荒野の反逆者
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ラギーくんに連れてかれて鏡の間を通って
サバナクロー寮に入ると大きな扉の向こうは
一際大きく広い部屋だった
ワイルドなお部屋だけど、壁にかけてある
素敵なタペストリーに目を奪われていた時だった
レオナ「よぉ…昨日ぶりだな?」
『!?』
ラギーくんに優しくソファーにおろされて
聞き覚えのある声に恐る恐る顔をあげたら
やっぱりあの人だった
今回の事件の犯人がラギーさんだとしたら
この人も絶対関わってるはず
『…どうしてあんな事件をラギーさんにやらせたんですか?』
レオナ「…いいぜ、話してやるよ」
サバナクロー寮は2年連続でディアソムニア寮と
トーナメント1回戦でぶつかった
結果は初戦敗退
優勝常連、敵を力でねじ伏せてきたサバナクロー寮が
呆気なくやられてしまいその姿が全世界に放映されたことで
寮長さんは無能の烙印を押され、サバナクロー寮生への
プロリーグや一流企業からのスカウトは
ゼロになってしまったらしい
レオナ「俺はな、サバナクロー寮生のことを
一番に考えてやってるんだぜ?
マレウスを打ち破り、今までの雪辱を果たせば
世間のサバナクロー寮への評価は回復するだろう
今年勝てなければマレウスは殿堂入り選手になる
これが最後のチャンスなんだ、それをテメェらは
安い正義感で潰すってのか?」
『…………』
レオナ「頭を使って獲物を追い込むのは狩りの基本だ
卑怯でもなんでもねぇ」
ラギー「シシシッ!この学園は弱肉強食
イイコちゃんなだけじゃ生き残れねぇってことッスよ」
『…………』
レオナ「何か言いたそうな目ェしてやがるな…言ってみろ」
『…あなた達は間違ってます』
レオナ「…間違ってるだと?」
『大会は勝つことが前提かもしれませんが
それが全てじゃないはずです
戦いに負けたとしても…本気で戦う姿は
絶対誰かの目に止まるし見てくれてる人がいるはずです
そんな卑怯なやり方でディアソムニア寮に勝ったとしても
…雪辱を果たしたことにはならないと思います』
レオナ「本気、な?………くくくははははは!!」
ラギー「レオナさん…?」
いきなり笑いだしたあの人が私を見た瞬間
鋭い眼差しに恐怖で身体が動かなくなった
レオナ「兄貴みてぇなこと言いやがって……本気で戦え?
本気になった所で何も変わらねぇよ」
『!?』
あの人が近づいてきて反射的に逃げようとしたら
簡単に腕を掴まれてしまって、ベットの近くに連れてかれる
レオナ「おいラギー、俺がいいって言うまで
誰も部屋に近付けるな」
ラギー「…分かったッス」
『ま、待ってラギーさん!!』
ラギー「……っ、」
静かに部屋から出ていくラギーさんを見つめていたら
一瞬でベットの上に押し倒されてしまった
胸を叩いて押してもびくともしなくて
扉を見つめながらラギーさんに助けを求めた
『ラギーさん助けて!!…っ、ラギーさん!!』
レオナ「無駄だな、あいつがお前みたいな
草食動物の言うことなんか聞くわけねーだろ」
『そ、そんな……』
レオナ「…いい目だ、その目が苦痛に歪んでくのが楽しみだぜ」
『い、いや!?』
彼が近付いてベットが沈んだ瞬間、思わず叫んでいた
『陽翔ーーーー!!!!』
ドン!!!!
ジャック「アンタ…何やってるんスか!!」
怒りで耳と尻尾が逆立ってるハウルさん
私達の所に来たと思ったら私を起こしてくれて
ラギーさんみたいに簡単に肩に担がれてしまった
レオナ「おい、ラギーはどうした?」
ジャック「…そこでのびてる」
レオナ「チッ、使えねぇヤツだ」
ジャック「こんな弱いもんいじめして
マジフト大会に出れなくなってもいいんスか!?」
レオナ「まさか俺がこんなガリガリの草食動物を
本気で食うとでも思ったのか?
おいたが過ぎるから少しビビらせようとしただけだ」
ジャック「…こいつは連れてく」
レオナ「はっ、そんな口だけの草食動物どこへでも連れてけ
ただし1つだけ言っておくぜ、草食動物
てめぇが大人しくしねーとどうなるか…分かっただろ?」
『…っ…………』
*~**~*
ハウルさんに担がれながらサバナクロー寮を出たら
鏡の間を通ってオンボロ寮の芝生に下ろされて
そのまま座ってしまった
ジャック「大丈夫か?」
『ありがとうございます…』
ジャック「…………」
ハウルさんが私の目線に合わせてしゃがんでくれても
見上げるくらい全然ハウルさんの方が大きくて
何故か怖くなって震える手を誤魔化すように
服を強く握りしめた時だった
ジャック「今からやること…他の誰にも言うなよ」
『え…?』
ジャック「…アイリッシュ・ビースト(月夜を破る遠吠え)」
『!!』
目の前にはさっきまでハウルさんがいたはずなのに
今は大きな白い狼が私を心配そうに見つめていた
…もしかして、ハウルさん
『…私が怖がってると思って変身してくれたんですか?』
ジャック「…………」
『気を使わせてごめんなさい………それから』
ポタ…ポタ
『…っ、ありがとう…ございます』
ジャック「…………」
この世界に来て初めて涙を流してしまった
あの人が純粋に怖かった
ラギーさんが助けてくれなくて悲しかった
何も言い返せなかった自分が情けなかった
でも一番は______
((「リリィ…これから悲しい事があっても
俺が今日みたいに必ずリリィを助けるよ」))
『どうして来てくれないの……っ、陽翔』
ジャック「…………」
この世界に彼がいない事が、こんなに辛くて悲しいんだと
改めて思い知らされる
『彼に会いたい』
その思いが強くなればなるほど涙は止まらなくて
ハウルさんが私の肩に顎を乗せると
フワフワの毛とゆっくり揺れてる尻尾に
何故か涙が溢れてしまってハウルさんを抱きしめていた