十傑パロ(連載ヒロイン)
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地下牢にいるあいつの泣き叫ぶ声が俺の部屋まで響く
エイジロウは身体が動けるようになって立ち上がると
俺を睨み付けて何処かに消えた
女共が俺にすり寄ってきたらキモい声で誘ってきやがる
「え~?すっごい泣いてる、可哀想~」
「うるさいですねーカツキ様?」
爆豪「…ああ、耳障りだ」
女共を押し倒して
俺に抱かれて感じてるこいつらの甘い声より
あいつの泣き叫ぶ声がずっと聞こえンのは
何でだ
*~**~*
気絶した女共の声が聞こえなくなっても
あいつはずっと泣き叫んでた
やっと聞こえなくなったと思ったら、もう朝方
中途半端な衣類を直して地下牢に向かう
扉を開けるとあいつは壁に寄りかかって寝ていた
ジャリジャリと土がすりへったように歩く
俺の足音にも気付きやしねえ
あいつの目の前に立ったら抱き上げてベットに寝かす
布団を探しても見つからねぇ
…もしかしてこの布切れだけか、この真冬に
爆豪「…ちっ!!」
俺の毛並みのマントをかけてベットに横になると
あいつを抱き締めた
爆豪「硬すぎンだよこのベット…クソかよ」
ふと、マントの隙間から見えた奴隷のマーク
これでこいつは、正真正銘の俺様の奴隷だ
でも
こんなに近くにいンのに…何で遠くに感じやがる
爆豪「…………」
白い項から流れる首筋をみて噛みつこうとしたけど
あいつの泣き顔を思い出したら一気に冷めて
俺もいつの間にか眠ってた
*~**~*
爆豪「…ん………」
太陽の光で目が覚めたら、俺の隣にあいつはいなかった
床に落ちてる無造作に置かれたマントを羽織ると
扉に向かって歩きだした
村の様子がうぜェ
何か心配するような、よそよそしい態度のモブ共
その目線の先はあいつに向けられていた
大量の野菜を水洗いしている黄緑の瞳は何も映してな
い
冷たい水に凍えるわけでも我慢しているわけでもない
無表情
いつもがうぜェくれーに表情が豊かなだけあって
どうも不気味だ
あとは右手の"奴隷のマーク"
モブ共があいつの右手を見てコソコソと話してたら
若い女共があいつに向かってわざとぶつかると
ふらついたあいつが籠に入ってた野菜を落としやがった
「あらごめんなさい、正真正銘の奴隷さん?」
「また洗ってきて下さる~?」
『…………』
爆豪「…ンだよ」
悔しがる訳でも悲しむ訳でもねぇ
ただの無表情のあいつに腹が立ったとき
エイジロウが現れて女共に怒鳴ってた
切島「いい加減にしろよ!?こいつにちょっかいだすな!!」
「な、何よいきなり…」
切島「大丈夫かコムギ……え?」
『…………』
あいつは落ちた野菜を拾うとエイジロウの言葉を無視して
歩きだした
その様子にエイジロウは悲しそうに顔を歪めると
あいつが俺の横を通りすぎようとして
勢いよく腕を掴んで身体を無理矢理向かせたら
また野菜の籠を落としやがった
爆豪「…てめェなんだ、俺たちへの当て付けか?
そんな態度とって同情でもしろってか?
今さら態度変えたところで優遇なんてしねーぞ」
『…………』
爆豪「!?」
あいつは俺の言葉を無視してしゃがむと
落ちた野菜を拾ってやがった
その態度にムカついて乱暴に腕を離すと尻餅をついたが
すぐに立ち上がって籠を持って前の道に戻ると
土で汚れた野菜をまた黙々と洗ってやがった
いつもは村のガキ共にパンを作ったり遊んだりしてやがるのに
休憩時間になると牢屋に戻って
仕事の時間になると現れて話すことなく黙々と作業をする
それはまさに正真正銘の"奴隷"だった
*~**~*
夜になってあいつの牢屋のドアを開ける
あいつは天窓から覗く空を座って見上げていて
俺には見向きもしないあいつの顎を無理矢理掴むと
目線が合うように上に向かせた
黄緑の瞳は俺を映してねェのにムカついて
腕を引っ張ってベットに寝かせるとあいつを抱いた
上擦った甘い声も
苦しそうにでも気持ちよさそうに歪める顔も
俺を見つめる潤んだ瞳はねぇ
声もあげず
無表情
何も映さない瞳は天井を見上げてるだけだ
爆豪「…っ……バカにすんのも大概にしやがれ!!」
あいつを怒鳴りつけても無表情のままで
ムカついてマントを羽織ると扉を乱暴に閉めて部屋を出てった
*~**~*
しばらくして、またあいつのいる牢屋の扉を睨み付ける
爆豪「(あの女、絶対返事させたる!!!!)」
扉を蹴り破るとあいつはさっきと同じように天窓を見上げてた
爆豪「…てめェは何がしてーンだ」
『…………』
爆豪「奴隷を解放しろってか?」
『…………』
爆豪「…両親に会いてーのか」
『…………』
爆豪「てめェ!!うんとかすんとか言いやが……」
泣いてやがった
無表情だけど、確かに泣いてやがる
声をださねえようにすんなら嗚咽ぐれェあるはずなのに
その嗚咽すらない
もしかしてこいつ______
爆豪「…声……出ねェのか」
『…………』
爆豪「…っつ!! 」
初めてセックス以外で女を抱き締めた
いつも臭ェと思ってた
パンの甘い香りがしねェのが落ち着かねえ
あいつの頭を強く握ると胸に抱き寄せる
爆豪「俺は!!…っ……てめェにそんな風に
なって欲しかった訳じゃねェぞ!!」
『…………』
爆豪「ただ側にいて、エイジロウに向ける笑顔を
俺にも向けて欲しかっただけだ!!」
『…………』
爆豪「…っ………クソが!!」
何の反応もないあいつにまた胸が締め付けられると
誤魔化すように強くあいつを抱き締めた
*~**~*
出発の日
俺とエイジロウの周りには多くのモブ共が声をかけに来ていた
あいつは井戸の水を無表情のまま淡々と汲んでいて
あいつの所に向かうと井戸の桶を掴んだ
俺に見向きもしないあいつに声をかける
爆豪「…てめェが表情変えて声が出るような
面白れー冒険話を聞かせてやる」
『…………』
爆豪「…持ってろ」
俺の首にかけてた勾玉の首飾りをあいつの首にかける
でも、あいつの目線は首飾りじゃなくて桶に向いてた
『…………』
爆豪「……ちっ」
モブ共に見えないようにマントを広げてこいつを隠すと
唇に口付けた
唇を離してあいつを見ても表情は変わってなかったが
予想の範囲内だクソが
エイジロウの所に向かうと
嬉しそうに俺の首に腕をまわすから頭を殴り付けた
頭にコブの出来たドラゴンに変身したエイジロウに乗ると
集合場所に向かって飛んでいった
そして一ヶ月ぶりに住処に戻ってきたら
俺の村は荒地となっていた
④へ続く