運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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小麦ちゃんと想さんがいなくなってからも
何から考えたらいいか分からなくて動けないでいたら
轟君が優しく私を起こしてくれた
轟「大丈夫か?」
『…ごめんね』
轟「何でお前が謝る」
『…大事な幼馴染みを…傷付けちゃったから』
轟「…………」
泣いたって小麦ちゃんのケガが治るわけじゃないのに
でも涙は止まってくれなくてどうしようもなかった
その時、出久に優しく名前を呼ばれて顔をあげたら
悲しそうに微笑む出久に目が離せなかった
緑谷「…無理やりごめん」
『…っ……いず、く』
緑谷「…轟君……聖をお願い」
轟「…分かった」
出久が静かに部屋から出るのを見つめることしか出来なくて
出久が部屋を出てすぐに爆君も部屋から出て行った
部屋から出ていく時の二人の背中が涙でだんだん歪んでくのに
また胸が締め付けられる
轟「ツラいな…好きな奴に思いが伝わらねーのって」
『轟君……』
轟「落ち着いたら小麦に会いに行ってやってくれ
あいつ…ずっと爆豪が好きだったから
爆豪に殴られて落ち込んでるだろうし」
『え_____』
轟君の言葉に足先から全身が冷えていくのが分かった
*~**~*
次の日
小麦ちゃんの職場に行ったら
今日は早退したらしく、しばらくお休みにさせたと聞いた
小麦ちゃんの住んでるアパートに向かって
震える手を握りしめると勇気を出してインターホンを押したら
小麦ちゃんの足音が聞こえて扉が開いた
いつもの笑顔で私を迎えてくれたけど
あんなに綺麗で長い茶髪がばっさり襟足まで短くなっていた
凄く似合ってて可愛いと思ったけど言える状態じゃなくて
ソファーに案内してもらって俯いたまま座ってると
温かい紅茶に出来立てのプチクロワッサンを持ってきてくれた
「聖ちゃんお腹すいてる?私、ちょうどお腹空いてて」
『…小麦ちゃん、傷痛くない?』
「全然!これ大袈裟なんだよね~まだ腫れがひかなくて
さっきも湿布貼って仕事しようとしたら
店長に「帰れ!」って怒られちゃったんだー!」
『…ごめんね』
「聖ちゃんが謝ることじゃないよ?
自分が勝手にしたことだから、自業自得」
『違う!!』
「…聖ちゃん?」
両手を強く握りしめると、勇気を出して
小麦ちゃんに質問した
『いつから…爆君の事が好きだったの?』
「…………」
小麦ちゃんが私の隣に勢いよく座ったと思ったら
後ろの背もたれに体を預けるとため息をついた
「…一目惚れだった、小学校5年生の時
両親と一緒に爆豪君のお家にお邪魔した時から」
『______』
それを聞いた瞬間
涙が溢れて止まらなくなると両手で顔を覆って俯いた
嗚咽が部屋に響くと小麦ちゃんが
優しく私の背中を撫でてくれた
『…っ……ご、ごめん、なさい!!私が…全部悪い!!
私が…弱くて……出久を、忘れたくて…っ…運命とか言って
本当は……っ……爆君、を……利用した!!』
「…聖ちゃん」
『…私のせいなの!!……私が……私が!!』
「聖ちゃん!!」
『!?』
ゆっくり身体を起こされると
優しく微笑んでくれる小麦ちゃんから目が離せなかった
「聖ちゃんの側にいるって選んだのは爆豪君だよ?
聖ちゃんが謝ることじゃない…それに
爆豪君はちゃんと聖ちゃんの気持ちに
気付いてたと思うんだ」
『え…?』
「聖ちゃんが誰を一番好きで
本当は誰と「運命の番」になりたかったのかって!
だから爆豪君は今まで聖ちゃんがヒートになっても
求めたり項を噛んだりしてこなかったんじゃない?」
『_____』
本当に爆君と運命になろうと思った時もあった
でも、どうしても忘れられない…思い出してしまう
『…い、ずく…………』
出久の優しい声も仕草も
無理やりだったけど私にキスをしてくれたときの
熱いキスも唇も手の温もりも
忘れたくても忘れられない
ずっとずっと出久が欲しかった
Ωの本能だからじゃない…私の強い願い、気持ちだから
『…っ……私、ちゃんと…爆君に……伝えてくる』
「うん!…頑張れ聖ちゃん♪」
『…っつ!!』
小麦ちゃんに勢いよく抱きつくと
優しく私を抱き締めてくれた
小麦ちゃんからはいつも優しい甘い匂いがする
でも優しいだけじゃなくて
とても強くて真っ直ぐな人だと思った
私もなりたい…ううん、なるの
Ωだからとか運命の番だからとか関係ない
好きな人のために…強く生きたいから
⑤へ続く