運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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焦凍君と初めて出会ったのは、3年前
エンデヴァー事務所の仕事を終えて
研究所に向かっていた途中
今まで嗅いだことのない甘い匂いに、思わず足を止めた
『(…どこから?)』
匂いのする方に足を進めると裏路地で
二人の男が学生服を着た男の子を強姦しようとしていた
ポケットに入れていたスマホを出して写真を撮ると
その音に気付いて男達が振り向いた瞬間
もう一枚写真を撮った
「何してんだてめえ!!」
『それはこちらのセリフよ?
未成年の学生に貴方達は何をしているの?』
「うるせぇ!!こいつが薬も飲まないで
フェロモン撒き散らしてやがるからいけねーんだ!!」
「襲ってくれって言ってるようなもんだろ!?」
『……気持ち悪い』
「はぁ!?」
『とにかく…その子を襲うなんて許さない
さっさと消えなさい、目障りだわ』
「んだと!!」
『あら、いいの?…私に暴力を振るったら
エンデヴァー事務所が黙ってないけど』
「!!こ、こいつ…エンデヴァー事務所関連の奴かよ!?」
「逃げるぞ!!」
慌てて逃げていく男達を見送ったら
床に座ってる男の子の前にしゃがむと声をかけた
『…大丈夫?』
「……あぁ」
『少しケガしてるわね…可哀想に』
俯いてるから少し分かりずらいけど
唇の端が切れてて血が滲んでる
それ以外にも所々擦り傷のような後が残っていた
手当てをしようと顔に触った瞬間
どくん!!!!
「『_______!?』」
運命の相手は本能で分かる
まさか、こんな成人にも満たないこの子が
私の運命の「番」だなんて
「…っ俺に触るな!!」
『暴れたら傷に響くわ!』
「そんなの俺の勝手だ!!」
『____え』
彼の顔を見て驚いてしまった
彼は轟焦凍、エンデヴァーさんの息子
でも彼は、「α」とプロフィールに記載してあったのに
まさか…
『まさか焦凍君……Ωなのに、嘘ついてたの?』
轟「…っ……!!」
『…………』
彼の辛そうな悲しそうな表情に何かを感じて
立ち上がると彼に声をかけた
『先ずは傷を治しましょう
すぐ近くに私の研究室があるからそっちに』
轟「…いかねェ」
『は?』
轟「あんたαだろ?」
『だったら何?』
轟「あんたもあいつらと一緒じゃねーのか!?
俺を無理矢理…っ………クソ!!」
『…………』
彼の気持ちは痛いほど分かる
でもこんな状態の彼を放っておく訳にはいかない
『心外ね、あの人達と一緒って言うんだったら
今頃一緒に貴方をここで犯してるわ』
轟「!!」
『私が心配してるのは貴方の傷とそのフェロモン
また変な奴等に襲われたくないなら私に連いてきなさい』
轟「…あんた」
『あと……いい加減に前隠して、勃起してるの丸見えだから』
轟「!?」
慌てて前を隠す彼を無視して
路地に人がいないのを確認したら
私のコートを彼にかけて歩きはじめた
少し視線だけ後ろに向けたら
俯きながら私に連いてくる彼に安心して
急いで研究所に向かった
*~**~*
一通りの少ない道を通って無事に研究所についたら
彼を座らせてデスクの棚から発情抑制剤を渡した
『これ飲んで少しそこのソファーで休んでなさい』
轟「…………」
『…大丈夫、寝てるあなたを襲ったりしないから』
轟「…っ………」
タオルケットを彼に渡してパソコンの電源をつけたら
データをまとめるのに集中する
彼の鋭い視線がなくなって振り向いたら
ソファーで寝てるのに安心してまたパソコンに集中した
轟「…っ…………」
『気分はどうかしら?』
轟「!!」
いきなり起き上がった彼は鋭く私を睨み付けたけど
顔色も良くなってフェロモンの匂いも薄くなって安心したら
机の上に温かい緑茶を置いた
『それ飲んだら車で家まで送るわ』
轟「…いい、一人で帰れる」
『薬で少しフェロモンが治まっただけでまだ危険よ?いいから送られて』
轟「何で俺にここまでするんだ!!
俺があんたの…っ……運命の番だからか!?」
『…………』
私を焼き殺すような憎悪に満ちた目に
昔の母の目を思い出して静かに彼を見つめた
『私は…運命の番なんて信じない』
轟「…………」
『運命の番なんて作った、オメガバースの存在が許せないの
だから私はここで、オメガバースについて日々研究してる
…皆が平等に暮らせるような社会を作るために』
轟「…あんた、名前は?」
『…想よ』
轟「…想…さん」
空を眺めたら満天の星空が輝いてて
何故か泣きたい気持ちになったのは
きっと母を思い出したからだ
③へ続く