深海の商人
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アズール「この契約の達成条件は……3日後の日没までに
珊瑚の海にあるアトランティカ記念博物館から
とある写真を奪ってくること!」
ジャック「俺たちに美術品を盗んでこいっていうのか!?」
ジェイド「!」
『(ジェイドさん…?)』
ジェイドさんが一瞬驚いたような気がしたけど
…気のせいだったかな?
アズール「いいえ、美術品ではありません
奪ってきて欲しいのは…10年前撮影された
リエーレ王子の来館記念写真です」
ジャック「王子の、記念写真?」
アズール「博物館の入り口近くに飾ってあるもので
歴史的価値など一切ないただの写真パネルです
拝借したところで、大事になったりしません」
グリム「じゃあ、なんでそんなコトさせるんだゾ?」
アズール「フッ、それなりに難題でないと
勝負にならないでしょう?あまり簡単な条件では
僕が損をするばかりですからね
こちとら、慈善事業じゃないんですよ」
ジェイド「…アトランティカ記念博物館は
珊瑚の海の国宝である"銀の髪すき"や
重要文化財"人魚姫のコルクオーブナー"などが
20個も収蔵されていることで有名な観光名所です
海底で1粒の砂金を探すような話ではありません」
『(それってまさか……)』
フロイド「そーいえば、オレたちも
エレメンタリースクールの遠足で行ったっけ」
ジャック「ちょっと待てよ、"珊瑚の海"って国は
国自体が海の底にあるはずだろ
エラもヒレもない俺たちには滞在することすら難しい
こっちの条件が厳しすぎるんじゃねぇのか」
グリム「そうだそうだ、オレ様
水の中じゃ息ができねぇんだゾ!」
アズール「ご安心ください、君たちには
水の中でも呼吸が可能になるこちらの魔法薬を差上げます
海の魔女も、人間に恋した哀れな人魚姫に
陸を歩ける足をつけてあげたそうですから
大切なのは慈悲の心……ですよ、フフフ」
『(今のお話…リトル・マーメイドと一緒だ)』
アズール「さあ、どうします?僕と取引し
契約書にサインをしますか?
僕もヒマではないんです、早く決めてください
さあ……さあ!」
「…っ…………」
『(ユウくん……)』
オンボロ寮と私、グリムやエースくんにデュースくんの間で
板挟みになってるんだ
ゆっくり息を吐いてそっとユウくんの手を握ったら
驚いたユウくんに安心してもらいたくて笑ってみせた
『…私は大丈夫だから』
「リリィちゃん……分かりました…契約、します!」
アズール「いいでしょう!ではこの契約書にサインを」
『!?これ……』
間近で見たら本当にリトル・マーメイドに出てきた
黄金の契約書とそっくりで驚いてると
ユウくんがはっきりと自分の名前を書き終えていた
アズール「ふふふ…確かに頂戴しました
これで契約は完了です
3日後の日没までに、アトランティカ記念博物館から
写真を奪い僕の元へ戻ってくることが出来れば
僕の下僕である225名のイソギンチャクたちの
自由を約束しましょう
でも、もし奪ってこられなければ……
オンボロ寮は僕のもの、そしてあなたとリリィさんも
まとめて僕の下僕になってもらいます!
ジェイド、フロイド、お客様のお見送りを…おっと
あなたはまだ残っていてください、リリィさん」
『え?』
支配人さんに呼び止められて驚いていたら
いきなりジェイドさんとフロイドさんに
両手首を掴まれていた
ジャック「何しやがる!!リリィを離せ!!」
フロイド「だって小エビちゃんは
オンボロ寮とイルカちゃんを担保に
アズールと契約したじゃん」
グリム「ふな"!?」
ジェイド「ユウさんは他のみなさんと違い
契約時に能力を預けて頂く事ができませんでしたから
代わりに、オンボロ寮とリリィさんを没取させて頂きます」
グリム「にゃに~~!?」
「そ、そんな…!!」
ジェイド「お約束を果たしていただくまで
オンボロ寮とリリィさんは一時的にアズールのもの
従って、おさんにんには直ちにオンボロ寮から
退去して頂かなくてはなりません」
フロイド「身支度を整えるくらいの時間はあげるからさぁ」
ジェイド「正式にオンボロ寮がアズールのものになった際は
私物は全て廃棄させていただきます
そのつもりで身支度なさってくださいね」
フロイド「ふふふ、大丈夫だって、3日後の日没までに
写真を持ってこられたら全部返してあげるからさぁ」
『…っ………!!』
この人たちの言い方や態度に勢いよく手を振り払ったら
驚いた二人を無視して支配人さんを睨み付けた
『私の利用価値をモストロ・ラウンジでの雑用係と
思っているなら、3日後の日没まで精一杯働きます
でも、それ以外であなた達に従うつもりはありません
…オンボロ寮を出る準備がありますので、ここで失礼します』
アズール「…………」
早足でVIPルームを出てモストロ・ラウンジを後にする
あの三人の態度に"あの人達"を思い浮かべて苦しくなると
両手を握りしめながら急いでオンボロ寮に向かった
____ぴちゃんぴちゃん