約束の21時過ぎにモストロ・ラウンジに
ユウくんとジャックくんと来ていた







ｼﾞｬｯｸ「こっからはマジで敵の縄張りだ、気を抜くなよ」


「それにしても…すごく賑わってるね」


『うん…昨日より賑わってる』


ﾌﾛｲﾄﾞ「あー小エビちゃんにイルカちゃん、いらっしゃい～
それに、ウニちゃんも来たんだ」


ｼﾞｬｯｸ「だからウニじゃねぇっつってんだろ！」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「おや…これはこれは
早速のご来店ありがとうございます
ようこそ、モストロ・ラウンジへ
当店のご利用は初めてでいらっしゃいますね？」






ジェイドさんからモストロ・ラウンジを
利用するにあたっての諸注意を説明して頂いた

モストロ・ラウンジは紳士の社交場
他寮との揉め事は御法度で、どの寮も
オクタヴィネルのルールに従わないといけないらしい






ｼﾞｪｲﾄﾞ「さてお客様…本日のご用件は？」


「イソギンチャクについて相談があります」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「ふふふ…かしこまりました
今、支配人は別のお客様のご相談を受けておりまして
しばらく店内でお待ち頂けますか？
ああ、そうそう…当店はワンドリンク制です
必ず何か一杯ご注文くださいね…イソギンチャクさん
こちらオーダーお願いします」


ﾃﾞｭｰｽ「悪いが、ドリンクを運ぶのが先だ」


ｴｰｽ「混んでるんだし、注文くらいアンタが取れっての！
何でもかんでもオレらにやらせてのんびりしやがって」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「イソギンチャクの分際で、口答えとは
良い度胸ですね」


ｴｰｽ・ﾃﾞｭｰｽ「「いででででて！！」」


『！？』






いきなり頭を押さえてしゃがみこんだ二人に
ジェイドさんは慌てもせずに二人を見下ろしていた






ｼﾞｪｲﾄﾞ「僕はアズールに新人指導を言いつけられていますから
口答えする生意気な新人には躾をしなくては」


「ちょっと待って下さい！」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「おや…困りますねぇ、お客様
先ほど申し上げた通り、ラウンジでは
僕たちのルールに従って頂きませんと」


ﾌﾛｲﾄﾞ「言うこと聞かない困ったちゃんは
オレたちが絞めていいことになってるんだよねぇ～」


ｼﾞｬｯｸ「チッ…新人いびりを見せられて気分が悪いって
言ってんだよ」


ﾌﾛｲﾄﾞ「じゃあ、お前らがコイツらの代わりに
店を手伝ってくれんの？」


ｴｰｽ「あっ、それいいそれでいこう！
今からジャックとユウとリリィが
臨時で手伝いをするってことで！」


ｼﾞｬｯｸ「てめ、何勝手に決めてんだ！」


ﾃﾞｭｰｽ「お前たちだって、店から追い出されたら
困るだろう？」


ｴｰｽ「マジでしんどいんだって、裏でグリムも
体中泡だらけになって洗い物してるんだぜ？頼むよー」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「真面目に働いてくれるなら
僕らは誰でも構いませんが…ねぇ、リリィさん？」


『…そうですね！』


ﾌﾛｲﾄﾞ「小エビちゃんとウニちゃんも
店の手伝いするってことでいーのね？」


ｼﾞｬｯｸ「チッ……しょうがねぇな
早めにカタつけてさっさと帰って寝たい」


ﾌﾛｲﾄﾞ「んじゃ、まずこのドリンクを
3番テーブルに持ってって」


『はい、分かりました！』







耳をすませて色んな声に集中したら
ジャックくんに声をかけた






『2番テーブルの人達デザート選んでるみたいだから
聞いてきてもらっていいかな？』


ｼﾞｬｯｸ「あ、ああ……」






3番テーブルにドリンクを持っていったら
追加注文をしてくれて、注文内容を頭の中で繰り返した





『季節のディナーセットお二つに
チーズハンバーグのAセットですね？
Aセットの方はシーザードレッシング
ディナーセットの方は和風ドレッシングと
イタリアンドレッシングで
全員ライス大盛でお間違いないですか？』


「「「は、はい……」」」


『ありがとうございます、もう少々お待ち下さい！』


ｴｰｽ「何であんなスラスラ言えるわけ！？」


ﾃﾞｭｰｽ「す、すごい…！」






厨房に戻って注文内容を書いたメモをシェフの人に渡して
食べ終わった食器を運んでたら
ジャックくんが私の所に駆けつけてくれると
頭の上に乗ってた食器のお盆を取り上げてしまった






ｼﾞｬｯｸ「バカか！？危ねーことすんじゃねー！！」


『大丈夫だよ？前の世界では
もっと重たいの頭の上に運んでたんだから！』


ｼﾞｬｯｸ「だからって…！！」


『…ジャックくん、4番テーブルの人にお水汲んできて？
お皿は私の頭の上に置いてってね♪』


ｼﾞｬｯｸ「…お前な」


『大丈夫だから…ね？』


ｼﾞｬｯｸ「…絶対に落とすなよ」


『そんな事はあり得ませんので！』






頭の上にお皿の乗ったお盆をのせてくれたら
そのまま厨房に向かって歩くと
グリムが本当に泡だらけになっていて
ユウくんも頭や腕に泡がついてしまっていた






『二人とも大丈夫？』


「リリィちゃ…な、何してるの！？」


『食器運んで来たんだけど…私も手伝うね！』


ｸﾞﾘﾑ「オレ様疲れちまったんだゾ～
汚れはおちねーのにどんどん皿は増えてく一方なんだゾ！」


『お皿を洗うにはコツがあるんだよ！』






お皿を別のかごに入れてお湯を溜めていく






『食べ終わったお皿はお湯に浸けておくだけで
頑固な汚れが取れやすいんだよ？』


「へぇ…そうなんだ！」


『お湯に浸けてる間に乾いてるお皿を拭いて元に戻しておく
そしたら時間短縮にもなるからね！』


ｸﾞﾘﾑ「さっすがリリィなんだゾー！」


「すごい慣れてるね…お家でもよくしてたの？」


『…………』


「…リリィちゃん？」


『…うん、お家で毎日してたから慣れっこなの♪
よーし、早くここを終わらせてラウンジのお手伝いに
行かなくちゃね！』


ｸﾞﾘﾑ「おーう！なんだゾ！」












ｱｽﾞｰﾙ「…………」


ｼﾞｪｲﾄﾞ「どうしましたか、アズール？」


ｱｽﾞｰﾙ「…やはり、リリィさんの働きぶりは
とても素晴らしいですね」


ﾌﾛｲﾄﾞ「イルカちゃん欲しいー！」


ｱｽﾞｰﾙ「ふふふ、まぁ待ちなさい…もう少しで彼女は
僕たちオクタヴィネルの物になるんですから
焦らずに時を待ちましょう」