君がため 2

君がため
※平安時代?パロ
・皇嵐ちゃんが天皇の姪
・兄ちゃんが警護役

可愛く小鳥のさえずる音が聞こえてくる。皇嵐はそれを目覚ましの音に目を覚ました。
御格子ごしに綺麗に輝く太陽が光をさしてくる。少し伸びをして目を覚ますとふっと自分の近くにあるものに目をやった。
綺麗な扇に梅の花、さらに和歌……なんて美しく風流なものであろうか。
「名前は…?」水流が流れたような美しい文字の並びをみながら最後の方を見る。名前は書かれていない。
でも……読んだだけでもわかる、この手紙を送ったものが己のことをとてもすいているということを。
「おや、いつの間にそんなのが…」女房が入ってきて驚いた顔でこちらを見てきた。
皇嵐はそれにわからないわ、と首を横に振りいう。
「私も今しがた、気づいたのよ。…でもこんな綺麗な文字を書かれる人なのだからえらい人なのかもね…」和歌の技術というのは当時えらい家柄のものしか習いはしなかった。
下のものたちは古い和歌集などを見てまねぶが、それも古い技術。あまりついていけはしない。
下女たちに髪の手入れをさせながら皇嵐はこの手紙の送り主に返歌をしようとした。
同じく花をエゾギクの花を添えて。
「それにしてもお姫様のとこにお便りが来るなんてすごい方ですね」黒髪に櫛を通しながら下女は皇嵐にいう。
「えぇ、私のとこになんてね…」自分は天皇の家のもの。こうやって知らないうちに手紙が来るなんてない。しかも寝ている間になのだから、とても勇気あるものだ。
バレれば厳罰はくだされる…それなのに、送り主は恐れず送ったのだ。
「どんな、かたなのかしらね」胸に手を添えて呟いた。

ー夜中ー
丑の刻の頃、ラディッツはまたこそりと部屋に入った。朝の会話を聞いていたからだ。文を開いて言葉を見る。
「っ本当か……?」それに書かれてある和歌にラディッツは顔が緩んでしまうのを抑えきれなかった。

かすがやま あさいるくもの おおほしく しらぬひとにも こうるものかも

 【春日山に朝、雲がかかっている。
 その雲のようにぼんやりとしながらあの人(送り主)のことを思う。
 話したこともない人。
 そういう人にも恋をすることがあるんだなあ。】
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