十傑パロ(連載ヒロイン)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ソウさんに連れ戻されてやってきた城や城下町は
俺の誕生祭を祝う準備で賑わっていた
今さら誕生日なんてって思うけど
皆の嬉しそうな様子に、少し胸がむず痒くなった
イズク達は部屋で休んだり町に出掛けたりしていて
俺は誕生祭の準備で自分の部屋からほぼ出られなかった
今は式典に着ていく正装を確認するため
俺の周りを仕立て屋の職人が慌ただしくしていた
ノックの音に返事をしたらソウさんが扉から現れると
驚いた様子で俺を見つめていた
『…ショート様、とてもお似合いです』
轟「…そうか」
『はい、エンデヴァー様にも負けない位
威厳あるお姿に感動致しました』
轟「…親父の話しは止めてくれ」
『…………』
仕立て屋達を部屋から出るように命令すると
直ぐに部屋を出ていく
扉がしまってソウさんを見つめると
申し訳なさそうな表情で俺を見ていた
『ご気分を害すような発言をしてしまい、申し訳ありません』
轟「…………」
『でも私は…いつかショート様がエンデヴァー様の後を継いで
この地方を治めて下されば嬉しいと思っております』
轟「…何で俺が」
『ショート様はとてもお優しいから、そんな方が領主になれば
…皆が幸せに暮らせると思うのです』
轟「ソウさん…」
『私はそんな貴方を支える騎士になりたい…』
轟「…っ……ソウさん、俺は」
トントントン
扉から現れたのは親父専用の執事だった
「エンデヴァー様がお呼びで御座います」
轟「…分かった、直ぐ行く」
『私も参ります』
扉に向かって歩いていくソウさんの後ろ姿を見て
両手を強く握りしめた
俺はあんたに隣にいて欲しいんだ
騎士とか側近とか右腕とかじゃなくて
…恋人として、妻として
俺の隣にいて欲しいのに_______
*~**~*
部屋に行くと、でけェソファーに座ってる親父を睨んだら
親父も眉間のシワを寄せて俺を睨んできた
エンデヴァー「帰って来て挨拶もなしとは、とんだ礼儀しらずだ」
轟「…………」
エンデヴァー「…まぁいい、座れ」
親父の前のソファーに座ると
親父はソウさんに声をかけていた
エンデヴァー「…ソウ、映像を出せ」
『はい…』
轟「?」
ソウさんが呪文を唱えて韻を結んだら
黒髪を高くあげ鎧を着た凛々しそうな女が映し出された
エンデヴァー「彼女はある地方のご令嬢のモモ嬢
…お前の婚約者だ」
轟「…は?」
親父の言葉に思考が停止する
今…婚約者って言ったのか?
エンデヴァー「モモ嬢はれっきとした貴族
家族や民からの信頼もある…お前を立派に支えこの町を」
轟「ふざけんな!!!!」
あまりの勝手ぶりに思わず怒鳴って立ち上がると
親父を睨んだがあいつは表情を変えていなかった
轟「そんな大事なこと勝手に決めんなよ!?」
エンデヴァー「勝手だと?…今まで勝手にしてきたのは貴様だ」
轟「!!」
エンデヴァー「俺の言葉を無視し続け自由に過ごしてきた結果だ
モモ嬢の地方は水がとても澄んでいて森林地帯も広い
…良いクズモチの木が育つだろう」
轟「!?…っ……まだそんな事言ってんのかよ?
その木のせいで母さんは出てったってのに!!」
エンデヴァー「…そんな考えだから、息子としての
自覚が足りんと言ってるのだ!!!!」
轟「っの野郎!!」
親父に殴りかかろうとしたとき
身体をリングのような物に縛られて動けなくなると
ソウさんが親父を庇うように前に立つのを見て
イラつきが増した
轟「退けよソウさん!!」
『いいえ、退きません』
轟「っ何で邪魔すんだよ!!」
『少し冷静になって下さい』
轟「…っ………」
『エンデヴァー様はこの領地とモモ様の領地の事を考え
この決断に到りました
貴方に相談しなかったのは、したところで
あなたが拒否するのが目に見えていたからです』
轟「…今回の件について、あんたは知ってたのかよ?」
『…はい、今回の件について内密にするよう
エンデヴァー様にお伝えしたのも私です』
轟「!!」
ソウさんの言葉がショックで力が抜けていく
身体に巻き付いてたリングが消えると
ソウさんが近付いてきて俺の腕を優しく掴んだ
『モモ嬢は女性ながら文武両道の才女です
戦の時も司令塔としても才を発揮されたと聞きます
…貴方を支えこの領土を更に強固に守って下さるでしょう』
轟「…………」
『この婚約を断ればモモ嬢の領主様は黙っていません
戦になる可能性も御座います』
轟「…っ………」
『しかし婚約を断っても構いません
その時は、貴方はこの領地を去り
二度とエンデヴァー様と…レイ様の息子と
名乗ることは許されません、その覚悟はありますか?』
轟「…俺は…っ………」
『ショート様、今が覚悟の時です…お答え下さい』
その時、ソウさんの言葉を思い出した
(『ただし、貴方は覚悟をしなければなりません
エンデヴァー様の息子と知って近付いてくる輩もいます
貴方が傷つけば…悲しむ人がいることを忘れないで下さい』)
この縁談を断れば
俺はこの領地の息子じゃなくなる
そしたら…母さんに兄さんや姉さんを悲しませちまう
町の皆も悲しむだろう
ソウさんの顔を見たら悲しそうに俺を見ていて
胸が締め付けられると歯を食いしばった
この領地を離れたら…二度とソウさんとも会えねぇ
それだけは絶対に嫌だ_____
轟「…分かった」
俺の声が静かに部屋に響いた気がした
④へ続く