運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
聖ちゃんが家に来てから二日後
お母さんが前に私が行きたいって話してた
有名ホテルのビュッフェに連れてってくれるって聞いて
いつもの白シャツデニムの格好で行こうとしたら
何故かそのホテルの中にあるエステに連れてかれて
最新の化粧に私が絶対着ない
淡いピンクの膝下ワンピースを着せられた
そして何故か、最上階にあるビュッフェのお店じゃなくて
中央階のオシャレな雰囲気のカフェに連れてかれた
『お、お母さん…ビュッフェは?』
「今から会わせたい人が来るから待ってなさい」
『会わせたい人?』
「あなたのお見合い相手よ」
『……えぇ!?』
まさかの発言に思わず立ち上がると
お母さんの名前を呼ぶ声が聞こえて振り返ったら
『しょ、しょーちゃん!?』
轟「…何でお前が」
「「ドッキリ大成功~♪」」
『!!』
ネイビーのジャケットにグレーのパンツをビシッと着こなして
私の前に現れたしょーちゃん
私としょーちゃんの気まずい空気を他所に
嬉しそうに両手を握り締めるお母さんと
しょーちゃんのお母さんの冷さんに
騙されたと思って小さい声でお母さんに怒った
『ちょっとお母さん!?お見合いだなんて聞いてないよ!!』
「言ったらあなた来ないじゃない」
『うぅ……そ、それも相手がしょーちゃんだなんて!!』
「小麦ちゃんは…焦凍が嫌い?」
『!?そ、そんな事は全くありませんけど…』
「…それを聞いて安心したわ」
「あんた達二人に恋人がいないって聞いてね?
せっかくならって話しになったのよ」
『余計なお世話!!…っ……しょーちゃんも何か言って!!』
轟「…別に、何でもいい」
『(何でふて腐れてるの~!?)』
*~**~*
お母さん達に促されて
一階の庭園をしょーちゃんと一緒に散歩してたら
元気のないしょーちゃんが気になって声をかけた
『しょーちゃんはお見合いって知ってたの?』
轟「ああ、でも相手がお前だったのは知らなかった」
『何でお見合い了承したの?冷さんに言われたから?』
轟「それもある……」
『…想さんはこの事知ってる?』
轟「……知らねェ」
『…そっか』
綺麗に手入れされた池を眺めながらしょーちゃんに声をかけた
『しょーちゃんはこのまま私とお付き合いしていいの?
後悔しない?』
轟「…俺は」
『私は嫌、しょーちゃんは大事な幼馴染みで
それ以上にはならないし
想さんを大好きなしょーちゃんと一緒にいたって
お互い苦しくて虚しいだけだもん』
轟「…小麦」
『しょーちゃんも…それに想さんも
お互いがお互いの事を考えすぎて本当の事が言えてないんだよ
先ずはお互いが何を考えてるのかをしっかり聞いて
…それからどおしたいかじゃない?』
轟「…お前すげェな」
『おやおや?やっと幼馴染みの凄さを思い知りました?』
轟「ああ」
『…そうだ、せっかくなら
ここの最上階にあるビュッフェに付き合ってよ!
そこのお店、パンが美味しいって有名なんだ~♪』
轟「…お前まさか、ここに来た理由も」
『はいはいさっさと行きますよー』
しょーちゃんの背中を押してビルの中に戻ろうとしたとき
「焦凍君!!」
『!』
轟「…想さん」
息を切らして苦しそうにしょーちゃんを見てる想さん
しょーちゃんを見たら、これまた切なそうに
でも愛おしそうに想さんを見てるしょーちゃんに
自然と笑顔になるとしょーちゃんの背中を思いっきり押したら
驚いた二人に向かって笑顔で手を振って叫んだ
『二人とも幸せにねー!!』
「…っ……小麦ちゃん」
轟「小麦……!?」
しょーちゃんの手を引っ張って走っていく想さんは
おとぎ話に出てくるカッコいい王子様みたいだった
そんな二人を見て安心したら嬉しい気持ちで
ホテルの中に入っていった
*~**~*
『美味しい~!!』
テーブルに並べられた色とりどりのパンに満足してると
いきなり入り口近くが騒がしくなって
有名人でもいたのかなって気にせずパンに集中してたら
爆豪「…おい」
『!』
いきなり心臓を鷲掴みされたような
地を這う声に聞き覚えがあって一瞬手を止めたけど
ゆっくり顔をあげて彼に微笑んだ
『…爆豪君こんにちは!爆豪君もここのパン食べに来たの?』
爆豪「…半分野郎はどーした」
『それって…しょーちゃんの事?』
爆豪「それ以外に誰がいやがる!!」
何故か苛立ってる爆豪君を不思議に思いながら、笑顔で答えた
『しょーちゃんは、王子様が迎えに来てくれたの!』
爆豪「はぁ?」
『…運命の人が迎えに来て連れてってくれたんだよ♪』
爆豪「!!…っ……チッ」
納得してくれたのはいいけど
何故か私の前の席の椅子に座った爆豪君
気にしながら最後のパンを食べ終えたとき
爆豪君の息を吐く音が聞こえた
爆豪「…あいつと運命の番を解消した」
『…そっか……聖ちゃん、緑谷君に
ちゃんと気持ち伝えられるといいね?』
爆豪「…………」
『爆豪君はちゃんと聖ちゃんに気持ち伝えられた?』
爆豪「はぁ?何ふざけた事ぬかして」
『ふざけてないでしょ?…爆豪君は運命とか関係なく
ちゃんと聖ちゃんが好きだったじゃん!
だから緑谷君が迎えに来るまで側にいてあげてたんだよね?』
爆豪「!!」
爆豪君の驚いた表情に微笑むと
カーディガンと鞄を持って立ち上がったら爆豪君に振り返った
『爆豪君が次に恋をするなら
聖ちゃん以上に守りたくなる人だといいね?
私もいつか爆豪君以上の人を見つけて
その人が同じくらい私の事を好きになってくれる
そんな人を見つけられたらいいな!』
爆豪「…………」
『お互い頑張ろうね♪』
支払いをしてる最中も爆豪君の視線を感じたけど
そのままお店を出てエレベーターに乗った瞬間
我慢してた涙が溢れて止まらなくなった
私が諦めないと優しい爆豪君は私に気を使って前に進めないし
それに爆豪君ならすぐに素敵な人が現れる
聖ちゃんや想さんを見て思ったの
苦しいくらい恋い焦がれて、切ないくらい愛おしい
そんな風に私も誰かに思われて見たいって
『…っ……よーし……頑張るんだからー!!』
何の取り柄もないβな私だけど、そんなの関係ないくらい
私を一番好きって思ってくれる人と
素敵な恋が出来るといいな
最終回へ続く