運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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あの後、聖ちゃんから連絡はなくて
二人がどうなったのか気になって仕方なかった
連絡したい日に限って仕事が忙しくて
急いで向かった研究室
扉に背中を預けていた焦凍君に声をかけた
『ごめんなさい焦凍君、遅くなって』
轟「いや、俺が勝手に会いに来てるだけだから
気にしないでくれ」
『…お茶出すわね』
彼の一言に一喜一憂するなんて…今日の私は可笑しい
お茶を出してる途中でスマホが鳴って見たら
エンデヴァー事務所からで、静かに研究室を出た
電話が終わって研究室に入ろうとしたら
小麦ちゃんの泣き声に思わず足が止まってしまった
静かに中を覗いたら焦凍君が小麦ちゃんの頭を撫でていた
「ねぇ、しょーちゃん……私はβだけど…っ……いつか
私だけの…運命の番に……出会えるかなぁ…?」
轟「…そんなの無くても
お前を全力で愛してくれるヤツが必ず現れる
お前は、いい女だからな」
「…っ……想さんよりも?」
轟「…ああ」
「嘘つき…っ……でも…ありがとう…しょーちゃん」
轟「…………」
優しく小麦ちゃんを抱き締める焦凍君に
そっと研究室から離れて長い廊下を歩きだした
この胸の苦しさは焦凍君が
小麦ちゃんを抱き締めてたからじゃない
小麦ちゃんの口ぶりから、好きな人を諦めたのが伝わった
小麦ちゃんの好きな人は…聖ちゃんの運命の番
だから聖ちゃんは…好きな人よりも運命を選んだ
その事実が悲しくて虚しくて…悔しい
やっぱり運命には逆らえないの?
お父さんと…あのΩの女のように
『…っつ!!』
泣きたくなるのを誤魔化すように両手を強く握りしめた
そして覚悟を新たにする
私は絶対に運命に負けない、逆らってみせるって
*~**~*
しばらくして研究室に戻ったら
焦凍君と目が合ったけどゆっくり逸らして
研究資料を手にとった
轟「さっき小麦が来てた」
『…そう』
轟「爆豪…小麦の好きな奴、運命の番と付き合うらしい」
『…………』
轟「…想さん?」
『ねぇ焦凍君……もう研究室に来ないでくれない?』
轟「え」
焦凍君の驚く声を無視して
資料から目を離さずに話し続けた
『もうすぐインターン活動も積極的になっていくだろうし
こんな所に来てる暇があるならもっと他の事に目を向けて』
轟「想さん!!」
『…………』
焦凍君の怒鳴り声にゆっくり振り返ると
やっぱり眉間にシワを寄せて私を睨みつけていた
轟「何でいきなりそんな突き放すんだ?」
『突き放してなんかない』
轟「そんなに俺といたくねーのかよ」
『焦凍君は…私と運命の番になりたい?』
轟「…なりてェって言ったらあんたはどーすんだ」
『…………』
焦凍君に勢いよく振り返ると驚いた表情をしていた
だって私今、すごい顔で彼を睨み付けているから
『運命なんかクソくらえよ…私と焦凍君が運命の番なら
私はそれを完全否定する』
轟「!!」
『焦凍君が一回りも年の離れた私の側にいるのも
私の事が好きだからとかじゃないわ…所詮、運命ってのに
私達は振り回されてるだけなのよ』
轟「…………」
『…分かったなら、さっさと出てって』
焦凍君に背中を向けて資料を眺めてたら
いきなり手首を掴まれて引っ張られると
長椅子のソファーに押し倒されていた
『な、何するの…っ……離して!!』
轟「…………」
『!?…まっ_____』
初めて触れた焦凍君の唇は氷雪のように冷たいのに
私の全身が熱く紅潮していく
何度も角度を変えてくるキスに抵抗しようと思っても
手首をソファーに押し付けられて全く意味がなかった
口元が緩んだ瞬間、焦凍君の舌がぬるりと侵入してきた
『…っ…ふぁ…やめ、…て……んん!!』
轟「…はぁ……想さん」
『!?』
熱いキスに身体の力が入らなくなって
焦凍君の手が私の服の中に入って身体を撫でられていた
これも運命の番だから気持ちいいの…?
拒否したいのに出来ない、流されそうになる
もう身を委ねてしまえば_____
そう思った瞬間、媚薬を渡した時の
幸せって言った聖ちゃんの切ない表情を思い出して
焦凍君に抱き締められてた時の
小麦ちゃんの苦しい嗚咽を思い出した
そして、最後までお父さんを呼んでいた
お母さんの悲しそうな声と涙を思い出して_____
轟「!!…想さん」
『…っ……く……うぅ………』
唇を噛み締めて涙を流す私を
優しく起こしてくれた焦凍君がゆっくり抱き締めてくれた
轟「悪ぃ…もうこんな事しねーから……泣かないでくれ」
『…っ……ふっ……く……』
轟「…想さん……っ………」
焦凍君に強く抱き締められたら
何故か初めて私達が出会った日の事を思い出して
更に涙が止まらなくなった
私はα…運命の番は私の大切な人だけど
その人に思いを伝えることはない
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