～緑谷出久 サイド～







いきなり聖の持ってるカードが強く輝くと
目の前に細長い剣が現れたら聖が剣に手を伸ばしていた






ｹﾛ「触ったらアカン！！！！」


さくら「聖さん！！」


緑谷「！？」






聖が剣を握った瞬間

さくらちゃんに剣を振りおろしたけど
近くにいた飯田君がさくらちゃんを抱えて避けてくれたから
傷付かずにすんだ






爆豪「おい！？どーなってやがるぬいぐるみ！！」


ｹﾛ「ぬいぐるみちゃうわ！！」


さくら「そんな…ちゃんと名前も書いたハズなのに」


ｹﾛ「ああ…わいもこんなん初めてや！！
考えられるとしたら…元々あのねーちゃんも
予知夢を見る程の力の持ち主や
その力が魔力としてカードを引き寄せてしもうて
暴走したのかもしれへん！！」


轟「天堂を元に戻す方法はないのか！？」


ｹﾛ「また"ソード"をクロウカードに戻せばいいと
思うんやけど…」


さくら「そしたら…ってきゃあ！？」


緑谷「さくらちゃん！？聖止めて！！」


『…………』







虚ろな瞳でさくらちゃんに攻撃する聖に
轟君の氷結で聖の足場を凍らせたけど
剣で砕かれて簡単に割れてしまった

聖は大きく飛ぶと僕たちから距離をとった






ｹﾛ「"ソード"っちゅうんは、使う人間が誰でも
剣の達人になれるようになってるからな
…ねーちゃんの意識は今
"ソード"に乗っ取られてもうてるんや！！」


麗日「そ、そんな…」


緑谷「！？…さくらちゃん！！飯田君！！」






二人に向かって剣を振り下ろすと
飯田君は何とか避けている様子だった







爆豪「…っ……こっちだ！！！！」


『…………』


爆豪「！？」


緑谷「かっちゃん！！」







爆破を避けられて聖が剣を振った瞬間
かっちゃんの服が破れてしまった






ｹﾛ「あの剣に当たったら洒落にならんで！？
"ソード"のカードの威力は持ち主の心次第や！！
切らんとこ思ったら峰打ちも出来るし
その気になったら……岩でも切れる」


緑谷・爆豪・轟「「「！！」」」







聖はさくらちゃんに剣を向けると
瀬呂君が聖の手をテープで縛ったのに
聖が剣を振った瞬間
テープがボロボロに破れてしまった







八百万「助けられる方法はごさいませんの！？」


ｹﾛ「あのねーちゃんが一瞬でも
ソードから手を離してくれればええんやけど…」


緑谷「…っ………！！」


さくら「皆さん！！私が魔法の鍵を出してる間だけでも
聖さんを足止めしてもらえませんか！！」


「「「「「魔法の鍵！？」」」」」


ｹﾛ「説明してる暇はない！！
いいからねーちゃんを止めるんや！！」






かっちゃんや轟君達が聖に攻撃していく中
僕はさくらちゃんを守ろうと立っていたとき

さくらちゃんは首から羽のついた鍵を出していた








さくら「…闇の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ
契約のもと さくらが命じる…封印解除(レリーズ)！！」


緑谷「！？」






さくらちゃんの言葉に答えるように
鍵が長い杖に変わると杖とは反対の手に
クロウカードを持っていた







さくら「…彼の者が一番強く想うものの姿を映し出せ
…幻(イリュージョン)！！」







さくらちゃんが杖でカードを叩いた瞬間
聖の目の前に現れたのは








爆豪・轟「「！！」」


さくら「！？あ、あれって……」


緑谷「聖の……」







聖と同じ瞳でグレーの長い髪を靡かせてる女性と
聖と同じ金髪の優しそうな男性

…間違いない、聖の両親だ







『…おかあ……さん……おとうさ……ん』


ｹﾛ「今やさくら！！」


さくら「…で、出来ないよ」


「「「「「！？」」」」」


ｹﾛ「何言って！？……さくら」







さくらちゃんは大きな瞳から涙を流すと
聖を苦しそうに見つめていた







さくら「だって……やっと…っ……会えたのに
聖さん……家族に……会いたがって……」


緑谷「…さくらちゃん」







さくらちゃんの気持ちは痛いほど分かる
でもこれは幻で…本物の聖の両親じゃないから



ワン・フォー・オールを発動して勢いよくジャンプすると
聖の横に立ったら両手を握りしめた

聖の虚ろな瞳は真っ直ぐ両親に注がれていた








緑谷「…ごめん、聖」







剣を握りしめていた聖の手を叩いた瞬間

力が抜けたように後ろに倒れる聖を片手で受け止めた







緑谷「今ださくらちゃん！！」


さくら「…っ……汝のあるべき姿に戻れ…クロウカード！！」






剣がカードの中に吸い込まれていた時

聖の両親が聖に近付くと
聖のお母さんが優しく聖の頭を撫でていた

聖の父さんも優しそうにその様子を眺めていて
何故か分からないけど胸が締め付けられて
泣きそうな気持ちになった

聖のお母さんの手が聖から離れた瞬間
二人は消えるとカードの中に吸い込まれていった






さくらちゃんは悲しそうな表情で聖に近付くと
「ごめんなさい」と謝っていた






さくら「私が来なければ…聖さん
お母さんやお父さんの事…思い出さなくてすんだのに
会いたいのに会えない気持ち……分かるから」


緑谷「…さくらちゃん」






さくらちゃんの頭を撫でると
大きな瞳に涙を溜めながら僕を見てくれたから
優しく微笑んだ






緑谷「そんな事ないよ…ほら？」


さくら「！…あ」







聖は幸せそうに微笑みながら眠っていた







緑谷「聖は…悲しいことをずっと悲しいまま
抱えてる子じゃない…さくらちゃんのようにね？」


さくら「！！」


緑谷「でも…時々泣きたくなったりするときもあるだろうから
だから僕は聖が安心して泣いてもらえるような
そんな頼れる人になりたいって思うんだ」


さくら「…出久さんは聖さんの事が大好きなんですね？」


緑谷「！」







さくらちゃんの嬉しそうな笑顔に、僕も自然と笑っていた







緑谷「うん…好きだよ」


「「「…えぇ！？！！」」」


爆豪・轟「「…………」」


麗日「(デク君……)」


さくら「よかった…聖さんの側に出久さんがいてくれて」


緑谷「そ、そうかな…ってさくらちゃん！？」


さくら「え……ほぇぇぇ！？」


ｹﾛ「…な、何やいきなり！！」







二人の身体がどんどん消えていくと
さくらちゃんが僕に声をかけてくれた







さくら「聖さんが起きたら
"ありがとう"って伝えてくれますか！？」


緑谷「もちろんだよ！」


さくら「出久さん！！…っ……聖さんを＿＿＿＿！！」


緑谷「え？」







二人の姿が消えた瞬間、聖を抱えて立ち上がった


さくらちゃんの言葉の続きが気になって何故か不安になると
今も幸せそうに眠る聖を強く抱き締めた








～木之本桜 End～








思い出したんだよ、出久





あの優しい手は…お母さんの手だったんだって