みんなの魔法吸い上げてさぁ
ちょーダサかった、ちょっとゲンメツ」
アズール「そ、そんな…僕が暴走するなんて……信じられない」
ラギー「ま、コツコツ集めてきたモンを台無しにされたら
そりゃ怒るッスよね
オレだって、ずっと貯めてた貯金箱を他人に割られたら
絶対許せないと思うし」
グリム「でも、やっぱ悪徳商法はダメなんだゾ、反省しろ」
ジャック「その前に、お前らは他人の作った対策ノートで
楽しようとしたことを反省しろ!」
「あの対策ノート、他の誰にも作れないよね?」
アズール「……え?」
エース「確かに、だってあんたの作ったテスト対策ノート見て
一夜漬けしただけで、90点以上取れちゃったもん」
デュース「ああ、まさに虎の巻…だったな」
ジャック「100年分のテスト出題傾向をテメーの力で分析して
作ったもんだと、学園長から聞いた
あんたの汚いやり口は認められねぇが
…その根性だけは認めてやってもいいぜ」
アズール「…フン、そんな慰め
嬉しくもなんともありませんよ」
『(あ………)』
みんなに誉められて嬉しかったのか
少し涙目の支配人さんを
ジェイドさんとフロイドさんがからかっていた
アズール「2人とも!その件については
秘密保持契約を結んだはずですよ!」
ジェイド「おっと、失礼しました」
『(秘密保持契約…?)』
ジャック「おっと、そういえばコレ
あんたが取ってこいって言ってた
リエーレ王子の写真、ちゃんと持ってきたぜ
まだ太陽は沈んでない…これで完全に俺たちの勝ちだ」
レオナ「なんだ、この写真……人魚の稚魚どもが
わらわら写ってるだけじゃねぇか」
ラギー「エレメンタリースクールの集合写真…スかね?
なんでこんなのが欲しかったんスか?」
フロイド「あっは、懐かしい!
これ、オレたちが遠足の時に撮った写真だよね
ココに、オレとジェイドも写ってる!
そんで……一番隅っこに写ってるのが、昔のアズール!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
アズール「うわああああああああ!やめろ!!!
見るな!見ないでください!」
レオナ「隅って……」
ラギー「もしかして、控えめに見ても他の人魚の2倍くらい
横幅がありそうなこのタコ足の子ども……」
グリム「アズール、オメー昔こんなに丸々と太ってたのか!」
「まんまるで可愛いね!」
『(なるほど、そういうことだったんだね……)』
支配人さんの落ち込み様に少し可哀想になってくると
何故かデュースくんが拳を震わせていた
デュース「そ、その気持ち、僕にはよく分かるぞ
誰にだって消したい過去はある!
僕は何にも見なかった!みんなも忘れてやれ!」
ジャック「お前、やたら真に迫ってるな」
アズール「くそぉ…モストロ・ラウンジの店舗拡大と
黒歴史抹消を同時に叶える…完璧な計画だと思ったのに!」
ラギー「二兎を追う者は一兎をも得ずってやつッスね」
アズール「ううっ、もういやだ…今すぐ蛸壺に引きこもりたい」
ジャック「アズール、あんたも
非合法なことはしない主義なんだろ?
責任取って、元の場所に返してこいよ」
「一緒に帰しに行きましょう!」
アズール「…わかりました、でもどうか画像ソフトで
僕を消した写真にこっそり差し替えさせてください」
レオナ「は、往生際悪いぜ」
ジェイド「そうですよ、記憶は大切なものですから」
フロイド「ねーねー、いつ行く?みんなで行くんでしょ
エレメンタリースクールの遠足以来
アトランティカ記念博物館、楽しみだなー」
エース「ん?グリム、何地面に鼻擦り付けてんの」
グリム「オレ様のグルメハンターのカンが言っている…
この辺にトリュフのごとき真っ黒なご馳走が落ちていると!」
エース「お前は豚かっ!」
『真っ黒なトリュフって……まさか』
グリム「ふな"!黒い石みーっけ!」
レオナ「…黒い石だと?」
『______』
前にハーツラヴュル寮のお庭で見たときは
何とも思わなかったのに、今はあの石がすごく怖く感じた
『グリム…その石食べちゃダメ』
「…リリィちゃん?」
グリム「な、何だよリリィ…これはオレ様のなんだゾ!」
『ダメったらダメ!』
グリム「もう遅いんだゾ!いっただっきまーす!はぐっ!」
『あ!』
私の説得虚しく、グリムはまた黒い石を食べてしまった
デュース「あっ、お前…また拾い食いしてるのか!?」
エース「もう止めるのも馬鹿馬鹿しいっつーか
やっぱモンスターの味覚ってよくわかんね」
レオナ「……あの狸、いつもああして
黒い石を拾い食いしてるのか?」
「グリムの意地汚さには困ったもんです」
ジャック「レオナ先輩、どうかしたんですか?」
レオナ「べつに、なんでもねぇよ」
『(私の考え過ぎかな……でも、)』
レオナ「…………」
何ともない様子のグリムに安心したけど
よく分からない胸がモヤモヤした感じ
一体何なんだろう……