第百六話[ありがとう]
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『…ルシファー、今まで本当にありがとう
これからは自由に好きなところへ行けるんだね』
「…そうね」
ルシファーが聖の側から離れ
ザドキエルの持っていたナイフが僕の前で止まった
『…"ザドキエルの慈愛"は"私の一番大切な物"と引き換えに
願いを叶えてくれるの』
緑谷「それって……」
『だからね出久……………私を、殺して』
緑谷「_______」
あまりの真実に恐怖と絶望で
ナイフから後退りながら聖を見つめる
さっきとは違った覚悟を決めた強い瞳に
大きく首を振りながら拒絶した
緑谷「何でそんなこと言うんだよ!?
僕が聖を…っ、出来る分けないだろ!!」
「"ザドキエルの慈愛"は
聖が願いを叶え終えたあと
聖にとって"一番大切な人物"に
銀のナイフで心臓を刺し契約が完了する」
緑谷「そんな……っ、他に方法はないんですか!?
聖が死なない方法以外で
契約が完了することは!?」
「…………」
「まぁ、意味ないだろうけど聞いておくわ
契約を破ったらどうなるの?」
「…契約違反とし聖に関わった
全ての人物の"一番大切な物"を頂く」
緑谷「(それって皆の命が_______)」
あまりの真実に絶望しか浮かばない
皆の命と聖の命を天秤にかけるなんて
出来るわけがないのに
『…ごめんね、出久』
緑谷「!?」
僕の意思とは関係なく
何故か身体が勝手にナイフを握っていた
無理やり顔を横に向けるとルシファーが指を動かしている
まるで操り人形を操っているかのように
緑谷「ルシファー!!!!」
「私がわざわざここに残ったのは
あんたが聖を殺せないのを見越してよ?」
緑谷「やだ!!っ、いやだ!!!!」
『出久』
緑谷「_______」
何故か聖に向かって走り出していた
いつも僕を呼ぶ優しい笑顔がだんだん近付いていく
聖のその笑顔に僕はずっと
__グサ……ポタポタポタ
緑谷「……………え」
『…っ、……っつ!!』
気がついた時には緑谷が握っているナイフが
聖の左胸に刺さっていて
白いコスチュームに赤色が広がっていく
緑谷「聖!!!!!!!!!!!!」
倒れ込む聖を支えると
何故か銀のナイフもあったはずの血も消えていて
ザドキエルもルシファーもいなくなっていた
緑谷「…これってどういう」
『出久』
聖が僕にキスをする
いきなりの聖の行動に恥ずかしさよりも
戸惑いの方が大きくて
唇を離した聖は僕の右頬を優しく撫でてくれていた
『…この傷はラファエル様の治癒でも
間に合いそうにないかな、両手も…厳しいね』
緑谷「っ、そんなことより『でも、私は好きだよ』え…?」
僕の両手を自分の頬を掴むように持っていく
掴まれた聖の手はやっぱり温かくて優しかった
『この傷は出久がヒーローとして戦った勲章だから』
緑谷「…聖」
『…なに、ん!』
今度は僕が聖にキスをする
さっきよりも聖の唇の柔らかさが感じられて
少し恥ずかしかったけど
それ以上にこの幸せを感じていたいと思ったから
唇を離すと目に涙を浮かべた聖に
ずっと言いたかった事を伝えた
緑谷「聖、好きだよ…これからはずっと一緒だ」
『……………』
俯いていた顔を上げた聖の表情は
今まで見たどの笑顔よりもキレイだった
『…出久、愛してる!』
緑谷「っ、僕も!」
聖の身体を強く抱きしめる
僕たちやっと一緒にいられるんだ
その時、ふと疑問に思ったことがあって
聖に聞こうとしたのに聖の身体が
震えていることに気付いた
緑谷「聖どうしたの?
身体が『ありがとう』…え?」
聖が僕から離れると
さっきと同じキレイな笑顔で微笑んでくれている
『私を見つけてくれて、手をつないでくれて
側にいてくれて、守ってくれて
愛してくれて…本当にありがとう』
緑谷「…聖?」
『私の予知夢は遠い先の未来は見えないはずなのに
ちゃんと見えたの…OFAの残り火が消えて"無個性"に戻っても
出久は私の大好きなヒーローのままだったよ!』
緑谷「何言って」
『だから……私が側にいなくても大丈夫』
緑谷「え_______」
景色が一瞬で暗闇に包まれる
僕の身体が消えかけているのに気付いて
慌てて聖に手を伸ばしても掴むことが出来ない
『…出久、忘れないで?』
緑谷「聖!?」
『出久はずっと…私のNo.1ヒーローだよ!』
緑谷「っ、聖ーーーーーー!!!!」
緑谷が消えて暗闇に取り残された聖は
ゆっくり後ろに振り返り微笑んだ
『…最後に二人の時間を作って頂いて
ありがとうございました、ザドキエル様にルシファー』
「…………」
「…あの男中心で生きてきた結果がこれ?
あんたの人生って損ばっかだったわね」
『そんな事ない!』
周りは暗闇なのに天井を見上げる聖には見えている
笑顔の出久がA組の皆と一緒に
最高のヒーローになっている姿が
そこに…出久の隣に自分の姿がなかったとしても
『…本当にお待たせしました、ザドキエル様』
「…………」
『ザドキエル様?』
「…聖、君に幸あらんことを」
『…ありがとうございます』
「あ~あ、やーっとあんたから離れて清々するわ」
『寂しくなったら会いに来てね!』
「…気が向いたら、ね」
消えた銀のナイフが聖の前に現れると
息をゆっくり吐きナイフを静かに握りしめた
『…私の一番大切な物は________』
言葉を告げた瞬間、消えたナイフの光が聖を包み込む
優しい温もりのはずなのに何故か涙が頬を伝っていった
『(…出久、ごめんね)』
