十傑パロ(連載ヒロイン)
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カツキ様から村の外じゃなかったら
好きに出歩いていいって言われた
ご飯の後片付けをしようとしたら、何故か止められて
カツキ様の召し使いの人が全て片付けてしまった
村に出歩く気分にはなれなくて
痛い足を少し引きずりながら向かったのは…地下の牢屋
扉を開けると何もない真っ暗な部屋に
今までされてきた事を思い出して身体が震えてくる
ゆっくり中に入って足を止めると
見上げた天窓から見える空に
何故か涙が溢れてきて目を閉じた
『(…魔王様)』
思いっきり両頬を叩いて気合いを入れると
薄い長袖を捲ってワンピースの裾をたくしあげた
扉にかけてある箒を取って天窓を開けたら
心地よい風に自然と微笑んでいた
*~**~*
『(ふぅ~少し休憩……)』
牢屋の掃除を終えて、汚れた水を捨てに外に出たら
水場の側の大きな石にゆっくり座った
綺麗な青空に思わずカバンに入れてたノートを取ると
色鉛筆を出して絵を書き始める
数分して絵を書き終えた時だった
「あ、いた!コムギ~!!」
「コムギお姉ちゃーん!!」
『!』
名前を呼ばれて振り返ったら、よくパンをあげてた子供達で
嬉しそうに私に抱きついてきたから驚いてしまった
「ねえまたパン作ってくれよ!
おれ、コムギの作ったジャムパン食べたい!」
「わたしも!ねぇいいでしょ?」
『…………』
子供達の言葉に胸が締め付けられて眉間にシワがよると
ノートに文字を書いて子供達に見せた
『(ごめんね…もう、パンは作らないの)』
「えー!!」
「どうして?」
『(…ごめんね)』
子供達の頭を撫でながら深く頭を下げると
残念そうな声に両手を握りしめた
「なら、足が良くなったらオレたちとまた遊んでよ!
それならいいだろ?」
『(…うん)』
子供達に伝わるように大きく頷いたら喜んでくれた
*~**~*
夕飯もカツキ様のお部屋で一緒に食べ終えると
また召し使いの人が食事を持っていってしまった
隣からカツキ様の視線を感じるけど振り向けなくて
ノートを出して字を書いたらカツキ様に見せた
『(お食事ありがとうございました
もうお部屋に戻っていいですか?)』
爆豪「あ?どこの部屋に戻るつもりだ」
『(地下の牢屋です)』
爆豪「…ざけんな、あそこはもう使わせねェ」
『(え?)』
あからさまに驚いてしまったら
カツキ様に抱えられて連れてかれてのは
まさかの寝室だった
いきなりの事に恐怖で身体が強張ると
カツキ様から離れたくて暴れたら舌打ちされてしまった
爆豪「…っ…大人しくしやがれ!!」
『!?』
ベットに押し倒された瞬間
我慢してた涙がこぼれ落ちたのが分かって
早く終わるように強く目をつぶって待ってたのに
いつまでたっても触れてこないカツキ様に
ゆっくり目を開けたら
カツキ様の苦しそうな瞳に目が離せなくなった
涙を拭ってくれるカツキ様の指が優しくて
更に涙が溢れてしまう
爆豪「なんもしねェから……泣くな」
私に布団を掛けると、背中を向けて寝てしまったカツキ様
このまま寝ていいのか分からなかったけど
大人しくしてた方が機嫌を損ねないと思って
私もカツキ様に背中を向けた
初めてあんな苦しそうな表情を見た
初めてあんな優しい声を聞いた
この胸のドキドキは驚いたからで…トキメキなんかじゃない
そう思って目を強く閉じた
*~**~*
あれから数日が過ぎて思ったのは
前の生活と明らかに違っていたこと
一つはカツキ様との時間
食事と寝るときは一緒で
寝てるときはカツキ様が私に触れることはなかった
もう一つは村の人達の反応
特に違うのは、若い女の人達が私と目が合うと
何故か走って逃げてしまうことだった
「あ、コムギ~!はい、これどーぞ♪」
『(今日もありがとう!はい、お金)』
「う、うん……ありがとう!」
子ども達が毎日お花を持ってきてくれるので
お詫びにパンで稼いだお金と交換している
カツキ様の部屋に飾ると匂いで嫌がりそうだから
地下の牢屋に飾っていた
黄色の可愛らしいお花…確か名前は
『(…ハナビシソウ…)』
花壇に生けたハナビシソウを座りながら眺めてたら
窓からの心地よい風が通りすぎて
ハナビシソウのいい匂いが鼻をかすめる
優しい空気に安心すると
いつの間に目を閉じて眠ってしまっていた
*~**~*
狩りを終えて村に戻ってくると
ガキが俺に駆け寄ってきて金を渡してきた
「カツキ様、またコムギがお金くれました…」
爆豪「…そうか」
ガキから金をもらうと俺に質問してきた
「どうしてカツキ様がコムギにお花渡さないの?」
爆豪「あいつ嬉しそうだろ」
「うん!スッゴく嬉しそうに笑ってたよ♪」
爆豪「…だからだよ」
「?」
ガキを無視して自分の部屋に入るとあいつがいない
だとすれば、考えられるのはあの地下牢だけだ
地下牢に行って扉をゆっくり開ければ
案の定、あいつは壁に寄りかかって寝てやがった
あいつの側には俺がガキどもに渡すように頼んだ
ハナビシソウが風で揺れてる
嬉しそうに花を貰うあいつは前に俺に向けてた笑顔だった
今さら俺に笑えなんて思わねーけど
安心しきって気持ちよさそうに寝てるあいつを見て
拳を強く握りしめた
④へ続く