PROLOGUE
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静まりかえった真っ暗な校舎の窓ガラスを
学園長先生が持たせてくれた蝋燭の火だけを頼りに
一生懸命掃除していた
『や、やっと半分……ッ痛!!』
雑巾を洗おうとした時、割れた爪に雑巾が引っ張られて
少し爪が剥げてしまった
水の冷たさに手を擦り合わせてたら
ふと寂しさが押し寄せてくる
『……陽翔』
(「俺は知ってる、リリィはどんな時も諦めない
そんなリリィに俺は惹かれたんだから」)
『…そうだよね、諦めるなんて……絶対いや!!』
勢い良く立ち上がって頬を叩いたら
冷たい水に手を突っ込んで雑巾を絞ると
大きな窓ガラスに手を伸ばした
*~**~*
温かい太陽が校舎を照らしていく
最後に磨いた窓ガラスを見て笑顔になると大きく伸びをした
『んん~~!!……終わったー!!』
身体は疲れてるハズなのに
何とも言えない達成感と太陽に照らされた校舎が綺麗で
見つめていたら、学園長先生が驚いた様子で声をかけてくれた
クロウリー「…本当に一人で掃除してしまうなんて」
『これで後は皆が戻ってきてくれるのを待つだけですね?』
クロウリー「____エッ!?本当に魔法石を探しに
ドワーフ鉱山に行ったんですか?」
『は、はい……』
クロウリー「いやぁ…まさか本当に行くなんて
粛々と退学手続きを進めてしまっていましたよ」
『え!?進めないで今すぐ止めてください!
皆は必ず魔法石を持って……帰って来ま……す』
クロウリー「!」
いきなりの睡魔に思わず膝をついたら
学園長先生が優しく私を受け止めてくれた
久しぶりの人の温もりに安心したら
いつの間にか目を閉じて眠ってしまっていた
クロウリー「本当に…仕方のないお嬢さんですね」
*~**~*
グリム「____っきろ!!起きろリリィ!!」
『…ん……グリ、ム?』
グリム「オ、オマエ……心配させるんじゃねーゾ!!」
グリムに抱きつかれて受け止めたら
優しく微笑んでくれてるユウくんと青髪の男の子に
そっぽ向いたままの赤髪くんがいた
『…ここは?』
「学園長室、身体の具合どう?」
『うん、大丈夫!』
グリム「おいリリィ…これを見ろ!」
『キレイな紫の石だね…!』
グリム「オレ様とユウ、二人で一人の条件だけど
ナイトレイブンガレッジの生徒として
学校に通う資格をあたえられたんだゾ!!」
『ほ、本当!?』
グリムの嬉しそうな自信満々の顔とユウくんの表情に
嘘じゃないんだって思ったら嬉しくて
思わずグリムの両手の肉球を優しく掴んだ
『おめでとうグリム!夢に向かってまずは一歩進めたね!』
グリム「おうよ!すぐに大魔法士になって
周りのヤツらを驚かせてやるんだゾ!!」
『私も楽しみだよ♪』
クロウリー「そう言えば、言い忘れていました」
学園長先生のいきなりの登場に驚いたら
先生は何故か嬉しそうに話しかけた
クロウリー「ユウくんにリリィさん、ご覧の通り
グリムくんはまだ人間社会に不馴れです
あなた達がしっかり手綱を握って
騒ぎを起こさないよう力を合わせて監督するように!
そしてリリィさん…あなたの根性には恐れ入りました
掃除の腕もピカイチですし、これからも雑用係りとして
学園のサポートをして頂きます!」
「「「「まさかの雑用係り継続!?」」」」
クロウリー「雑用係りといっても難しいことはさせませんし
もちろん、お給料も出しますからね♪
そういうわけですので、ユウくん
オンボロ寮の監督生としてよろしくお願いします!」
エース「あはっ!すげーじゃん、お前
入学したばっかりで、もう監督生になっちゃったわけ?」
「なるほど、お前達の寮は3人だけなのか
つまり学園長にグリムの監督を任された生徒のユウが
監督生ってことになるんだな」
エース「ブッ……前代未聞なんじゃねーの?
魔法が使えない監督生なんてさ、いいね~クールじゃん
魔法が使えない監督生!」
「…何で僕が」
『頑張ろうユウくん!』
*~**~*
学園長室を出て廊下を歩いてると
前を歩いてた赤髪くんと青髪の子から疲労感が滲み出ていた
「はぁ~~~~~っ……退学免除……力が抜けた」
エース「やれやれだねー」
グリム「明日からオレ様もナイトレイブンガレッジの
生徒なんだゾ!オマエ達なんかぶっちぎって
学年首席になってやるんだゾ~!!」
エース「ユウと二人で半人前のクセしてよく言うぜ
…まー良かったんじゃないの?」
「明日からは同級生だな、ユウにグリム…あとお前は?」
『灰咲リリィです、よろしくお願いします!』
「リリィか…俺はデュースだ
何か困った事があれば何でも言ってくれ、力になる」
『ありがとうございます、デュースさん!』
デュース「さん!?さんは止めてくれ!!それに敬語も!!
昔を思い出す…じゃなくてむず痒くなる!!」
『う、うん……』
エース「…改めてそういうの、ハズいから止めない?」
デュース「フッ、そうだな
これからは嫌でも毎日顔を合わせるだろう
特にこいつとは同じハーツラビュル寮だし…」
エース「毎日こんな真面目くさった顔を
見なきゃいけないと思うとやんなっちゃうね」
デュース「それはこっちのセリフだ、サボり魔エース」
エース「はいはい、退学に半べそかいてた泣き虫デュースくん
んじゃ、また明日な~」
帰ってく二人の後ろ姿を見つめてたら
グリムが私の頭の上に乗って呆れたようにため息をついた
グリム「なんだかんだいいコンビなんだゾ
ケンカするほど仲がいいってヤツかもしれねーな」
「そうだね……」
『私達はケンカしなくても仲良しだよね?』
グリム「ふな"!?な、な、仲良しなんかじゃねーゾ!!」
慌てて私から離れたグリムにユウくんと目が合った瞬間
この世界に来て初めて声を出して笑った
少し不安もあるけど、元の世界に戻るために
ここで頑張ろうって改めて決意をすると
オンボロ寮に向かって歩きはじめた
PROLOGUE End