運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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私はα
人口の約20%と少ない中で
生まれもった才能と美貌に恵まれ
社会的、職業的高い地位が多い
まさに選ばれた人種
でもそんなもの、クソくらえって思ってる
だって大事なのは人種じゃなくて
その人個人だと思うから
*~**~*
エンデヴァー事務所での仕事を終えて
車を走らせて15分で着いた研究所
白衣を着て廊下を歩く私に色んな視線が向けられる
好意、尊敬……欲情
そんな視線を無視して化学研究室の扉を開く
私はここで「オメガバース」の存在について
研究に勤しんでいる
オメガバースとは
人類が男性・女性の他にα、β、Ωいずれかの
第二の性別を持っていること
その中でも私が気になっているのが、「Ω」という性
Ωは女性男性とわず妊娠することが出来る繁殖の為の人種
エリートが多いαは重宝とされがちだけど
Ωは差別扱いをされている
理由はΩに数ヶ月に一回訪れる…ヒート(発情期)の存在
そのヒートに当てられると本能に負けて
αとβはΩを孕ませようと理性を失ってしまうから
そのヒートは一週間ぐらいは続いてしまうため
Ωが社会で重要な役割に就くのは非常に難しい
国は差別のない平等な社会にするため
「Ωの権利」を認めているけど
実際の一般企業では、まだまだ差別的な考え方や偏見
がある
そんな差別的な考えがなくなって
皆が平等に生活出来る社会を作るために
日々研究に取り組んでいる
あとはΩのヒートをコントロールしている発情抑制剤と
Ωを襲わないためのαの抗フェロモン剤の開発
発情抑制剤は高額だから
低所得者が多いΩの間ではあまり一般的ではない
たがら低価格かつ、効果がしっかりでる
新薬を作っている最中だ
トントントン
『…はい』
「想さ~ん…」
『…いらっしゃい小麦ちゃん』
「うぅ……想さーん!!」
『はいはい、先ずは座りなさい』
彼女の名前は小麦ちゃん
彼女の両親と仕事をしていたときに
たまたま会ったのが切っ掛けで仲良くなり
私の事を姉のように慕ってくれる可愛い妹みたいな存在だ
そんな彼女はβなんだけど、αの男に長年片思いをしていて
フラレる度に泣きながら私の所に来るのは何回目か
もう覚えていない
「…爆豪君のバカ」
『本当…小麦ちゃんは根性あるわね?
はい、ココアでも飲みなさい』
「わーい!ありがとう想さん♪」
『そんなに振り向いてもらえないなら諦めたら?
小麦ちゃんは愛嬌があって可愛いんだから
モテると思うけど』
「…爆豪君に可愛いって思ってもらえないなら意味ないもん」
『…それもそうね』
「ねぇ、想さん」
『何?』
「やっぱりβは…αと結ばれない運命なのかな?」
『…………』
ほら、ここにもオメガバースのせいで苦しんでる子がいる
本当に苦しんでる彼女に
簡単に『そんな事ない』なんて言えなくて
頭を撫でてあげることしか出来ない自分が歯痒かった
*~**~*
最後はいつもの可愛い笑顔で帰った彼女
新薬についてパソコンでデータをまとめていると
扉をノックする音に返事をしたら静かに扉が開いて
現れた人物に胸が締め付けられる
轟「…こんにちは想さん」
『こんにちは焦凍君…お茶でもいかが?』
轟「ああ…」
『さっきまで小麦ちゃんが来てたのよ?』
轟「…また爆豪に振られたのか」
『でも、また元気に帰ってたわ』
轟「あいつの取り柄は前向きな所だからな」
『ふふふ…確かにそう!?』
お茶の準備をしてたらいきなり焦凍君に抱き締められて驚くと
私を抱き締める腕が強くなった
『…お茶が淹れられない』
轟「いい、今は想さんの近くにいてェ」
『焦凍君…』
轟「俺が側にいたいって思うのは…あんただけだ」
『…………』
焦凍君に振り返ると不安そうに見つめる彼を見て
ゆっくり彼の身体を抱き締めた
『大丈夫だから……そんな不安そうな顔しないで』
轟「…悪ぃ」
彼と私の関係は…「番」という奴だ
②へ続く