運命のオメガバース(完結) 連載ヒロイン、裏あり
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私の両親は両方αだったから、必然的に私もα
両親はお見合い結婚だったけど楽しく暮らしてきた
…そう、あの日までは
私が高校一年生の頃、お父さんの前に現れたΩ
お父さんの運命の女性
その人と直ぐに恋に落ちたお父さんは
私達を捨ててその女性と一緒に何処かに消えてしまった
お父さんを失ったお母さんは酷く荒れて
しまいには、精神科の病院に入院してる最中に自殺した
私のお父さんを奪って母を殺した
オメガバースという存在を私は絶対に許さない
自己学でオメガバースについて調べた私は
独自で発情抑制剤や抗フェロモン剤の開発に勤しんで
オメガバースの論文を大学の教授に話したら
快くこの研究室を貸してくれた
エンデヴァーさんと出会ったのは、私が大学一年のとき
高月給なエンデヴァーさんの事務所に
働きたいとダメ元で言ったら、意外にすんなり許してくれた
エンデヴァー事務所で働いたお金を新薬のために注いだ
後は研究に協力してくれるΩとβの人達への資金
もちろん自分もαとして実験に参加した
おかげで今じゃ、ほんのそこらのフェロモンじゃ
我を失わないほど自分をコントロールする事が出来る
これも全部……オメガバースを失くすために
『…っ…………』
いつの間にか寝てたみたいで
ゆっくり起き上がったら肩にタオルケットがかけてあって
周りを見ても焦凍君はいなかった
机を見たら、張り紙が貼ってあって手に取った
轟「(気持ち良さそうに寝てたから先に帰った、また来る)」
『…焦凍君』
焦凍君はあの事件から私の研究室に顔を出すようになった
私の仕事している姿を眺めてたかと思ったら寝てたりして
そんな彼が……正直可愛くて一緒にいて居心地が良かった
知り合ってから一年が過ぎたときに
彼が自分の事を話してくれた
長らくNo.2ヒーローに甘んじてきたエンデヴァーさんは
自分の力ではオールマイトを超えることは不可能と悟り
その代替策として自分の力を受け継いだ子供に
オールマイトを超えるNo.1ヒーローになるよう育てた
その結果として誕生した「最高傑作」が焦凍君
だけど焦凍君は「Ω」
No.1ヒーローは誰からも必要とされる
「α」じゃないといけないと言われたらしく
ヒートの時も家族と完全に離され
一人で訓練を受けさせられたらしい
だからΩじゃなくてαと嘘をついて生活してきたと
苦しそうに話してくれたのを思い出すたびに
エンデヴァーさんに憎さが込み上げてイライラしてくる
『…あの親父、許さないから』
エンデヴァーさんに何かイタズラ出来ないか考えてたら
スマホが揺れて見たら小麦ちゃんからで
「今から行ってもいいですか?」って内容に微笑むと
『いつでもいらっしゃい』と返事をした
*~**~*
扉のノックする音に返事をしたら
小麦ちゃんと初めて見るキレイな見た目と
不思議な雰囲気を放つ女の子がいた
「こんにちは、想さん!」
『いらっしゃい小麦ちゃん…初めてのお客様ね?』
「はじめまして、雄英高校ヒーロー科の聖と言います!」
『聖ちゃんね…私はここの研究員をしている
想って言うの、よろしくね?』
「よ、よろしくお願い致します!」
綺麗にお辞儀をした聖ちゃんに微笑んだら
ふと感じた、今までより強くて甘い匂いに
確信を込めて聖ちゃんに声をかけた
『聖ちゃん…Ωね』
「!!」
「すごい聖さん!!どうして分かるんですか!?」
『私一応αだから…Ωの匂いとか分かるのよ』
「匂い…?」
『Ωに訪れるヒート…そのフェロモンの匂いよ』
「!!」
聖ちゃんの不安そうな顔に
思わず聖ちゃんの頭を撫でていた
『大丈夫よ、私はΩの匂いで理性を失ったりしないわ』
「理性…?」
『ええ、ヒート中のフェロモンを受けたらαは特に
孕ませたい欲望にかられてΩに襲いかかるのよ
βにもフェロモンの匂いに当てられて近づいてくる奴もいるわ
…小麦ちゃんみたいな例外もいるけど』
「確かに私、αのフェロモンにも影響されたことないかも…」
小麦ちゃんはβだからフェロモンはないけど
身体からパンの甘い匂いが溢れてる…私は好きだけどね
視線を感じて前を向いたら、青い瞳が真っ直ぐ私を見てるのに
胸がドキって跳ねたのが分かった
「…お聞きしてもいいですか?」
『ええ』
「運命の番を…無くす方法ってありますか?」
「!…聖ちゃん」
『…………』
真っ直ぐ私を見る聖ちゃんの手は
両手を強く握りしめて震えてるほどだった
誤魔化すなんて出来ない
そう覚悟して小さく息をはくと息を吸ってはっきり答えた
『…無理ね、運命の番はΩとαの本能で感じるものだから
Ωとαがいる限り、それを無くすことは出来ないわ』
「…っ……そうです…よね」
聖ちゃんの悲しそうな表情から目が離せない
彼女は「運命の番」を見つけたハズなのに
全然嬉しそうじゃなかったから
④へ続く