深海の商人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
サバナクロー寮に着いて
談話室にいたユウくん達の後ろ姿から
悲愴感がうかがえた
『ただいま、みんな……何かあった?』
グリム「くぅ~~!!まるでサメに追いかけられてる
みてーだったんだゾ!あんなに泳ぐのが
早いなんて卑怯なんだゾ~!!」
ジャック「まさかアイツらが人魚だったなんて……」
『人魚?』
アトランティカ記念博物館に写真を盗みに行こうとしたら
ジェイドさんとフロイドさんが人魚の姿になっていて
妨害をされてしまったらしい
学校にいる時は魔法で人間の姿になっているみたいで
本来の姿が人魚なんだとか…
『…そっか、だから今日はモストロ・ラウンジで
一度も二人を見かけなかったんだ』
グリム「水の中で人魚に勝てるわけねーんたゾ!」
ラギー「え?君らマジで珊瑚の海に行ったんスか?」
レオナ「は、バカすぎんだろ」
グリム「ふな"っ!?オメーがさっさと
行動起こせっつったんだゾ!」
レオナ「フン、誰もバカ正直に海に行け、なんて言ってねーよ
時間は有限、頭を使って価値のある使い方をしろって
言ってやったんだ
水中で人魚と真っ向条件するなんざ、どう足掻いても
勝ち目がねぇ、わざわざ食われにいくようなもんだ」
ジャック「…あの、もしかしてレオナ先輩たちは
あの双子が人魚だって知ってたんスか?」
レオナ「まぁな」
ラギー「オレは去年夏、水泳の合同授業でフロイドくんが
元の姿になってるところ見たことがあるけど……
あれに水中で追いかけられたら一巻の終わり感あるッスね」
ジャック「だったら先に教えておいてくださいよ!」
レオナ「事前の情報収集なしに
勝手に飛び込んでいったのはお前らだろ?
聞かれりゃ、懇切丁寧に教えてやってたさ」
ラギー「そうそう、行動起こす前は
もっと用心深くならなきゃ、シシシッ!
向こう見ずなヤツは、サバンナじゃすぐ飢えちまうッスよ」
『(親切じゃないな……)』
でも、二人の言ってる事は間違いじゃない
海の中で呼吸が出来るようになっても
水中で人魚に勝つのはほぼ不可能だ
グリム「ううっ……ユウが負けたら、オレ様
ずっとアズールにこき使われちまうのか?」
「オンボロ寮が取られちゃったら、どうしよう…」
『ユウくん…』
レオナ「…………」
ラギー「レオナさん?」
レオナ「…アズールのユニーク魔法は
「イッツ・ア・ディール(黄金の契約書)」
特別な契約書にサインを取り付ければ
その対象なら能力を1つ取り上げられる
しかも、契約違反が生じた場合、違反者はアズールに
絶対服従状態にされちまうって話だ」
『え?』
ラギー「発動条件が難しい魔法ほど
効果は大きいって言うけど……タチ悪いッスよね~」
レオナ「取り上げた能力は契約書に封印されていて
アズール本人はいつでも使えるらしい」
ジャック「じゃあ、アズールが難易度の高い魔法を
何度も使いこなしてたのは、まさか……」
ラギー「十中八九、契約者から担保として奪った
能力でしょーね」
ジャック「何てヤツだ!何から何まで
インチキってことじゃねぇか!!」
ラギー「ユニーク魔法自体が超レベル高いんで
全部インチキとも言い切れないッスけど」
レオナ「俺も能力を担保に取引をしたことがないから
どういう理屈かはよく知らねぇが」
ジャック「え?それなら、レオナ先輩は何を担保に取引を?」
レオナ「グルル…何だっていいだろうが
思い出させるんじゃねぇ」
『?』
キングスカラーさんの不機嫌な様子に疑問を持ったけど
その話題に触れちゃいけないことだけは何となく分かった
キングスカラーさん曰く
支配人さんの契約書がある限り契約が継続してしまうため
支配人さんに勝つ方法は、"契約しない"って事らしいけど
『それだと、なんの解決にもなりませんよね?』
レオナ「…………」
ラギー「…い、言うッスねリリィちゃん」
グリム「ふなぁ……どうしたらいいんだぁ……」
「絶対に負けられないのに……」
レオナ「…ばーか、もっと頭を使えよ
もし俺がお前らの立場だったら
……何とかして契約書を破る方法を考えるぜ」
グリム「でも、あの契約書は無敵なんだゾ!?」
レオナ「ハア……お前ら、本当に脳ミソが小せえな」
ラギー「他人のなりすましとか、詐欺にあっさり
引っかかるタイプッスねぇ」
グリム「ふな"っ!?」
ラギー「そもそも、なーんで君たちはアズールくんの
"絶対破れない"って言葉を素直に信じ込んでるんスか?」
ジャック「えっ?でも攻撃はマジで効いてなかったし……」
ラギー「その場限りのパフォーマンス……言っちゃえば
ハッタリの可能性だってあるじゃないスか」
ジャック「!!」
レオナ「どんな魔法にだって弱点はある
魔法封じる赤い坊っちゃんのユニーク魔法だって
一見無敵だが穴はあっただろ?
どれほど優秀な魔法士でも、魔法は無敵に使えない
だから、アズールの「黄金の契約書」が
ずっと無敵であり続けることなんて
それこそ"絶対に"あり得ないんだよ」
『(…なるほど)』
海の中で二人の人魚に挑むより
地上で契約書の弱点を暴くことを目指したほうが
まだ勝算はあるって事を伝えたかったんだ
ジャック「でも、なんかそれって反則くせぇな」
ラギー「あのねぇ、ジャックくん
意識高いのは結構ッスけど、君ら地上でも
アズールくんたちに歯が立ってないじゃないスか」
ジャック「うぐっ、それは……」
レオナ「大体なぁ、あいつらは何も知らない草食動物を騙して
身ぐるみ剥ごうって悪党だぜ、遠慮する必要がどこにある?
卑怯だろうが、場外乱闘だろうが
契約が無効に鳴りゃこっちの勝ちだろうが」
ラギー「くぅ~っ、さっすがレオナさん!骨の髄まで卑怯者!」
「前回の反省、してませんね?」
『(何でラギーさん嬉しそうなんだろう…)』
レオナ「言ったろ?俺はいつだって全力を尽くす、ってなァ」
ジャック「……目には目を、歯には歯を、か
よし、残り2日、全力でアズールに張り付いて
契約書を破くチャンスを狙うぞ」
「みんなで頑張ろう!」
レオナ「じゃあ、せいぜい頑張れよ1年坊主ども」
グリム「えぇっ!?あそこまでアオッといて
協力はしてくれねーのか!?」
レオナ「何で俺が、サービスでヒントは与えてやったろ
あとはテメェらで勝手にやれ、じゃあな」
ラギー「ってわけで、オレもここで!4人とも頑張るッスよ~」
キングスカラーさんが私の横を通りすぎた時だった
レオナ「…これでチャラだからな」
『!』
彼の気持ちが嬉しくて、自然と微笑んでいた
ラギー「…珍しいッスね、レオナさんが
あんなに助言をしてやるなんて」
レオナ「あん?」
ラギー「なんだかんだ、素直な後輩は可愛いってことッスか?」
レオナ「バーカ、そんなわけあるか
1年坊どもを上手に使えば、労さずして
タコ野郎の弱点を握れるかもしれねぇだろ
ま、それほど期待はしてないが」
ラギー「…ふぅ~ん、さすがッス、レオナさん」
レオナ「…………」