～オンボロ寮のグラウンド～






ｸﾞﾘﾑ「あ"～何もかもにやる気が出ねぇんだゾ
ソレもコレもマジフト大会に出られないせいだ」


「そんなこと言ったって…まだ諦めつかないの？」


ｺﾞｰｽﾄA「どーしたグリ坊、なんだか最近毛艶が悪いな」


ｺﾞｰｽﾄB「マジカルシフト大会に出られなくて
拗ねてるんだってさ～ヒッヒッヒッ！」


ｺﾞｰｽﾄC「そんなにマジカルシフトがやりたいなら
わしらが相手してやるぞ
90年前はわしも選抜メンバーに選ばれて
キャーキャー言われとったんじゃ！」


『すごいですね！』


ｸﾞﾘﾑ「でも7人いねーと出来ないんだろ？」


ｺﾞｰｽﾄA「試合じゃなければ関係ないさ、さあ始めるぞ！」







試合を始めた皆を見つめてたら
後ろからいきなり現れた学園長先生に挨拶をした








「(いつもいきなり現れるの止めてほしいな…)」


ｸﾛｳﾘｰ「おやおや、寮内のゴーストさん達とも
仲良くやってるようですね…感心感心」


ｸﾞﾘﾑ「別に仲良くしてねーし！で、なんの用なんだゾ」


ｸﾛｳﾘｰ「君たちに頼みたい事があってきました」


ｸﾞﾘﾑ「つーか、何だよ頼みごとって
オレ様とユウはもう雑用係じゃねーんだゾ」


ｸﾛｳﾘｰ「おや？私は君たちの衣食住をタダで保証するなんて
一言も言ってませんよ？労働とは美しいものですねぇ…？」


「断る選択肢はなさそうだね…」


『ごめんね、私の稼いだお金だけじゃ足りないみたい…』


ｸﾛｳﾘｰ「では、改めて本題に入ります」






学園長先生の話しだと
最近、学園内で不審な事故による怪我人が続出していて
それについての調査の依頼だった






ｸﾞﾘﾑ「怪我人～？」


ｸﾛｳﾘｰ「ええ、階段からの転落や熱湯によう火傷など
原因は様々ですが、ここ数日で急に
保健室の利用者が増えたんです
昨日も階段からの転落事故がありこれで怪我人は10人目
誰も重傷に至っていないのが救いなのですが……」


ｸﾞﾘﾑ「ただのおっちょこちょいなんじゃねぇのかぁ？」


ｸﾛｳﾘｰ「マジカルシフト大会が近付くと
学園全体が浮つのは確かです、それにしても
例年に比べて怪我人が多すぎる
しかも、怪我をした全員が今年の大会の選抜メンバーに
選ばれると注目されていた生徒なんです」


『え……』






まさかの言葉に驚いてユウくんを見たら
ユウくんが真剣な表情で頷いたのを見て私も頷き返した






「つまり、ただの事故じゃない？」


ｸﾛｳﾘｰ「ただ、事件とするには証拠が何もない
全ての事故は人の目があるところで起きていて
しかも目撃者は口を揃えてこう言うんです
「本人の不注意にしか見えなかった」と」


ｸﾞﾘﾑ「じゃあソイツらがドジってことなんだゾ
はい、解決ぅ～」


ｸﾛｳﾘｰ「おやおやグリムくん、投げやりですね
そうですか…とっておきのご褒美も用意していたんですが
…マジカルシフト大会の出場枠…というのはいかがです？」


ｸﾞﾘﾑ「え！？」







はっきり「マジカルシフト大会出場枠を用意する」と
言いきった学園長先生に
さっきまでのやる気のなさが嘘のように
気合いの入ったにグリムユウくんと苦笑いした






＊～＊＊～＊






さっそく聞き込み調査に突っ走って行ってしまったグリムを
ユウくんに先に追いかけてもらって
戸締まりをしてからグリムの機嫌が悪くならないように
おやつの入った袋を持って追いかけたのは良かったんだけど






『(二人ともどっちに行ったんだろ？)』






怪我をした人の話を聞きたいなら保健室かと思うんだけど
保健室の場所が分からなくて困ってたら







「スンスン……いい匂いッスね～」


『え？』






私の目の前にいたのは、黄金色の髪に茶色の………耳






『あの……』


「中身何が入ってるんッスか？」


『ドーナツです！』


「ドーナツ！？オレ大好物なんッスよ！
一個貰ってもいいッスか？」


『(グリムのおやつ)……はい、どうぞ！』


「やったー！いただきま～す♪………う、うめ～～！！」


『それは良かったです！』


「そういえば、あんた…見ない顔ッスね？」


『リリィ、灰咲リリィです！
オンボロ寮の雑用係をしています！』


「変わった名前ッスね～、あ、俺の名前は
ラギー・ブッチって言いまーす
気軽にラギーって呼んで欲しいッス！」


『(尻尾が揺れてる～～！！)』






ラギーさんの尻尾に目が離せないでいたら
歩きながらドーナツを美味しそうに頬張るラギーさんは
嬉しそうに手を振っていた






ﾗｷﾞｰ「また楽しみにしてるッスね！」


『あのラギーさん！保健室の場所、教えて貰えますか？』


ﾗｷﾞｰ「保健室？」


『友人がもしかしたら保健室にいるかも知れなくて！』


ﾗｷﾞｰ「ふーん……」


『あ、あの…？』


ﾗｷﾞｰ「…ま、考えすぎッスかね！」


『？』


ﾗｷﾞｰ「保健室はね……ラフ・ウィズ・ミー！」


『！？』






いきなり身体が勝手に動いて驚いて後ろを振り返ったら
ラギーさんが私と同じポーズをしていた






ﾗｷﾞｰ「このまま真っ直ぐ行って階段を上ったら
左に進むと保健室ッスよ！」


『あ、ありがとうございましたラギーさん！』






深くお辞儀をしたら急いで保健室に向かった
さっきのも魔法なのかな…魔法って色々あってすごいや











ﾗｷﾞｰ「…リリィ"ちゃん"か………シシシ！」