運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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(『爆豪君が次に恋をするなら
聖ちゃん以上に守りたくなる人だといいね?
私もいつか爆豪君以上の人を見つけて
その人が同じくらい私の事を好きになってくれる
そんな人を見つけられたらいいな!』)
ピピピピピピピ
カチ
爆豪「…………」
体を起こすと、夢に出てきたあいつの言葉に
イラつきが増してきやがる
最近あいつが頻繁に夢に出てくるだけでもムカつくのに
あのセリフを言い放った時のアホ面に何故か胸がざわついた
爆豪「…あ"あ"~~ウゼェェ!!」
布団を乱暴に退かすと朝飯を作りに部屋を出た
どんなにイラついてよーがヒーローに休みはねェから
今日もザコ敵共を倒して早くNo.1ヒーローになってやる
*~**~*
今日も俺は絶好調で敵を倒してく
ある意味ストレス発散にもなってちょうどいい
最後にパトロールで来たのは、都心から離れたド田舎な商店街
敵なんかいなさそーな町を歩いてっと
甘い匂いに全身が震えて匂いに誘われるように
勝手に足が動いてやがった
甘い匂いの正体はパン屋で、名前は「Blue Rose」
『…爆豪君?』
爆豪「!?」
大きめ白シャツにジーパン姿のあいつを見た瞬間
勢いよくしゃがみ込んだ
『爆豪君!?』
爆豪「はぁ…はぁ……っつ!!」
ラット(発情期)とか、ふざけんじゃねェぞ
ちゃんと薬だって飲んでたハズだ
片膝をついて崩れ落ちた俺を心配したのか
あいつの駆け寄る足音が近くなりやがった
『爆豪君どうしたの!?』
爆豪「っ触んなクソが!!!!」
『きゃ!!』
ここから離れてェのに、力が全然入らなくて
両手に力を込めて無理やり立ち上がると
『…っ……しっかり掴まっててね!!』
爆豪「!?」
いきなり俺の腕を掴んで
自分の肩に腕を回しやがったこいつを突き飛ばそうとしたのに
こいつの甘い匂いに、体が思うように動かなかった
*~**~*
パン屋の奥の部屋に連れてかれてソファーに寝かされると
心配そうに俺を見てやがった
『ちょっと待っててね!確か、奥の棚に薬が……』
爆豪「…っ……はぁ……はぁ……」
棚をいじってるあいつの短い髪の隙間から覗く白い項と
甘い匂いが充満してやがるこの部屋が何故か俺を興奮させた
噛みてェ……あの項に勢いよく
爆豪「っつ!!」
『え____』
後ろからあいつを抱き締めて逃げねェように顎を掴んだら
項に勢いよく噛みついた
そこから更に甘い匂いが充満して俺を興奮させた
『い、いやああああ!!』
爆豪「…っ……大人しくしてろや!!」
『や、止めて!?い、痛っ!!』
ボタンを外す俺の手を上から掴みやがるけど
力が弱すぎて全く意味がねェ
下着の上から胸を鷲掴んだら甘い声を出すあいつに細く笑った
爆豪「おい…無理やり犯されそうになって感じたンか?」
『や、止めて爆豪君!!お願いだからぁ…!!』
爆豪「…………」
首を大きく振りながら俺から逃げようと拒絶するこいつを
ソファーに勢いよく投げ飛ばす
シャツを思いっきり破ると大きな瞳が更に見開いて
俺を真っ直ぐ見つめてやがった
『ば、爆豪君……』
「!?」
俺の頬に触れたあいつの手は震えてて
無意識にその手を上から重ねてた
『爆豪君…ごめんね』
爆豪「てめェ、何言って_____」
あいつが俺にキスしやがった瞬間、何かを飲み込んだ
勢いよく唇を離してあいつを睨むと
潤んだ瞳にイラついて誤魔化すように口付けた
深く、深く
角度をかえて何度もこいつの唇を奪い続けた
*~**~*
爆豪「…っ………」
勝「あ、大丈夫かい勝己?母さーん!勝己起きたよー!」
光己「…………」
目の前にはババァと親父…ってことは実家か
何でこんな所にいるか分からんくて起き上がった瞬間
ババァに頭を思いっきり殴られた
爆豪「何しやがるババァ!!」
光己「うっさい!!…あんたねぇ~小麦に
どれだけ迷惑かけたか分かってるの?」
爆豪「!」
光己「ウチにわざわざ電話してくれたんだよ?
"ラット"になったけど薬飲んで落ち着いたから
申し訳ないけど迎えに来てほしいって
小麦がβだから良かったけど…もしΩだったら
あんた、一歩間違えたら大問題だったんだからね!」
爆豪「…………」
もう手ェ出したわ、クソが
それにババァの言うとおりだとして
何であいつ俺に犯されなかった
俺が好きなら犯した責任取れとか言って
無理やり俺を自分のモノに出来たハズだろーが
光己「まぁ、今日はウチで休んでいきなさい」
爆豪「…………」
勝「疲れただろう?お風呂に入っておいで」
爆豪「…チッ」
風呂から上がって、ソファーに座ったら
目の前で親父を怒鳴ってるババァと落ち込んでる親父
いつもの光景に「またかよ」って思いつつ
テレビを見てたら親父が落ち込んだ様子で
隣のソファーに座ってきやがった…きめェな
爆豪「毎度怒鳴られて、恥ずかしくねーんか」
勝「んん~……」
爆豪「んん~じゃ、ねーわ!!」
勝「でも怒らないのは母さんらしくないしね…ははは」
爆豪「ンであんなクソうるせェババァと結婚したんだ?」
勝「母さんとの思い出かぁ……」
爆豪「やっぱいい」
勝「あれはまだお互いデザイン事務所に勤めてた頃だった…」
爆豪「聞きたくねぇ、言うな」
それでも止めねぇ親父とババァの馴れ初めを聞いて
ヘドが出そうになってたとき
親父が嬉しそうに俺に言ってきやがった
勝「僕は気の強い女性は苦手だったんだが
彼女はとにかく押しが強くてね…猛アプローチを受けて
気づけば結婚する流れに」
爆豪「断れねーだけじゃねェか」
勝「でも母さんと付き合って結婚して思ったんだ
相手が自分を好きでい続けてくれる事が
凄く幸せで奇跡みたいなものなんだって」
爆豪「…………」
思い出すのは、ずっと好きだった幼馴染みで
運命の番だった聖じゃねェ
俺の後ろをちょこまか追いかけてたβのあいつだった
勝「もし勝己を一途に思う人が現れたら
勝己もその人に負けないくらい、いっぱい愛してあげてね」
爆豪「…虫酸が走る」
親父から離れて自分の部屋に向かってる時
唇に触れた瞬間、あいつとのキスを思い出して壁を殴り付けた
*~**~*
次の日、俺が来たのは「Blue Rose」
別にあいつに会いに来たとかじゃねェ
ババァが世話になった礼に渡しとけって頼まれたモンを
届けに来ただけだ
その時、店から出てきたのはあいつじゃなくてモブ店員だった
「わ!?す、すいません!まだ開店時間じゃないので
もう少しお待ち下さい!」
爆豪「…あいついねーンか」
「あいつ?」
爆豪「…………」
ため息をついてすぐにモブ店員を睨み付けた
爆豪「……小麦」
「小麦……あ、店長ですか?」
爆豪「はぁ?」
あのバカ女が店長?
モブ店員を睨み付けたら申し訳なさそうに声をかけてきがった
「すいません…店長、昨日から出張で海外なんです」
爆豪「海外だァ?」
「はい!いくつかの国を滞在する予定でして
一ヶ月くらいしたら戻ってくるかと……」
爆豪「……チッ」
「あ…!」
モブ店員の呼び声を無視して店から離れる
あいつが店長になったことも
海外に出張したことも俺は知らねーぞ
聖の時ですら感じなかった、気持ち悪いこの感情
あいつはただのβだ
聖みてーにキレイな女って訳じゃねェし
αの女みたいに頭が良くて才能がある訳でもねーのに
爆豪「なんだってンだ、クソが…!!」
*~**~*
一ヶ月後
敵を追いつめてぶっ殺したら
モブ共の歓声やフラッシュの光にイラついてたとき
ここがあいつの店の近くだって事に気付いた瞬間
見覚えのあるシルエットに爆破を使って勢いよく飛ぶと
店長のクセに楽しそうに
窓ガラスを拭いてるあいつを睨み付けた
爆豪「…おい」
『はい!いらっしゃいま_____』
俺に振り返ったあいつの無駄にデケェ瞳が更に見開いたが
すぐに笑顔になると俺に話しかけてきやがった
『いらっしゃいませ!爆心地…で、いいのかな?』
爆豪「…てめェ、いつの間に店長になりやがった」
『つい最近だよ!えへへ、びっくりした?』
爆豪「算数も出来ねェバカが
まさか店長とはな…経営大丈夫なんか」
『し、失礼しちゃう!ちゃんと経営出来てますよーだ!』
爆豪「ハッ、そうかよ」
『あ、ちょっと待っててね!』
店の中に入って戻ってくると、袋を俺に渡してきた
『お店の人気メニューのカレーパン!
美味しかったらまたいつでも来てね♪』
爆豪「…………」
あいつからパンの袋を奪って睨んでも
前と変わねェ態度に眉間にシワが寄る
何でてめェはそんな笑ってられんだ
俺はお前をズタボロに傷付けた男だろうが
もう気にしてねーみたいな…スッキリした面してんじゃねーぞ
爆豪「…ムカつきやがる」
『え?』
「て、店長……」
『あ、米澤君!』
俺たちの会話を遮ったのは、男のモブ店員
俺を真っ直ぐ見てきやがるから睨み返しても
目を逸らさなかったモブ店員にムカついてると
あいつがモブ店員に駆け寄って何やら話かけたら
俺に振り返ると、またいつものアホ面で笑ってやがった
『またお越し下さい、ヒーロー爆心地!
今日の出会いが素敵な夢への一歩になりますように!』
爆豪「______」
俺に一回も振り返らずに、以前は俺に向けてたアホ面を
今はモブ店員に向けてるあいつを見て
今までのイラつく感情が何なのか分かった瞬間
拳を力強く握りしめた
爆豪「…っ………今更だろうが!!」
End
あいつの短い髪の隙間から見えた項には
一ヶ月前に俺が噛み付いた痕は残ってなかった