運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
6月の梅雨入りの季節
二人を祝福するかのような快晴の日に
私の友だちの聖ちゃんが、今日結婚した
*~**~*
挙式が終わって、今はビアガーデンでのパーティー
元1-A組の皆に囲まれて幸せそうな聖ちゃんと
新郎の緑谷君に微笑んでたら肩を叩かれて振り返った
「お疲れ様、小麦ちゃん」
『…うわぁ~……想さん……何かエッチですね!!
そう……大人の色気ってヤツです!!』
「…それ、褒めてくれてるのよね?」
『もちろん♪』
「…ありがとう」
ハイネックに透け袖ネイビーの
膝下ドレスを美しく着こなした想さん
髪もいつもはおろしてるのに
今日は高めでポニーテールにしてるから
より大人っぽく見えて素敵だなって見つめてしまう
「それにしても…こんな時まで
仕事しなくてよかったんじゃない?」
『私、友達の結婚式にコックとして参加するのが夢だったので
叶って嬉しいです!』
「…本当、小麦ちゃんらしいわ」
『エヘヘ♪』
「そういえば、お店の方は大丈夫なの?」
『はい!お店のスタッフさん、協力的な人達ばっかりで
いつも助けられちゃって…店長として情けないです』
「そんな事ないわ、小麦ちゃんだから皆頑張るのよ
自信をもっていいんじゃない?」
『…そう言って貰えると嬉しいです!』
あれから私はお母さんの協力もあって
「BlueRose(ブルーローズ)」というパン屋を開いた
店長としてやることはいっぱいあるけど
お客さんもいっぱい来てくれるし
スタッフの皆も一生懸命働いてくれるから
楽しいしやりがいを感じてる
「小麦ちゃーん!想さーん!」
「…主役の登場ね」
『…キレ~イ…!!』
白いウェディングドレスの裾を持ちながら
笑顔で駆け寄って来てくれる聖ちゃんは
本当のお姫様みたいにキレイで可愛くて輝いていた
「結婚おめでとう聖ちゃん…本当に綺麗よ」
「あ、ありがとうございます!」
『お姫様みたいでドキドキしちゃった!!』
「そ、そうかな?ちょっと恥ずかしいね!」
幸せそうに微笑む聖ちゃんに
改めておめでとうって言おうとしたとき
前の方が騒がしくなって見たら緑谷君にしょーちゃん
それと…爆豪君が女の子達に囲まれていた
「す、すごい囲まれちゃったね……」
「新人ヒーローの中でも人気の三人が揃ってれば
誰だって近寄りたくはなるわよ」
『ふ、二人ともいいの?女の子にモテモテだけど…』
「出久がヒーローとして頑張ってきた証だから
素直に嬉しいよ!」
「モテる顔に生まれてきた定めね」
『二人とも大人だな……』
「あ、所で想さん!轟君とは番になれたんですか?」
「…させてくれないのよ」
『え!?』
「…私に子供を産んで欲しいから番にはならないんですって」
『…………』
「それは大変ですね?でも…確率的には
轟君に産んで頂いた方が安全だと思いますけど」
「そうなのよ!…なのにあの頑固坊やは……」
恥ずかしがってる私を他所に大人の話をする二人に
目を逸らしたら爆豪君に目が止まった
小豆色のスーツに黒シャツが爆豪君に合っていて
カッコいいとは思うけど前みたいなドキドキはない
私がお店を開店させて直ぐに、爆豪君がヒーロースーツを来て
お店にやってきたときは少し驚いた
何でも私のお店の区域が爆豪君の担当エリアらしく
水曜日の見回りの日にカレーパンを買いに来てくれるって
スタッフの子が嬉しそうに話していた
店長っていう忙しい立場もあって
私も水曜日しかお店で働くことが出来ないけど
お陰様で、水曜日はいつもの倍以上にお店が繁盛するから
店長としては、有難いようで少し複雑だ
ふと、パン売場のパンが少なくなってるのに気付いて
パンを持ってこようとしたら
「小麦さん!こ、これで…た、足りますか?」
『米澤(ヨネザワ)君!』
米澤君は、お店が開店した時から一緒に働いてくれてる
頼れる男性スタッフさん
少し照れ屋で口下手だけど、周りをみて動いてくれるから
いつも助けてもって感謝してもしたりないくらいだ
『ありがとう!重かったでしょ?』
米澤「だ、大丈夫です!」
『いつも気付いてくれて助かるよ♪』
米澤「い、いいえ!俺は当然の事をしたまでで」
『謙遜ばっかり!自信もって?』
米澤「!…は、はい……」
顔を赤くして俯いてしまった米澤君
異性と話すのが苦手らしくてすぐ顔が赤くなっちゃうって
開店当初に恥ずかしそうに話してくれたのを思い出した
そんな照れ屋な所を見て可愛いって思う私は
ヒドイ店長だなって彼に懺悔も込めて微笑むと
更に顔を赤くした米澤君が面白くて笑ってしまった
緑谷「聖…そろそろ時間だよ?」
「あ、そうだね!それじゃあ二人ともまた後で!」
「ええ」
『またね聖ちゃん!』
私達に軽く頭を下げてくれた緑谷君は
聖ちゃんの手を引くと優しくエスコートしていた
高校の頃の緑谷君からは想像出来ないなって思ったけど
嬉しそうな聖ちゃんを見て自然と笑顔になった
式場の階段を登った聖ちゃんと緑谷君の手には
綺麗なブーケが握られていた
「小麦ちゃんは行かないの?」
『はい!今はお仕事中ですし、手を汚しちゃったら
衛生的によろしくないので!』
「…さすが職人ってヤツね」
『想さんは行かないんですか?』
「…あんなギラギラの目をした若者達の中に入れると思う?」
『ギラギラの目……』
ギラギラどころじゃない…回りのオーラが黒い!!
少しビクビクしてる新郎新婦の二人を心配して見つめてたら
緑谷君が後ろ向きで勢いよくブーケを投げた
周りの人達の勢いに怖くなったけど
ブーケが何故か高く跳ねて飛ぶと
しょーちゃんの手の中に落ちてしまった
「「「「「「あ……」」」」」」
轟「…………」
「女の敵ね、焦凍君」
『…しょーちゃん』
想さんの言葉に納得すると
しょーちゃんが私達の方に向かって歩いてきたら
想さんの前で足を止めるとブーケを渡していた
「え?」
轟「…あんたは俺が幸せにするから、もう少し待っててくれ」
『~~~~~!!』
一瞬で会場から歓声があがった
中には顔を赤くして泣きながら座り込む女の子達もいたけど
私は感動のあまり頷きながら拍手を送っていた
『しょーちゃん!!男らしくて素敵だよ!!』
轟「…さんきゅ」
「…っ…………」
顔を赤くしながら俯く想さんは貴重だなって思ってたら
今度は聖ちゃんの番で
さっきよりも女の子達の気合いが違いすぎて怖くなったとき
米澤君に声をかけられて振り向いた
米澤「すいません…パンが中々膨らまなくて」
『了解、確認しに行こう!』
まだ顔が赤い想さんに声をかけて
厨房に向かっていたら
「小麦ちゃん!!」
『え____!?』
いきなり目の前に花束が飛んできて
顔面にヒットするとそのまま後ろに倒れそうになったのを
米澤君が支えてくれたら
頭につけてたコック帽が落ちてしまった
呆然と花束を見たあとに聖ちゃんを見たら
嬉しそうに手を振っていて
ブーケが崩れないように抱きしめると笑顔で手を振り返した
後ろで支えてくれてた米澤君に振り向くと
赤い顔にまた微笑んでブーケを見せた
『支えてくれてありがとう!
こんなキレイなブーケもらってドキドキしちゃった♪』
米澤「小麦さんに…よ、よく似合ってます!」
『またまた!そんなお世辞なんていいよ~』
米澤「…お世辞じゃありません」
『…米澤…君?』
今まで聞いたことがない低い声に驚くと
真っ直ぐ私を見つめる米澤君に身体が動かなくなったら
コック帽を取った米澤君がいつもの赤い顔のまま
大きく息を吸い込んでいた
米澤「小麦さん…っ………好きです!!!!」
『え____』
その声は会場全体に響き渡って一気に静かになったから
余計に緊張感が増して無意識に手に力がこもる
米澤「お店を開く前からあなたの事を知っていました!
笑顔でパンを配るあなたに惹かれたのが最初です!
…異性と喋るのは苦手だったけど…あなたの側にいたくて
あなたのお店で働きたいと志願しました!
スタッフ一人一人に優しいあなたが好きです!
仕事に妥協しないで紳士に向き合ってる姿が好きです!
時々変なミスするけど、そんな所も可愛くて好きです!」
『…あ…………』
米澤「これからもあなたの隣にいたいです!
スタッフとしてだけじゃなくて…っ……恋人として!!」
『…っ…………』
今まで自分から告白してきたことはあったけど
告白されたことはなかったから
どう反応したらいいか分からない
それも相手は米澤君
今までスタッフとして関わってきたから
異性となると変な意味で緊張してしまうし
正直、恋をするのが少し怖いけど_____
『…ありがとう』
米澤「え?」
『そんなに私の事思ってくれて…その……正直
スゴく…嬉しかったです』
米澤「!」
「「「「「おぉ~~!!」」」」」
周りの声に恥ずかしくなって近くのテーブルに置いてあった
オレンジジュースをイッキ飲みすると
「「おぉーー!!」」って声を無視して
今の正直な気持ちを伝えようと思った
『…っ……あの……いきなりお付き合い…じゃなくて
その……ご飯から……………………』
米澤「…小麦さん?」
全身の血液が勢いよく巡ってる
まさか、さっきの飲み物って
『…ふ、ふぁ~~~~』
米澤「小麦さん!?」
「「「「「えぇーー!?」」」」」
「小麦ちゃん!!」
轟「小麦!!」
爆豪「_____!!」
視界が歪んだ瞬間、膝から崩れ落ちると
遠くから私を呼ぶ色んな声を最後に意識が遠くなった
*~**~*
『…っ………ん……』
目を開けたらスタッフ専用の宿泊部屋だった
ゆっくり身体を起こしたけど
頭の奥がズキズキ痛くて俯いたら
爆豪「…やっと起きたンか二日酔い」
『…爆豪…君?』
何で爆豪君がいるのか分からなかったけど
考えれば考えるほど頭が痛くなって考えるのをやめた
眉間の間に手を乗せて頭痛を堪えてたら
爆豪君が渡してきたのは水のペットボトルと痛み止めだった
爆豪「飲め」
『…まさかさっきのオレンジジュース』
爆豪「カシオレだ、バーカ」
『…やっぱり』
爆豪君から薬とペットボトルを貰って飲んだら
ベットに倒れてペットボトルで眉間周囲を冷やすと
爆豪君に話しかけた
『…パーティーは?』
爆豪「勝手にやってんだろ」
『…米澤君は?』
爆豪「知るか」
『…そっか……』
爆豪「…………」
仕事も告白の返事も中途半端で
本当に何してるんだろって呆れてたら
爆豪君がベットの空いてるスペースに腰を下ろしてきて
私を睨み付けていた
爆豪「…あいつと付き合うんか」
『…分かんないよ』
爆豪「分かんねーってなんだ」
『だって、今まで異性として見たことなかったんだもん
でも…ご飯とか食べに行ったりもっと仕事以外の彼を知って
いいなって思ったら…付き合いたい…かな』
爆豪「…………」
『…待たせてる……行かなくちゃ』
布団を退かしてベットから足を下ろした瞬間
爆豪君にベットに押し倒されていて
爆豪君の鋭い真っ直ぐな瞳から逃げたくて
視線を逸らして起きようとしたけど、びくともしなかった
『…っ……離して?』
爆豪「…………」
『…お願いだから離し』
爆豪「…せねぇ」
『え?』
爆豪「あいつの所になんざ…行かせるわけねーだろが!!」
『_____』
今まで心のすみに隠してきた思いが溢れて
涙が止まらなくなった
私が泣いてるからなのか爆豪君は驚いていて
涙なんか気にせずに爆豪君に話しかけた
『…っ、前に爆豪君に言ったよね?
いつか爆豪君以上の人を見つけて
その人が同じくらい私の事を好きになってくれる
そんな人を見つけてみせるよって
だから私、やっとそんな人を見つけられたと思ったのに
どうしてそんな意地悪言うの?』
爆豪「…………」
『…もう、嫌なの…!』
爆豪君に振り回されたくない
あんな胸が裂ける思いは、もうたくさんだから
爆豪「…何で俺があんな都心から離れたクソ地域を
見回りしてると思ってやがる」
身体を起こされた時に、少し気持ち悪くなって俯いたら
肩を抱かれて爆豪君の胸に引き寄せられた
爆豪「…てめェが大事にしてるもん全部、守るためだろーが」
『…………』
少し疑問には思ってた
No.1にこだわり続けてる爆豪君が、犯罪が少ない
都心から少し離れた私の職場の地域を管轄するなんて
まさか…私だけじゃなくて私の小さい頃からの夢を
守ってくれてたの?
ずるいよ…そんな事、今さら言うなんて
『…っ、私ボツβだから…αの子を産むなんて出来ないもん
…相手にするだけ無駄だよ』
爆豪「…ンなもん全部ぶち壊して
ガキぐれーパッカーンって産むんじゃなかったんか」
『!?』
学生の頃、爆豪君に言い放った言葉を思い出したら
恥ずかしくなってきてだんだん全身が赤くなっていくと
顎を掴まれて上を向かされたら
爆豪君の真っ直ぐな瞳から目が逸らせなかった
爆豪「αとかβとかうっせーンだよ
前にてめェを押し倒したんは
αの生殖本能じゃねェ………俺の意思だ」
『…っ…………』
爆豪「俺はあの野郎みてーにてめェのいいところなんざ
口が裂けても言わねーが……いいか」
両頬を掴まれたら泣いてる私を無視してハッキリ言ってくれた
爆豪「てめェは俺の女だ……小麦」
『______!!』
名前なんて色んな人に呼ばれてるハズなのに
爆豪君から初めて名前を呼ばれて
胸が苦しいくらい嬉しくて幸せで涙が止まらなくなる
爆豪君に好きって言われた訳じゃないのに
米澤君に言われた好きって言葉よりも胸がトキメクなんて
爆豪君は、簡単に私の心を奪っていく
『爆豪君……っ……』
爆豪「…目ェ閉じろや」
キスされる
そう思ったら恥ずかしくなったけど
爆豪君の手を上から重ねて目を閉じた瞬間、キスされた
爆豪君の事だからもっと荒々しいキスを想像してたけど
包み込むような優しいキスに胸がしめつけられて涙が溢れると
またベットに押し倒されていた
『…ば、爆豪君?』
爆豪「今からてめェを抱く」
『………えぇ!?』
いきなりスーツの上着を脱ぎはじめた爆豪君に
慌てて起き上がろうとしたら突き飛ばされて
ベットに倒れてしまう
獲物を捕まえた捕食者のように嬉しそうに笑う爆豪君の表情に
小動物の気持ちが分かって震えると大声を出して抵抗した
『いやーー!!爆豪君のエッチーーーー!!』
爆豪「ってめェ!!まだ犯してねーだろがァ!!」
起き上がろうとする私をまた押し倒すと
両手を掴んで押さえつけるから、負けずと抵抗し続けた
『こんな場所で初めてのエッチが終わるなんて嫌ー!!』
爆豪「はあ!?」
緑谷「かっちゃん最低ー」
爆豪「!?」
轟「そういう強引なところがあいつを傷付けるって
いい加減気付けよな」
爆豪「ンだと!!」
「小麦ちゃん怖かったね?身体は平気?」
『聖ちゃん…』
「本当…やっぱりこいつ嫌いだわ」
爆豪「ああ!?」
爆豪君を睨み付けてる想さんが怖かったけど
私を起こしてくれた聖ちゃんが私の肩に手を置くと
真剣な瞳で話しかけてくれた
「小麦ちゃん…まずはセックスについて
しっかり知識をつけとく必要があると思うの!」
『…え?』
「…そうね、なにも知らないよりはいいかも
性教育について、聖ちゃんから
しっかり教えてもらいなさい」
『えぇ!?』
爆豪「余計なことすんな聖!!
こいつにそー言うこと教えンのは俺だけの特権だァ!!」
『きゃあ!?』
いきなりお姫様抱っこされて部屋から走り去っていく爆豪君を
見つめることしか出来なくて
これから何をされるのか
想像するだけでドキドキして恥ずかしくなって俯くと
爆豪君に呼ばれておそるおそる顔を上げた
爆豪「やっと捕まえたんだ…覚悟しとけ!!」
『…っ……うん!!』
初めて見る爆豪君の嬉しそうな表情に
思わず首に抱きついたら、力強く抱きしめてくれた
何の取り柄もないβの私は、強くて負けず嫌いなαの彼と
素敵な恋をしていく、そんな予感がした
運命のオメガバース(爆豪ヒロイン)End