こども

ふらりふらり、とラディッツはあたりをまわっていた。
あるものによっては妖怪のぬらりひょんではないかというほど、神出鬼没である。
そんな時だ、街のハズレに行くと奇妙な光景を見たのは。
ハズレの村には奴隷オークションの巨大な館がある。
たまに己も呼ばれ見に行ったことがあるが、不愉快になりオークションの主に頭から酒をかけたのはいい思い出だ。
まぁ剣闘士試合は面白くて眺めてたが。
殺されていたのだ、何もかもが。無残に切り殺されていたのだ。
切り口から見て日本刀によってなのだろ、ふっと中心を見てみると子供が立っていた。
水色、朝の空を思わせるような髪の少年が立っていた。
少年はけらけらとわらっている。
「……これはおもしれぇ」にたり、とラディッツは笑って近づいた。少年はふっと自分を見てくる、陶酔した目で。
「お前がしたのか??」
「………はい」そしてつぎのことばを発する。
「綺麗な死神さんだァ、僕を殺してください」にこり、と刀をおそらく彼らを殺すために使ったのであろう刀を渡してくる。ああなんと、赤黒い血が彼岸花のように映えていることか。
「……俺が死神に見えると?、ガキ」
「だって、あなたはとても黒くて綺麗だもん」その透き通った髪と何もかもを見透かしたような龍のような瞳が。何と綺麗な色を宿したものか。
「ねぇ、殺してくださいよ」
「ことわる」
「なんで??」 そんなのきまってる。
「俺はお前を気に入った」その、純粋すぎるた魂をけがしたらどうなるのであろうか。単純に興味が湧いたのだ、このこどもに。
「なまえはなんという?」
「真堂、翼」翼か、とラディッツは笑い渡された刀で親指を軽く切る。
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