運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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爆豪君に手を引かれながら何とか階段を下りて歩いてると
爆豪君がいきなり足を止めたから声をかけた
『爆豪君?』
爆豪「…この匂い」
『え?』
「誰か…誰か来て……誰か____爆君!!」
爆豪「『!?』」
爆豪君が手を振り払って走ってくのを急いで追いかけたら
ある部屋の扉の前で止まると扉を勢いよく蹴り飛ばしていた
ドン!!!!
緑谷「!…かっちゃん」
爆豪「…っ……何してやがンだてめェ……」
『聖ちゃん!!』
「…っ……小麦ちゃん」
部屋にいたのはドレスが乱れて
ベットに押し倒されて泣いてる聖ちゃん
押し倒してたのは…まさかの緑谷君で
慌てて聖ちゃんを抱き起こしたら
震えながら二人を心配そうに見つめていて
爆豪君が鋭く緑谷君を睨んでいた
爆豪「おい…てめェがしたこと…分かってンだろうなァ?」
緑谷「…うん」
爆豪「こいつが…どんな思いで俺の番になろうって決心したか
てめェは知らねーだろうが
どの面さげて今更奪いにきた…なぁ"!?」
「爆君……」
『…………』
聖ちゃんを思う爆豪君の言葉に
胸が痛くなって締め付けられる
さっきまで繋いでた温かい手の温もりが一瞬で消えてしまった
緑谷「本当に今更だって思う…でも
誰よりも聖を守りたいって…幸せにしたいって思うから
だからかっちゃんに…殴られる覚悟も出来てる」
爆豪「…っ……なら、ここで死ねェェェ!!!!」
「や、止めて爆君!!」
『______!!』
緑谷・爆豪「「!?」」
「小麦ちゃん!!!!」
爆豪君に暴力なんかふるってほしくなくて
思わず緑谷君を庇うように立ったら
爆豪君の拳を見事に左頬に受けると
クローゼットまで飛ばされてそのまま倒れてしまった
一瞬意識が遠くなりかけて無意識に身体を起こそうとしたら
聖ちゃんに触られて力が抜けると
何故か遠くからしょーちゃんと想さんの声が聞こえた
轟「…お前ら…これ…どー言う事だ」
緑谷「…っ………」
爆豪「…………」
「…あ、あの!!」
「…焦凍君、小麦ちゃんの頬を冷やすから氷結を出して
聖ちゃんも…手当ては私がやるから早く服をただして」
眉間にシワを寄せながら見下ろしてたのは
やっぱり想さんで
優しく起こしてくれると氷が入ってるハンカチを
頬に当ててくれた
『…想……さん?』
「…病院に連れてくわよ、いいわね?」
『…はぃ』
有無を言わさない想さんの雰囲気に
大人しく返事をすると
聖ちゃんも付き添ってくれると言ってくれた
「いいえ、貴方達三人は来なくて結構よ」
「!?で、でも…私のせいで小麦ちゃんがケガを」
「そう、聖ちゃんが原因でそこの二人が喧嘩をしたなら
解決策を考えるのが妥当だと思うわ
それに…ヒーローの貴方達が一般人にケガさせるなんて
あってはならないんじゃない?」
「!!」
「どんな理由だろうと…貴方達がしたことを私は許さない」
『想…さん…』
轟「…………」
想さんが本気で怒ってるのが伝わって何も言えなかった
ゆっくり私を立ち上がらせてくれると
少しふらついた私の身体をしっかり支えてくれた
「焦凍君には申し訳ないけど此処にいてくれる?
そこの二人がまたバカな事しないように見張っててほしいの」
轟「分かった……小麦を頼む」
「ええ…行きましょう小麦ちゃん」
『…は…ぃ』
「……小麦ちゃん」
聖ちゃんの辛そうな表情が
泣いてるように見えて悲しくなると
痛い頬を無視して安心してもらえるように微笑んだ
『…だぃ…じょーぶ!……なか…なぃで?』
「!!……本当に…ごめんなさい」
緑谷「…………」
爆豪「…っつ!!」
爆豪君の鋭い視線を感じたけど
さすがに爆豪君を見る勇気はなくて
俯いたまま爆豪君の横を通りすぎると静かに部屋を出ていった
*~**~*
病院でレントゲンを撮ってもらったら
顎も頬の骨も異常がなかった
左頬の火傷と切り傷を治してもらって
今は想さんの車で家まで送ってもらっている
窓ガラスを見たら大げさに貼ってあるガーゼとテープに
苦笑いしていると想さんが声をかけてくれた
「…大丈夫?」
『はぃ…へーき…です!』
「痛いでしょ?」
『ぃたく…なぃです』
「…痛くないわけないじゃない」
『?』
「好きな人に殴られて…痛くないわけないでしょ」
『…………』
窓の外を見つめてたら自然と言葉が出ていた
『ほんとに…ぃたく…なぃんです……ただ』
「ただ?」
『…こころが……っ……ぃたぃ……です』
「!!」
いきなり車を止めてくれた想さんは
私を力強く抱き締めてくれた
ダメ…想さんの服が濡れて汚れちゃう
痛くて声が出せないぶん
涙が滝のように流れて止まらなかった
『…こんどこそ……ば、ばくごぅくんと……さよなら…します』
「まだあんな男のこと思ってたの?………馬鹿ね」
『…はぃ……ばかです……っ……おお……ばかです』
繋いだ手を振り払われたことや頬を殴られたことよりも
聖ちゃんを思う爆豪君の気持ちが伝わって痛かった
運命に敵うはずないのに、本当に私は大バカだ
今度こそ、この想いを捨てよう
そう思えば思うほど涙が止まらないのは
やっぱり私が大バカだからだ
④へ