真紅の暴君
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(「急いでバラを赤く塗るんだ」)
(「急がなきゃ花がしぼんじまうぞ」)
(「急げ急げ!バラを塗り残してるぞ!」)
(アリス「…なぜ白いバラを赤く塗るの?」)
(「どうしてかって____実はな
間違って白いバラを植えてしまったんだよ」)
(「女王様は赤がお好きだ、白なんて首になるよ!」)
(アリス「…そうなの?」)
(「そうとも、だから俺たちはバラを塗るのさ」)
『…ん、………』
目が覚めたけど、外を見たらまだ真っ暗で
時計を見たら23時だった
『…さっきの夢って……不思議の国のアリス?』
主人公の女の子「アリス」が白いうさぎを追いかけて
落ちてしまった穴が不思議な生き物で溢れる奇妙な世界で
奇想天外な冒険を広げていくお話だったけど…
『…子どもの頃、少し怖かったんだよね』
本当に不思議な世界というか、音楽も少し怖かったな
でも小さい頃は白いうさぎを見つけると
『不思議の世界に連れてって!』…なんて
無理なお願いしてたなって思い出してたとき
玄関から聞こえたノックする音に自分の部屋の扉を開けると
隣の部屋からユウくんとグリムが顔を覗かせていた
グリム「むにゃ……オイ、ユウ
こんな夜中に誰か来たみたいだゾ」
「こんな時間に誰だろう?」
エース「…オレ、エース!ちょっと中に入れてよ」
グリム「エース?こんな時間にどーした……げげっ!」
「その首輪って……」
エース「もー、絶対ハーツラビュルには戻んねえ
今日からオレ、ここの寮生になる!」
グリム「にゃに~~~~!?」
『(いきなりどうしちゃったんだろ…?)』
*~**~*
ユウくんの部屋で話をしているエースくん達に
紅茶を順番に渡すと、グリムが嬉しそうに受け取ってくれた
グリム「サンキューなんだゾ♪」
『どういたしまして!エースくんもどうぞ?』
エース「…どーも」
目も合わせないまま紅茶を受け取ってくれたエースくん
やっぱり彼は私の事が好きではないらしい
グリム「その首輪って、オレ様が入学式で
あの赤毛の上級生につけられたヤツだゾ
オマエ、何でそんなのつけられたんだ?」
エース「タルト食った」
「え?タルト?」
エース「そーだよ、それだけ!小腹が空いたから寮のキッチンに行ったら冷蔵庫にタルトが冷やしてあったんだよ
しかも、ホール3つ分も!だから……」
ハートの女王の法律・第89条
"女王の許しなくタルトを先に食べてはならない"らしく
タルトの窃盗は重罪と首輪をつけられてしまったらしい
「…………」
グリム「……どっちもどっちなんだゾ」
『(確かに……)』
ゆっくり立ち上がって廊下に出たらキッチンに向かった
*~**~*
ユウくんの部屋に入ると、問題は解決したみたいで
明日寮長さんに謝りに行くことにしたらしい
何故かユウくんも一緒に
エース「じゃ、とりあえず今日どこで寝ればいい?」
グリム「オレ様とユウ、リリィの部屋以外は
まだどの部屋も埃だらけなんだゾ」
『ごめんね、明日から本格的に掃除する予定だったの
今日は談話室のソファーで寝てくれる?
今、綺麗に拭いてきたから』
グリム「リリィは優しすぎるんだゾ!」
エース「…はいはい、1人寂しく
談話室のソファーで寝ますよーだ、おやすみ!」
『あっ!』
部屋から出たエースくんを追いかけて呼び止めると
眉間にシワを寄せながら振り返ってくれた
エース「…なに」
『はい、これ!』
エース「…おにぎり?」
『今日の夕飯の残りで作ったの!
エースくん育ち盛りだからお腹空くよね?
こんな少しだけど、良かったら食べて!
あ…でもグリムには内緒にして?
食べ物に関しては底意地が悪くて後が怖いから!』
エース「…………」
『それじゃあ、おやすみなさい!』
エースくんの返事を待たずに自分の部屋に戻る
別にご機嫌取りをしたいワケじゃないけど
高校生男子の胃袋がすごい事を私は知ってるから
((「お腹が減ってたから助かったよ
本当にリリィの握るおにぎりは美味しいね
毎朝俺のために作って欲しいくらいだ」))
『…それを言うなら味噌汁だよ、陽翔』
高校生の時のやり取りを思い出して
胸が温かくなると、笑顔のままベットに横になった